発達障がいの療育のひとつに「応用行動分析学」に基づいた方法があります。ABAとも呼ばれるこの療育は、ABC分析という行動分析をもとに、子どもの問題行動の修正を促します。ABAとはどんな考え方で、そこで受けられる療育なのか説明していきます。
応用行動分析学は療育方法のひとつ!「消去」と「強化」とは?
応用行動分析学とは、ABA(Applied Behavior Analysis)とも呼ばれている行動療法です。医療や福祉、教育などさまざまな分野でとられている治療法で、発達障がいの療育としても取り入れられています。
応用行動分析学では、ある行動が起きたときに、その行動前の出来事と行動後の結果に注目し、行動をコントロールしようとする考え方をします。
応用行動分析では「ABC分析」を用いて、行動を分析していきます。
- A(Antecedent:先行事象)
- 行動前の先行事象で、行動にとって刺激やきっかけとなる
- B(Behavior:行動)
- 行動
- C(Consequence:後続事象)
- 行動の結果として起こったこと
たとえば、ある行動を「おもちゃを投げる」とします。おもちゃを投げるという行動の前後に、以下のような出来事と結果が生じたとしましょう。
- 行動前の出来事:お友達とおもちゃの取り合いをした
- 行動:おもちゃを投げる
- 行動後の結果:友達が泣いて離れていく
「おもちゃを投げる」という行動後の結果は、お友達が離れていくという良いことではありませんでした。こういった良いことではない結果を招く行動は、最終的に減っていくと考えるのが応用行動分析学の「消去」です。
行動が良い結果を生じさせた場合を考えてみましょう。
- 行動前の出来事:お友達とおもちゃの取り合いをした
- 行動:おもちゃを友達にゆずる
- 行動後の結果:大人に褒められる
この場合、行動後の結果が「褒められる」というポジティブなものであり、子どもが行動を繰り返しやすくなります。これを応用行動分析学では「強化」と呼び、褒め言葉、ご褒美としてあげるお菓子などを「強化子」と呼びます。
応用行動分析学に期待される効果
応用行動分析学では、ある行動とその前後の出来事や結果の関連を考えながら、身につけてほしい行動や気づきを促すことができます。
- コミュニケーションに問題があり、本人や相手に危害を招く可能性がある
- 癇癪などで周囲の人に影響を与える
- 特定の物事にこだわりが強く、集団行動などが苦手
上記のような発達障がいの特性を持ち、社会生活を送る中で問題となっている場合は、応用行動分析学による療育で行動の問題が緩和されると考えられています。
応用行動分析学の療法はどこで受けられる?
応用行動分析学を用いた行動療法は、精神科や心療内科がある医療機関やクリニックで行われています。
また、幼児児童福祉施設、児童発達支援施設、児童養護施設、学校、教育センター、幼児児童発達支援施設などでも取り入れている施設もあります。
おわりに:ABC分析で子どもの行動をよい方向へ修正するのがABA
子どもの療育は早く開始するほどよいと考えられています。ABAを療育の方法として取り入れている施設は多く、癇癪などの課題となる行動を修正していくのに効果が期待されている方法です。気になる人は、近くの医療機関や施設でABAを実践してるかチェックしてみてくださいね。
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