軽度発達障がいの子どもの問題は、どうやって解決すればいい?

発達障がいという言葉は、近年になって非常によく知られるところとなってきました。一部の専門家や医師だけではなく、教育現場の先生が知るようになってきたことで、発達障がいの子どもの過ごしやすい環境が少しずつ整えられています。
しかし、その一方で一見普通の子どもに見える「軽度発達障がい」の子どもに対しては、まだまだ理解が不十分です。そうした子どもの困りごとをどう解決していくのか、詳しく見ていきましょう。

軽度発達障がいの子どもが抱えやすい問題とは?

発達障がいとは「心身の機能の発達が困難な、あるいは極めて緩慢な状態」と定義されていて、その現れ方はさまざまです。
ただ、共通しているのは「先天的な脳機能の問題である」という点で、そのため幼少期から特徴的な症状が見られる場合が多いです。

しかし、障がいの程度が軽く、一見しただけでは普通の子どもと変わらなく見えるような場合「軽度発達障がい」と呼ばれます。
具体的には、以下の3つが主な軽度発達障がいです。

  • 学習障害(LD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
  • 自閉症スペクトラム(ASD/高機能自閉症やアスペルガー障害を含む)

軽度の知的障がいも含められる場合がありますが、基本的には上記の3つの発達障がいを指します。
これらの発達障がいの子どもたちは、知的発達に対してはほとんど遅れがなく、IQなどにも問題がない場合がほとんどなため、「知的障がいが軽度」という意味で「軽度発達障がい」と呼ばれてきました。

しかし、言葉のイメージから「障害そのものが軽度」という誤解を招きやすく、そのために周囲の理解が得られにくいなどの問題点があることを考慮し、平成19年3月からは文部科学省により「軽度発達障がいという言葉を原則として使わないように」という通達が出されました。

重度な知的障がいを持っている子どもであれば、周囲の人もすぐに異変に気づくため、周囲の理解や支援も得られやすく、特別学級などの対策も立てられていましたが、上記に挙げたような「軽度」の発達障がいの子どもは、一見普通の子どもと見分けがつかないばかりにかえって障害に気づかれにくく、「親の教育の問題では」「本人の性格のせいだ」などと責められたり、いじめられたりすることが多く、自尊心が低下してさまざまな二次障がいを引き起こすことも少なくありませんでした。

発達障がいそのものは、知的発達と関係はありませんので、発達障がいの中にも知的障がいを持った人はいますし、IQは高いという人もいます。
また、発達障がいと知的障がいを併せ持っている場合は、知的障がいへの支援だけでは不十分なことにも注意すべきです。

また、発達障がいという言葉にありがちな誤解として、「何もしなくてもそのうちなんとかなる」といったものや、「もともとの脳機能が欠けているのだからずっと発達できない」といったものがあります。
発達障がいは確かに脳機能の問題であり、生まれつき発達の仕方に凸凹が大きいのですが、その後全く発達しないわけではありませんし、何もしないままで勝手に解決するものでもありません

発達障がいを持たない普通の人でも、年を重ねるにつれ、時代背景や文化、社会の状況や家族・友人との交流などを通じて刻々と成長し、変化していきます。発達障がいの人も同じです。必ずしも普遍的な障害であるというわけではありません

個人差はありますが、「障害だから治らない」という先入観を持って子どもと接することは、子どもの将来の可能性まで狭めてしまいます。

周囲の人は、彼らの凸凹な特性を理解してサポートを行い、「障害があるままでも社会に適応していく」という方法を考えることが重要です。

子どもの軽度発達障がいを見つけるために、注意しておきたい特徴は?

2002年に、文部科学省から普通クラスの6.3%の生徒は何らかの発達障がいを抱えている、と報告されました。つまり、1クラスにつき2〜3人くらいは発達障がいの生徒がいると考えて良いでしょう。

しかし、一見普通に見えるために、苦手なことを「怠けている」と誤解されたり、特徴的な言動を「変なやつ」と思われていじめられたりと、学校生活で何かと苦労しやすいという問題もあります。

もし、以下のような特徴が複数当てはまり、それが6ヶ月以上続くという子どもがいるようなら、その子は発達障がいかもしれません。

  • 授業に短時間しか集中できず、手遊びなどをしている
  • 忘れ物が多く、整理整頓が苦手である
  • 知らない人にも気軽に挨拶し、親しげに話しかけている
  • 自分の空想世界にはまり込み、度々独り言を言う
  • 自分の言いたいことがうまく言葉にできず、もどかしくて怒ってしまう
  • 人混みが苦手で、ついつい逃げてしまう
  • 知らない子と一緒に遊んで名前を言い合っていても、聞くと「知らない子」「わからない」などと答える
  • いつも決まってする遊びがあり、他の遊びに興味を示さない
  • 同じ質問を繰り返したり、どんどん突っ込んだ質問をし続けたりする
  • 話しかける人の目を見ずに話しかける
  • 手先が不器用だったり、運動が苦手だったりして、外遊びをしない
  • 漢字の読み書きや、文章の理解力が弱い
  • 絶えず元気に動き回っていて、落ち着きがない
  • 他人の都合は考えず、自分の喋りたいことを一方的にしゃべる
  • ゲームのルールを理解するのが苦手なのに、負けると非常に悔しがる
  • 場所を問わず自分の世界に入り込み、独り言や奇声を上げる
  • 知的発達に問題はないのに、同世代の子と比べると行動に違和感がある
  • 何回教えても、順番を待つということができない

これら1つ1つの項目は、子どもであればたいていは当てはまるものと言えます。
たとえば、定型発達でも絶えず元気に走り回っている子どもはいますし、自分の言いたいことを言葉にするのが苦手な子もいます。
しかし、定型発達の子どもであれば、授業が始まればおとなしくできますし、自分の言いたいことが言えない子は怒らず黙り込んでしまったり、すぐに言えなくても、成長につれてきちんと言えるようになったりします。

問題は複数の項目が、しかも6ヶ月以上も続く場合です。こうした子どもたちは、得てして「変な子」としていじめの対象になったり、学校の先生から「言うことをきかない、反抗的」と誤解されてしまったりします。

しかし、子どもたちは何も変な行動をしたくてしているわけでも、先生に反抗しているわけでもありませんし、ましてや家庭環境の問題でもありません

そのような誤解を防ぐためにも、同級生の子どもたちやその保護者、学校の先生との協力・連携が必要です。もし、自分のお子さんでなくても周囲に気になる症状を持っている子がいれば、一度学校の先生に相談してみてください

軽度発達障害がいの子どもは、どう支援してあげればいい?

こうした軽度の発達障がいを抱える子どもたちは、幼い頃から「自分はなぜ他の子と同じようにできないのだろう」といった無力感や無能感に苛まれていることが多いです。そこで、「やればできる」「自分のことが好きだ」というポジティブな気持ちをまず持たせてあげることが重要です。

そのためには、子ども一人ひとりの状態を把握し、個別の指導計画を立てなくてはなりません。

たとえば、学習障害の子どもであれば、子どもが得意な方法で情報を処理させてあげればいいのです。
計算機やワープロを利用するなどして、苦手な部分を補うのが良いでしょう。最初は集団の中での指導が難しいかもしれませんので、まずは教師と1対1で、次にそれが安定してきたら少人数で、最終的には集団で、と段階を踏んで学級に溶け込んでいくことも大切です。

ADHDの子どもに対しては、ルールを明確にしてシンプルかつ具体的な指示を行い、複数の指示を同時にすることは避けましょう
窓際など気の散りやすい席ではなく、黒板の前のように集中しやすい環境を作ってあげるとともに、絵や写真・カードなどで視覚的に訴えかけると伝わりやすいです。
良い行動はすかさず褒め、シールなどのご褒美を使ってやる気を引き出すのも良いでしょう。もし、行動面での症状が顕著な場合は、医師と相談の上、薬物療法を考慮に入れてみましょう。

自閉症スペクトラムの子どもに対しては、感覚過敏に対して落ち着けるような環境を作るとともに、どうしても耐えられない場合の逃げ場所を用意してあげましょう
また、暗黙の了解は理解できませんので、シンプルで具体的な指示を行い、変更や普段と違う活動を行う場合は前もって知らせておき、不安にならないよう配慮しましょう。社会的なルールも、暗黙の了解ではなく明文化すれば理解できる子が多いです。

いずれの場合にも共通したゴールは、「日常生活を送る上で、特性による困りごとをできるだけ減らす」ということです。それによって自尊感情が高まれば、反社会的行動や抑うつ状態などの二次障害を防ぐことができます。
より理想的と言えるのは、子どもが自分で自分の特性を把握し、将来的には自分で困りごとへの対応を工夫できるようになることです。

おわりに:軽度発達障がいの子どもの問題は、積極的な周知と支援が必要

軽度発達障害の「軽度」とは、障害のレベルではなく知的発達の遅れが「軽度」ということです。むしろ一見普通に見えるからこそ、「変なやつ」「反抗的」などのレッテルを貼られてしまい、学校生活などで苦労することが多いのです。

そこで、自分の子どもでなくても周囲にいる子に気になる症状があれば、ぜひ学校の先生に相談してみましょう。周囲の理解が進めば、子どもたちは健やかな自尊感情とともに楽しく学校に通えるのです。

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