発達障がいやグレーゾーンの子どもの治療や教育として「療育」が行われます。療育によって子どもの行動や情緒面にどんなサポートができるのか、早期教育がおすすめされる理由などを紹介します。
療育の目的や種類は?
発達障がいの原因は、生まれつき脳の発達に障がいがあることです。そのため発達による特性を完全になくす、いわゆる完治は難しいとされています。子どもの発達障がいに対しては「療育」を行うことが一般的です。
療育とは、障がいのある子どもやグレーゾーンの子どもに対し、社会的な自立と社会参加を目指して行う治療や教育のことです。発達の状態や障害の特性に応じて個別に計画を立て、悩みや困りごとの改善・解消を目指します。
「療育」という言葉は、身体障がいのある子どもへの治療と教育を指す意味で使われていました。現在は発達障がいなども含み、より幅広い子どもに対する治療と教育を指しています。
療育にはさまざまな方法があります。
- 応用行動分析学(ABA)
- 認知行動療法
- ソーシャルスキルトレーニング(SST)
- TEACCH
- 箱庭療法
- 運動療法
- ペアレントトレーニング
ほかにも音楽療法や作業療法などがあり、子どもの発達に応じて適切な方法を検討します。
療育に期待される効果とは?
療育の方法がさまざまであるように、その効果も目的や内容、子どもの特性などによって異なります。
- 身支度がひとりでもできるようになる
- 挨拶をきちんとできるようになる
- 相手の表情から感情を読み取ることができる
- 自分の気持ちを相手にうまく伝えられる
- 会話の受け答えができる
- 他者とコミュニケーションが取れる
- 二次障がいの発症が抑えられる など
上記のような効果が療育に期待されます。また、子ども自身だけでなはく親子のコミュニケーションのサポートを行う療育機関もあります。
療育を行っている機関は、児童発達支援センターや児童発達支援事務所、放課後デイサービス、幼児教室などです。
早期療育がいいといわれる理由は?
子どもが発達障がいであるかどうかわかるタイミングは、自治体が実施している3歳児健診がきっかけであることが多いです。3歳児健診のほか、1歳6か月健診(18か月健診)のより早い段階で発見されることもまれにあります。
健診以外でも子どもの行動などで気になることがあった場合は、支援機関の相談窓口や子どもの発達障がいの診断が可能な医療機関に相談しましょう。子どもが発達障がいだと診断された場合、早期療育を始めることをおすすめします。
- 早期療育とは
- 幼児~小学校低学年くらいまでに療育を開始することを「早期療育」といいます。できるだけ早い時期から療育を行うことで、特性による困難の軽減や生活能力の向上を促すことができると考えられています。
幼少期は脳の成長が著しい時期でもあります。この時期に必要なサポートを行い、子どもの能力を伸ばすことが大切です。ただし小さい子どもに療育を無理やり受けさせることはおすすめできません。親は子どもに対して過度なプレッシャーをかけないように注意しましょう。
療育は成長してからも行うことはできます。ただし、中学校や高校、大学、社会人へと成長すると、いじめや適応障がいに悩んだり、ストレスによるうつ病など二次障がい発症の可能性が高くなります。早期から療育を始め、社会生活を営むソーシャルスキル、日常生活に必要な生活スキルを伸ばすことが理想的です。
おわりに:療育は生活スキルやソーシャルスキルの向上につながる
発達障がいの子どもは特性によって日常生活や保育園、幼稚園などでトラブルを抱えることがあります。療育を行うことで、身の周りのことを自分でできるようになったり、お友達とのコミュニケーションが円滑に行えるようになるといわれています。できるだけ早い時期から療育を始め、子どもの生活をサポートしていきましょう。
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