ADHDの子どもの忘れっぽさは、どうすれば対処できる?

発達障がいのうち、ADHDの子どもには「忘れっぽさ」の特性が現れやすいとされます。
今回はADHDの子どもが忘れやすくなる原因について解説し、さらに不注意による他の症状や、忘れっぽさをカバーするための対処法までご紹介していきます。

ADHDの子どもの忘れっぽさは「短期的な記憶」が原因?

発達障がいは、脳機能の一部に発達や機能の異常を抱えて生まれてくることで起こります。
忘れっぽいADHDの子どもの場合、脳のなかでいま必要な情報を短期的に記憶しておく「ワーキングメモリ」という領域が、他の子どもより小さいとされているのです。

ワーキングメモリは以下のような内容を短期的に記憶し、自分の置かれている状況を客観的に理解したり、必要なものを選び取るのに役立っています。

  • 「学校には〇時までに行かなければならない」など、スケジュールに関する記憶
  • 「○○には▼▼を持っていかなければならない」など、持ち物に関する記憶
  • 「□□と〇時に会う約束をしている」など、誰かとの約束や会話に関する記憶 など

ワーキングメモリの領域が小さいと短期的に覚えていられる事柄も少なくなるため、ADHDの子どもは忘れっぽくなるのだと考えられています。
ADHDの子どもの忘れっぽさやこれに伴う困りごとは、本人の性格や親のしつけの問題ではなく、持って生まれた脳の特性の影響であると理解しましょう。

ワーキングメモリの影響で起こるADHDの不注意の症状は?

ワーキングメモリ―の領域が小さく、十分に働かないことによるADHDの症状は、子どもの忘れっぽさ以外に不注意としても現れてきます。
具体的には、以下のような不注意症状がワーキングメモリ―の影響から発現していると考えられています。

  • 簡単な計算間違い、書き間違い、読み間違いなど、勉強上のケアレスミス
  • 学校での遊びや課題のなかで、集中力が切れて放棄したり、順番を忘れることがある
  • 好きなことや興味のあることには、話しかけられても気づかないほど過集中する
  • 話し相手よりも自分の興味・関心を優先してしまい、相手をおざなりにしてしまう
  • 漢字の書き取りなど、コツコツ続けて努力することがとても苦手で、投げ出してしまう
  • 物事に優先順位をつけたり、計画を立てて進めることがとても苦手で、できない
  • 音や光など、新しく入ってきた刺激に敏感に反応してしまい気が散りやすい

ADHDの子ども忘れっぽさは治せる?

ADHDによる子どもの忘れっぽさは、脳の構造や発達の問題であるため、根治させたり完全に消し去ることはできません。
ただ、医師に処方してもらった脳の働きを助ける薬を飲んだり、忘れっぽさをカバーするための対処法を覚えることで、日常生活のなかの負担を減らすことは可能です。

小さいうちから、ADHDの子どもの忘れっぽさを軽減するために家庭でできる療育としては、以下の対処法が挙げられます。

記憶を視覚化・構造化してワーキングメモリを助けてあげる

指示や忘れたら困ることは、口頭で伝えるだけでなく文字やイラストにして貼り付け視覚化・構造化しましょう。
視覚化は、理解してほしいこと・覚えておいてほしいことを目で見て再確認できるよう、紙やホワイトボードに書いておいてあげること。

そして構造化とは、テープやイラストを使って次の行動とその順序を示し、不注意による困りごとを防ぐための対策です。
これにより物事を記憶しやすくなり、さらに都度確認もしやすくなるため、ADHDの子どもの忘れっぽさをある程度カバーするのに役立ちます。

できるだけ叱らず、自発的に動けるよう促してあげる

ADHDの子どもは注意散漫で、やる気のコントロールが苦手だと言われています。
このため計画的に行動することが苦手で、その時の興味や好奇心に従って、自分のやりたいことだけをやろうとする傾向が見られます。

やる気がないときに叱責されると、子どもはやる気を失い「怒られた」「できなかった」「失敗した」という嫌な印象だけをのこし、自己評価を下げてしまいます。
ワーキングメモリの影響による不注意や忘れっぽさが出ても、できるだけ叱責しないで根気よく、自発的にやる気が起こるまで待ってあげてください。

ただ、子どものやる気にまかせて根気よく待つのは、親にとってもストレスとなります。
どうしても辛いときは我慢しないで、子育て支援センターや療育を行い医療機関・保育機関などの力を借りるようにしましょう。

おわりに:ADHDの子どもの忘れっぽさは、療育でカバーしてあげよう

ADHDの特性として現れる子どもの忘れっぽさや不注意は、脳の短期記憶を留めておくワーキングメモリの働きが不十分であるために起こる、と考えられています。このため、ADHDの子どもの忘れっぽさを治療で根治させることはできません。しかし、療育と投薬でカバーし、日常生活における負担を軽減することはできます。視覚化・構造化で情報を見えるようにして、ワーキングメモリの働きを補えるようにしてあげましょう。

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