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女性のアスペルガーにはどんなトラブルや困りごとが多いの?

人間関係改善のヒント

アスペルガー症候群とは、自閉症スペクトラムに分類される発達障がいの一種です。男女比は8:1とされ、圧倒的に男性に多い発達障がいですが、女性にももちろんアスペルガー症候群の特性を持つ人はいます。

そこで、この記事では女性のアスペルガー症候群の特徴やADHDとの違い、トラブル回避の方法をご紹介します。自分や周囲にアスペルガー症候群が疑われる人がいれば、ぜひ参考にしてください。

女性のアスペルガーの特徴って?

そもそもアスペルガー症候群とは、発達障がいのうち「想像力の欠如・社会性の乏しさ・不自然なコミュニケーション・強いこだわり」などの特徴があるもので、これらは性格や本人の努力とは無関係な、先天的な脳の機能障害によって現れるとされています。しかし一方で、言語や知能の発達には目立った遅れがないため、周囲から「気が利かない」「コミュニケーションに努力が見られない」などの誤解を受けやすいのです。

アスペルガー症候群の男女比は8:1とされ、圧倒的に男性に多い発達障がいとされますが、これは男性の方が3歳ごろという早い時期からアスペルガー症候群の特徴が目立ち始め、周囲との衝突が起こってくるのに対し、女性のアスペルガー症候群は男性に比べてわかりにくく、ある程度成長してから初めて発覚することが多いからとされます。そのため、女性のアスペルガー症候群はもっと多く、男女比は4:1とする説もあります。

女性の場合、小学校中学年頃から原因不明の体調不良の症状が現れ始め、詳しく医師の診察を受けてみたらアスペルガー症候群からの二次障がいによるものだった、ということも少なくありません。このため、女性は気づかれず適切なケアも受けられないまま過ごしてしまい、二次障がいとしてうつ病などの精神疾患を発症・悪化させてしまうケースもあります。

このように女性のアスペルガー症候群が気づかれにくい理由として「もともとの診断基準が男性の症例から作られていることから、比較的社会適応能力の高い女性のアスペルガー症候群には当てはまらないことも多く、診断を遅らせてしまう原因の1つになっているのではないか」とも言われています。

そんな女性のアスペルガー症候群に特有の悩みとして数多く挙げられるのが、思春期のいわゆる「ガールズトーク」についていけない、というものです。一般的に小学校5〜6年ごろから中学生ぐらいになると、女子グループでは話の方向性も結論もとくに明確でなく、話題もころころと移り変わる「ガールズトーク」をするようになってきます。

こうした「雑談」は、アスペルガー症候群の人には理解しづらく、女性特有の仲間同士の空気感、暗黙のルールなども察しにくいのです。すると、場の空気を読めずにピントのずれた会話をしてしまったり、気づかないうちに周囲を怒らせてしまったりして、いじめられたり仲間はずれにされたりします。しかし、本人にとっては「なぜ嫌われたのかわからない」となってしまうのです。

さらに、アスペルガー症候群の「変化を受け入れづらい」という特性から、第二次性徴の始まりなど、思春期ごろに大人へと大きく成長していく体の変化に気持ちが追いつかず、体調不良を訴えることも多くなってきます。この場合、身体的な不調が強いことから、心身症などと診断されることも少なくありません。

思春期ごろから始まる恋愛においても、男女間の非言語コミュニケーションを察することができず、トラブルに巻き込まれたり、性被害に遭ったりするケースもあります。結婚して出産した後、育児に戸惑って育児放棄の状態になってしまったという例の報告もいくつかあります。このような結果にならないためにも、早い段階で適切な診断とケアを受けられるよう、周囲のサポートが必要です。

アスペルガーの女性とADHDの女性との違いは?

同じ発達障がいの中でも、アスペルガー症候群とADHDは比較的症例も多く、メディアなどでも取り上げられる機会が多いことから混同されやすいのですが、併存する例を除き、基本的には全く別の発達障がいです。具体的には、以下のようなポイントで違いが見られます。

項目 アスペルガー症候群 ADHD
興味の範囲 こだわりが強く、変化を嫌う。そのため興味の範囲も狭く、特定のことにマニアック 新奇性の探究心が強く、次々と新しいことに目移りする。そのため興味の幅が非常に広く、さまざまな分野に知識を持つ
会話の難しさ 受け答えが人より遅かったり、興味関心がなかったりして、話のペースについていけない 思考の多動性によって一人で話しすぎたり、衝動的に会話を横取りしたりして、身勝手に思われてしまう
規則正しさ 変化が苦手なことから、同じ規則やルールに沿った生活を好む 変化のなさに耐えられず、次々と新しいことを始めたり、予定を詰め込んだりしすぎる。そのため規則正しい生活は苦手
周囲から浮く理由を理解できるかどうか いじめられたり仲間はずれにされたりしても、とくに子どもの頃は理由がわからず、周囲の方がおかしいと感じることが多い 自分が悪いことはすぐに理解できるのに、衝動性や不注意によって余計なことを言ってしまうため、それによってさらに自分が疎まれやすいのもわかり、自己嫌悪に陥りやすい
細部か全体か 細かい部分にこだわりすぎて、融通がきかない人と思われやすい おおまかな全体像ばかり見て、細部がおろそかになりやすい。大雑把な人、適当な人という評価を受けやすい

このように、アスペルガー症候群の女性は「限定的な興味」「規則的で変化のない日常」などを好むのに対し、ADHDの女性は「広くさまざまな興味」「常にめまぐるしい変化のある日常」などを好む傾向があります。

また、アスペルガー症候群の女性は自分が周囲とずれていることをよくわかっていない、あるいは自分が原因だとはわからないことが多いのですが、ADHDの女性は自分が原因で周囲からずれてしまうことはわかっていることが多く、自己嫌悪や抑うつ状態などの二次障がいに陥りやすいという傾向もあります。

女性のアスペルガーはどうやって過ごしたらトラブルを回避できる?

女性のアスペルガー症候群の場合、まずは「無理に仲間に入ろうとしない」ということを心がけると良いでしょう。女性の場合はグループ意識が強いことから、何らかのグループに入れないと不安に思ったり、苦手なガールズトークにも無理をして付き合ったりしてしまいますが、そうではなく、自分の特性や特徴を理解して、無理をせず付き合える人との関係を大切にすることが大切です。

また、アスペルガー症候群の人は、さまざまな特性上、生活の上で困難が生じやすく、なにかとストレスが多い生活を送りがちです。そんな状態で適切なケアや理解、支援を受けられないままでいると、ストレスが積み重なり、やがては二次障がいに発展してしまう可能性もあります。男女ともに多い二次障がいとして「睡眠障害・うつ病・統合失調症・強迫性障害」が、女性に多い二次障がいとして「心身症(胃腸の不調や貧血、疲労感など)・摂食障害・不安障害」などが挙げられます。

これは、社会性が育ちにくいというアスペルガー症候群の特性が対人関係やコミュニケーションに困難をもたらし、「なぜ仲間やグループに入れないのか」「なぜ友人ができにくいのか」といった悩みから、さまざまな心の病気を引き起こしているのではないかと考えられるためです。上記のような症状や原因不明の体調不良を感じたら、発達障がいに理解のある心療内科などで精神科医に相談してみると良いでしょう。

一方で、アスペルガー症候群は論理的な思考を持ち、興味があることにはとことん集中できることから、自分の特性に合った居場所を見つけさえすれば、素晴らしい才能を発揮することができます。ただし、身体的な疲れを感じにくく、のめり込むと倒れるまで続けてしまうという特徴もありますので、身体的な不調が強い場合は適度に休憩をとり、薬の力を借りることも検討すると良いでしょう。

発達障がいの人は薬物に対する過敏性を抱えているため、一般の精神科の処方とは異なり、ごく少量の処方に変える必要があります。ADHDや双極性障がい、統合失調症などに対する薬が効果を現すこともありますが、西洋薬と比べて効き方が穏やかな漢方薬を使って体調を整えるのが有効な場合もあります。さらに、発達障がい専門の医療機関では、「感覚統合療法」や「認知行動療法」など、さまざまな治療方法を実践できる可能性もあります。

感覚過敏や鈍麻に対処しよう

アスペルガー症候群の人は、感覚過敏によるストレスも受けやすい傾向があります。そこで、以下の例のように、感覚過敏に対して何らかの対処を行いましょう。

視覚が過敏な場合
  • サングラスを常にかける、UVカット率の高いレンズにする
  • デジタル機器の輝度(明るさ)を低めに設定する
  • 通常の視力検査とは異なり、両眼視機能の問題を抱えている場合もある(発見されにくい)
聴覚が過敏な場合
  • ノイズキャンセラーを使う、特定の騒音域を軽減してくれる耳栓を使う
衣服に過敏な場合
  • 自分の感覚過敏などを考慮して、体質に合った服を探すとよい
  • 近年では、自閉症スペクトラム症向けの服を作っているアパレルメーカーもある

他にも、重い布団を使うと睡眠の質が改善される、という人もいます。一方で、疲労感や痛みを感じにくい「感覚鈍麻」に対しては、疲労を感じていなくても意識的に休息を取れるよう、セルフモニタリングを学ぶと良いでしょう。日記をつけたり、活動量計を身につけたり、睡眠時間を記録したりといった可視化・数値化がおすすめです。

トラウマの記憶を残さないためには?

アスペルガー症候群の女性は、トラウマの記憶が残りやすい傾向にあります。そのため、自分の特性をよく理解し、トラウマが生じそうな状況を注意深く避けなくてはなりません。例えば、接客業やサービス業、マルチタスキングなどは向いていませんから、こうした合わない職業を選んでしまうと、心身に強いストレスを感じたり、同僚からいじめられてしまったりする可能性もあります。

男女関係についても、性的な被害に遭わないよう、男女関係や異性に対する振る舞い方について信頼できる人に教えてもらったり、マナーや距離感についてのアドバイスをインターネットや本で調べたりすることが重要です。

このように注意深くしていても、もし万が一トラウマ経験に遭ってしまった場合は、専門的な医療機関でEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などを受けると良いかもしれません。過去には、自閉症の男性にEMDRが効果的だった事例も報告されています。

自分の脳について理解を深めよう

アスペルガー症候群は、そもそも病気ではなく、生まれつきの脳機能の特徴によるものです。発達障がいとは言われていますが、「障がい」という区分には分けられず、とくに近年の研究においては広く「認知特性の違い」として理解されています。つまり、得意なことと不得意なことの差は激しいものの、自分の特性をうまく活かせる環境に身を置くことができれば才能にもなりえます。

ですから、アスペルガー症候群の女性にとって大切なのは、自分の脳の特徴をしっかり理解し、強みと弱み、得意なことと苦手なことを知ることです。その上で、自分の長所を活かせるような仕事を選んだり、アスペルガー症候群であることに配慮してくれるような人と付き合ったりすれば、合わない環境によるストレスが軽減できるでしょう。体調不良も徐々に改善していくはずです。

また、家族・同僚・学校の先生・友人などに、自分の特徴についてわかりやすく伝え、理解を深めてもらうことも大切です。すぐには難しいかもしれませんが、周囲の人に自分の特徴を理解しておいてもらえば、いざというときに適切なケアや支援を受けることができる可能性が高まります。

おわりに:女性のアスペルガー症候群は、気づかれにくいという大きな特徴がある

もともと、男性に比べて女性の方が社会適応能力が高いことから、女性のアスペルガー症候群は男性のアスペルガー症候群に比べて気づかれにくいという大きな特徴があります。女性のアスペルガー症候群によく見られるのは、思春期ごろからの「ガールズトーク」についていけないというものです。

しかし、アスペルガー症候群は長所を活かせば才能にもなりえます。自分の脳について理解を深め、強みや得意なことを活かしていきましょう。

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