アスペルガーなどの発達障がいの人のなかには、大人になるまで自覚がないまま育ち、社会人として働いている人も少なくありません。すると十分な配慮や対策がないまま仕事を行い、特性による影響を周囲に与えることがみられます。
今回は上司がアスペルガーだった場合を例に、起こりがちなトラブルや特徴、部下としての上手な付き合い方などを解説します。
上司がアスペルガー症候群のときに起こりがちな困りごとは?
コミュニケーションの取り方や周囲との関係性構築に問題を抱えやすいアスペルガーの上司には、以下のような特徴が見られます。
- 状況の理解や他者への配慮ができないため、常に自己中心的にふるまう
- 例)些細なミスも許せず過剰に叱責する、状況に合わない内容やボリュームで発言する、周囲に責任転嫁して稚拙な嘘をつく
- 社会や職場での暗黙のルール、マナーを理解できない
- 例)他者の年齢や容姿について言及する、差別的な発言をする、距離感がおかしい、何よりもマイルールを優先する、自分の世界にばかり没頭する、必要以上に丁寧に対応する
- 他者とのコミュニケーションがうまくいかない
- 例)表情や状況を考慮せず言葉通りに受け取る、冗談がわからない、一方的に話し会話のキャッチボールが成立しない、話すときに表情や身振り・手振りがまったくない
- 想像力が欠如していて衝動的
- 例)自分の言動がどのような事態を招くか想像できない、思いつきで行動してしまう、仕事の優先順位が付けられない
- 柔軟な対応が出来ずルーティンにこだわり過ぎる
- 例)予定を組んで行動できない、計画外のことが起こるとパニックになる、ルーティンへのこだわりが強く乱れると不安になる、変化が苦手で不変を好む
自分が決めたルールへのこだわりが強く、他者に非常に厳しいため、アスペルガーの上司と周囲の人との間にはトラブルが絶えないでしょう。
アスペルガーの上司とうまく付き合うためのポイント
アスペルガーの疑いが感じられる上司とうまく仕事を進めるには、アスペルガー症候群の特性を理解し、配慮した接し方をすると効果的です。
あなたの上司の様子に合わせて、以下を参考に接し方を工夫してみてください。
- 指示の確認や連絡は基本的にメールなどを使い、記録としてのこす
- 嘘の有無や責任の所在を、上司が言い逃れできない証拠としてのこすことができる
- 話すときはストレートな表現で、比喩は使わない
- どのくらい遅れるのか、いつ頃完成するのか、また上司の発言に対して感じた不快についても、あいまいな表現でなくストレートに言わないと伝わらない
- 説明は言葉だけでなく、絵や文字を紙に書いて視覚化する
- アスペルガーの人は言葉だけで理解するのが苦手なので、説明や確認をするときは言葉とあわせて絵や文字を用い、情報を視覚化する
- 必要に応じて、仕事の進め方や内容については承認のみ求める
- 仕事の手順や内容の可否について「どうしましょう?」と聞くと混乱するため、ある程度答えを準備してから「~でよろしいですか?」と承認を求めるようにする
- 言い争いになりそうなら、一旦引き下がって見せる
- 本人が「否定された」「傷つけられた」と感じると興奮するので、明らかに向こうに非がある場合でも「一旦、指示通りにやってみます」と引き下がってあげると良い
おわりに:特性を理解し、アスペルガーの上司とうまく付き合おう
アスペルガーの人には、社会性に乏しくコミュニケーションが苦手で、仕事上のトラブルを起こしやすい傾向が見られます。これは他者の気持ちや状況を慮るのが苦手で、よくも悪くもストレートかつ自分本位にふるまってしまう、アスペルガーの特性によるものです。部下としてアスペルガーの上司とうまく付き合っていくには、まず上司の特性を理解しましょう。特性に合わせ、こちらの接し方を工夫すると、良い関係を築けるかもしれません。
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