アスペルガーの部下が活躍できるようにするための対策とは?

アスペルガー症候群は主にコミュニケーションや対人関係に問題を抱えやすい発達障がいの1つですが、その他にも耳からの情報を処理しにくい、イレギュラーに対処しにくいなど、日常生活や仕事にも支障が起きやすい特性を持っています。

こうしたアスペルガー症候群の特性を持った部下がいる場合、その能力を活かすためにはどうすれば良いのでしょうか。特徴と対応方法を見ていきましょう。

アスペルガーや隠れアスペルガーの部下の特徴は?

言語能力や知的能力に遅れがあるわけではないのに、なにか「ヘンな人」「変わった人」という印象を受けるのがアスペルガー症候群の人です。グループの中で浮いていたり、上司の指導を理解しているのかいないのか、何度も同じ間違いを繰り返したり、同じやり方に固執してしまったりします。

他にも、細部にこだわりすぎて全体像が見えておらず、全体的な仕事としてはバランスが悪くなってしまったり、自分の気に入らないことがあるとあからさまにふてくされた態度を取ってしまったり、話をしているときに目を合わせられず宙を見てしまったり、といった特徴が現れることもあります。

アスペルガー症候群は、今でこそ徐々に認知度が上がってきて、診断を受ける人も増えてきていますが、「変わった人」という評価だけで見過ごされている人もまだまだ多い発達障がいです。もし、上記のような「なんとなくおかしいな」という違和感を感じる部下がいたときは、以下のようなアスペルガー症候群に特徴的な傾向がないかどうか、チェックしてみましょう。

曖昧な表現や指示をうまく理解できない
  • 一般的な定型発達の人には難なく理解できる曖昧な表現や代名詞、比喩が理解できない
  • 質問しようとしても「何がどうわかっていないのか」がはっきりつかめず、フリーズしてしまうことも
指示待ち人間になってしまう
  • 明確に指示されれば一人でも仕事ができるのに、自分から仕事を探せない
  • いわゆる「気を利かせる」というような、暗黙の了解を理解するのが苦手
  • 他の人が忙しそうにしていても手伝おうとしない、共同作業に参加しない(名前を呼ばれてようやく参加する)など
空気が読めず、人を傷つけることを悪気なく言ってしまう
  • 人の気持ちを想像したり、共感したりするのが苦手なため、周囲から孤立しやすい
  • 相手の気持ちをおもんぱかれず、「太ったね」などと悪意なく言ってしまう
  • 上司のミスを見逃せず、面と向かって注意して面目を潰してしまう
人との距離感がつかみにくい
  • 心理的な距離感を適切に取れず、自分で気づかないうちに相手を不快にさせてしまう
  • 相手の立場に応じて態度や言葉遣いを変えられず、上司に馴れ馴れしい態度を取ったり、家族や親しい友人に対して丁寧すぎる言葉遣いをしてしまったりする
  • 誰に対しても一律に、親しくしたい人にもしたくない人にも同じような態度を取ってしまう
社交辞令が通じにくく、言葉を文字通りに受け取る
  • 冗談が通じず、会話の行間や間を読むことができない
  • 相手の表情や口調から、その言葉が本音か建前かを察することが苦手
  • 口約束を真に受けてしまったり、皮肉っぽい叱り方をしても通じなかったりする
細部にこだわりすぎる
  • 作業の一部分にこだわりすぎて、他のことに手をつけられない
  • 仕事の中でも些細なことが気になって自分が納得いくまでやり直してしまい、納期に間に合わなくなったりする
急な予定変更に対応できない
  • 規則性やルーティンにこだわるため、計画的に行動することは比較的得意
  • 急なスケジュール変更や、イレギュラー、ハプニングに対応しにくい
  • 定例会議が都合で中止になると、その時間に何をしたらいいかわからず混乱してしまうなど
仕事に優先順位をつけられない
  • 今やっている仕事の途中で他の仕事を頼まれたり、一度に複数のタスクを指示されたりすると優先順位をつけられず、対応できなくなってしまう
デスクが整頓できない
  • モノに対して強い好みやこだわりを持つことが多く、捨てられない
  • 捨てるのを極端に嫌がり、結果として整理整頓ができない場合も
  • 周囲から見れば散らかっている状態にしか見えなくても、本人にとっては規則性があり、何がどこにあるかわかっていることが多い
人の顔をなかなか覚えられない
  • 「ワーキングメモリ」と呼ばれる短期記憶機能が弱く、人の顔を覚えるのが苦手
  • 取引先の外部の人と関わるときなど、何回か会っている相手に「はじめまして」と言ってしまうことがある

以上のような特徴に多く当てはまるようなら、アスペルガー症候群の可能性が高いと考えられます。他にも、好きなことは延々とやり続けてしまったり、昼食時の雑談で好きなことは延々と喋り続けてしまったり、その反面興味がないことには頑なに手を出そうとしなかったり、といった特徴が現れることもあります。

アスペルガーの部下の能力を活かすための対応方法とは?

アスペルガー症候群は、上記のように一見、融通がきかずコミュニケーションに難があるという悪い特徴が目立ちやすいのですが、一方で自分の関心に応じた知識を掘り下げ、専門性を高めていくことは得意な傾向があります。つまり、本人や周囲が特性について正しく理解し、本人の興味や関心に合った仕事を任せれば、驚くような集中力や能力を発揮できる可能性があるのです。

そのためにも、まずは以下のようにアスペルガー症候群の特徴に合わせた対応を心がけましょう。

2つのことを同時に行うのが苦手
  • 電話応対はできても、電話で話しながらメモを取ることはできない、ということも
  • あらかじめ専用の電話メモを用意しておき「折返し電話ください」「またかけます」「○○を△△個発注」など、チェックや数字を入れるだけでメモが取れるようにしておくとよい
耳で聞いた話を理解したり、覚えたりしにくい
  • 言葉だけの説明ではなく、紙に文字や図を書いて説明したり、説明しながらメモを取らせ、書いて理解させたりする
  • 掃除・来客対応・データ入力・日報作成などのルーティンをいつまでも覚えられないこともある
  • 作業マニュアルを作り、いつでも目につきやすいところに掲示しておく
曖昧な指示や空気感を理解できない
  • 「これお願い」というような指示をするのではなく、「この書類を5部コピーしてホチキスで止め、できたらすぐに第1会議室まで持ってきてね」といったように具体的な指示を出す
  • いつものことであっても、はっきり言ったり付箋などにメモして指示を出したりするとよい
本人の得意なことをやらせる
  • 仕事の優先順位がつけられず、いつまでも同じ作業をやったり与えられた仕事をそのままやったりする
  • 単純作業を集中してとことんやる傾向にあるため、研究開発部や品質保証部など、実験や商品テストをルーティンで繰り返すような部署に向いている
  • 逆に、単純作業ではなくクリエイティブな能力を持っている場合は、アシスタントをつけて本人はクリエイティブな仕事に集中できるようにしてやると能力を発揮しやすい

また、アスペルガー症候群という同じ発達障がいであっても、個人によってできること、できないことには違いがあります。そのため、その人個人をよく観察したり、本人と話し合ったりして、できることとできないことを明確化していくと良いでしょう。その上で、できることや得意なことに関する仕事を優先して任せるのがおすすめです。

会社の中で、完全に1人で行う仕事というのはそう多くありません。ということは、チームの中で得意なことを得意な人が行い、苦手なことは誰かがカバーしていけば良いのです。アスペルガー症候群の人は、定型発達の人なら途中で飽きてだれてしまいそうな単純作業を集中して行う力には長けていますから、そうした作業を優先的に任せるのが良いでしょう。

逆に、アスペルガー症候群の人が苦手な来客対応、曖昧な指示、いくつものことを同時進行する、などはできるだけ得意な人に回していきましょう。人間、誰しも苦手分野があるのは当たり前です。組織の中で仕事をしていく以上は、誰もがオールマイティになる必要はなく、それぞれが長所を活かしながらチームとして生産性をアップしていくことが大切なのです。

アスペルガー症候群の症状は、定型発達の人にもないわけではありません。ということは、アスペルガー症候群の人のためにした対策が、他の人にとっても有益になることは間違いないでしょう。例えば、日々のルーティンワークについて作業マニュアルができれば、新人が入ってきたときに早く仕事を覚えやすいですし、チェックするだけの電話メモは他の人にとっても毎回同じことを書く手間を省けます。チーム全体のミス軽減や業務効率のアップにも、良い効果を発揮できるでしょう。

おわりに:アスペルガーの部下を活かすためには、特性や得意不得意を理解する

アスペルガー症候群は、コミュニケーションの問題や曖昧な指示を理解できない、優先順位をつけられないなど負の面が目立ちやすいですが、反面、苦手な人が多い単純作業やコツコツと長時間続けなくてはならない作業などに高い集中力とクオリティを発揮します。

とはいえ、個人によって得意不得意は多少異なりますので、その人をよく観察したり話し合ったりして、得意不得意を書き出し、得意なことを任せるのが良いでしょう。

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