自閉症など、発達障がいを持つ子どもたちには、早期の療育開始が必要とされます。
今回は自閉症の子どもに必要な療育について、療育を受けることの効果や目的、療育について相談できる機関などについてご案内していきます。
自閉症の子どもの特徴と療育の目的とは?
自閉症の子どもには、幼児期から以下のような特徴が見られます。
自閉症の子どもの特徴
現れる順番やタイミングに個人差はありますが、自閉症の子どもには以下のような特徴が、成長に従って段階的に見られるようになります。
- コミュニケーションへの関心と社会性の発達の遅れ
- 親を含め他者に興味が薄く、ほとんど興味を示さない傾向があります。
- 言葉の発達がゆっくりである
- 言葉の発達スピードは子どもによる個人差が大きいですが、なかなか意味のある言葉を発しなかったり、同じ言葉だけを繰り返すようなら、自閉症の可能性も考えられます。
- 相手の手を取って物を取ろうとする、クレーン現象が見られる
- 指差しや、物を掴んで持ってくるのに他人の手を使う「クレーン現象」は、自閉症の子どもに特によく見られる症状です。
どの子どももそうですが、自閉症の子どもは、特に成長のペースに個人差が大きくなります。
このため自閉症の子どもへの療育は、1人1人の子どもの成長速度に合ったサポート・教育を行い、潜在能力を伸ばし、できることを増やす目的で実施されます。
例えば、自閉症の子どもの特徴である社会性やコミュニケーション能力の欠如は、子どもが興味のある分野・遊びを通して理解できるようにしていきます。いまは1人でできないこともゆくゆくは自分1人できるように、まずは一緒にやってみて、徐々に補助を減らしていくことで自立をめざします。
初めてできたこと、いまできていることは、何度でも「すごい!」「できたね!」としっかり褒めて、子どもの意欲を伸ばしてあげてください。
自閉症の療育において大切なのは、子どもの興味ややる気を活かして教育をし、「自分でできた」「できる」という経験を積み重ねていくことだと、覚えておきましょう。
自閉症の子どもの療育はどこで相談できる?
療育を受けると、自閉症の子どもの特性が徐々に緩和され、生活上の困難も減っていきます。
周囲の大人から見ても言動が変わり、自閉症の症状が目立たなくなると思いますが、自閉症は先天的なものなので消滅することはありません。
親が療育に過度な期待を持ち、子どもに自閉症の特性がまったく現れなくなることを求めると、子ども本人にとって多大なストレスとなります。
療育はあくまで自閉症の症状を緩和し、子どもが一生涯にわたり特性と付き合っていくための教育だと理解しましょう。
なお療育は、公的な機関である地域療育センターや、病院・クリニックが設ける療育施設、総合教育センターや特別支援教育センターなどに相談すると受けられます。
ただし、児童福祉法に基づき運営されている児童発達支援センターや児童発達支援事業所、放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」が必要です。
各施設の利用内定を取ってから、居住する自治体の窓口に申請しましょう。
また療育施設のスタイルもさまざまで、2~10人の集団で社会性やコミュニケーションを学ぶ集団療育や、専門職員が子どもと1対1で接する個別療育などがあります。
相談センターなどの専門知識を持った職員に相談しつつ、お子さんの特性や、成長速度に合った療育施設を探してみてくださいね。
おわりに:早期の療育で、子どもの成長と特性に合った教育を受けさせよう
自閉症の子どもは、成長速度や症状の現れ方に非常に個人差が大きいと言われています。自閉症の特性は、コミュニケーションや社会生活上の困難を生じさせますが、早期に療育を受けることでこれを緩和できるのです。
先天的な脳機能障がいである自閉症は、一生涯消えることはありません。子どもが自閉症と診断されたら、本人の将来のためにも、できるだけ早く療育を受けさせてあげるべきです。まずは、公的な窓口への相談を検討しましょう。
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