発達障がいでは生まれつき脳に障がいが生じていることによって、さまざまな特性があらわれます。子どもでも大人でも発達障がいと診断されることがありますが、成長の段階で特性に違いはみられるのでしょうか。発達障がいの種類やチェックリストを紹介します。
発達障がいの種類は?何歳から特性があらわれる?
発達障がいとは、何らかの要因により生まれつき脳の発達に障がいが生じているものの総称です。対人コミュニケーション能力、問題解決能力、想像力、臨機応変な対応力などに困難がみられます。
発達障がいでは、仕事や家事、社会生活などにで悩みを抱える人が多いといえます。しかし、発達障がいであらわれる特性はさまざまで、個人差が大きいことが特徴です。
発達障がいは、次のような種類に分けられています。
発達障がいの種類
自閉症スペクトラム障がい(ASD)
自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障がいを含みます。
- 自閉症
- 他人への興味・関心が薄く、同年代との交流が難しい場合が多くあります。言葉の選択や抑揚などに独特な癖を持つ、会話が一方的になる、コミュニケーションに偏りがあるなどの特徴を持ちます。
- アスペルガー症候群
- 一般的には、「相互的な対人関係の障がい」「コミュニケーション障がい」「興味や行動への強いこだわり」の3つの特徴を持ちます。知能や言語能力の遅れはみられません。
- その他の広汎性発達障がい
- レット症候群、小児期崩壊性障がい、特定不能の広汎性発達障がいなどを指します。
注意欠如・多動性障がい(ADHD)
注意持続の欠如、年齢や発達に見合わない多動性や衝動性がみられます。
注意欠如とは、不注意によるうっかりやミスが多いことです。多動性の特徴とは、おしゃべりが止まらない、過剰に活動する、集中力が続かないなどです。衝動性とは、約束やルールを守れない、せっかちである、いらいらしやすいなどです。
学習障害(LD)
知的能力や本人の意欲には問題がないものの、読み書きや計算、音読など基本的な学習能力に困難を伴います。
発達障がいに気がつくのは何歳くらい?
発達障がいは幼児のころから症状があらわれることがほとんどですが、大人になってから診断されるケースもあります。ただし、発達障がいと思われる特徴があるからといって実際に発達障がいかどうかは検査しないと正確にはわかりません。
赤ちゃんにも特性があらわれる?子どもの発達障害チェックリスト
子どもの場合、早ければ赤ちゃんのころから発達障がいと思われる特性があらわれます。発達障がいは個人差が大きいものですが、下記のチェックリストに当てはまる項目が多い場合は医師や支援機関に相談するのもおすすめです。
乳幼児の発達障がいチェックリスト
- あやしても反応が乏しい
- 指さしをしない
- 親の後追いをしない
- 目が合わないことが多い
- 人見知りが多い、または誰に対しても興味を示さない
- ひとり遊びが多く、集団行動を好まない
- 遊び方に強いこだわりを示す
- 興味の対象が狭く極端に偏っている
- 言葉を話すようになっても棒読みのように話す
- 年齢に合わない大人びた言葉を話す
- 音や光に敏感、または鈍感である
- 2歳くらいから奇声を発したりよく泣く(赤ちゃんが泣く場合とは異なる)
大人の発達障害の特徴は?二次障害に注意
大人の発達障がいも存在します。社会に出て違和感や悩みを抱えることがきっかけになり、発達障がいがわかる場合が多くみられます。
また、発達障がいでは対人関係の悩みやストレスが蓄積することで、二次障害を併発する人が少なくありません。
発達障がいで併発する「二次障害」とは
二次障害とは、うつ病や適応障害などの精神疾患です。二次障害に対しては医師の指示のもと薬物療法が検討されることがあります。
大人になってからわかる?発達障害チェックリスト
適切な対応をとるためには正確な診断をおすすめしますが、下記のチェックリストを参考にしてください。
大人の発達障がいチェックリスト
- 表情や身振り、視線から相手の気持ちをくみ取ることが苦手
- 相手の言葉の裏を読み取れない
- 率直すぎる言い方で相手を怒らせることが多い
- 友人関係を築くことが苦手
- 雑談や人数の多い会話が苦手
- 双方向的な対人関係が苦手で、孤立や受け身過ぎる傾向がある
- 融通が利かず、臨機応変に物事に対応できない
- ひとつのことに集中すると周囲が見えなくなる
- スケジュール管理が苦手で、急な変更にパニックする
- 音や光などの刺激に敏感である
子どもの発達障がいと共通点がみられますが、成長に伴い趣味やこだわりの種類が変化することがあります。
おわりに:発達障がいは個人差が大きく、成長段階によって特性は変わります
発達障がいは何らかの原因で脳に障がいが発生し、人間関係構築やコミュニケーション、学校生活や仕事に影響を及ぼすことがあります。子どもと大人のいずれにしても適切な対応をとり、生活上の問題を改善を図ることが大切です。発達障がいかもしれないと思ったら、医師や専門機関に相談することをおすすめします。
参照
・厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html
・文部科学省「発達障害とは」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm
・すまいるナビゲーター 子どもの自閉スペクトラム症「自閉スペクトラム症の子どもの特性」
https://www.smilenavigator.jp/asd/abc/02.html
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