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子どものSST(ソーシャルスキルトレーニング)は発達障がいにどんな効果がある?

人間関係改善のヒント

職場や地域コミュニティといった集団のなかで暮らしていくには、周囲の人と問題なく対人関係を築いていく必要があります。

今回は、社会のなかで集団生活を送るのに必要な能力を磨く訓練「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」について解説。発達障がいにどんな効果を発揮するのか紹介します。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)の目的や効果

家族や職場、地域といった集団に属しながら、問題なくスムーズな社会生活を送るためのスキルを養う訓練のことをSSTと呼びます。

別名を「社会的スキル訓練」、精神科医療の領域では「社会生活技能訓練」とも呼ばれるもので、具体的には以下のようなスキルを養っていきます。

SSTで養えるスキルの具体例
  • 円滑な対人関係を築き、集団生活を送るためのコミュニケーション能力
  • 自身の置かれた状況を理解し、適切な行動をするための能力
  • 自分の体の状態や、守るべきルールについて把握し対応する能力 など

発達障がいの人は、他者の表情や言葉の裏にある意図をうまく読み取れずに「空気が読めない」「嫌味ばかり言う」と誤解され、社会生活に支障が出ることも多いですよね。
子どもの頃からSSTを受けておくことで、発達障がいの特性から来る社会的困難を軽減し、日々の生活や人間関係のなかで感じるストレスを軽減する効果が期待できます。

こんなトラブルを抱えている人にSSTがおすすめ

発達障がいを抱える子どものうち、特に以下のような悩み、トラブルを抱えている人にはSSTを受けることをおすすめします。

  • 耳で言葉を聞いただけでは、複雑な内容を理解できない
  • 表情や雰囲気から周りの状態を察して行動する、いわゆる空気を読むということが苦手
  • 得意と不得意なことの差が非常に大きく、能力が偏っていると感じる
  • 自分の感情や行動のコントロールがうまくできず、後悔することが多い
  • 常に強い不安を感じていて、なかなか新しいことにチャレンジできない
  • 不安やストレスから、経験不足や世間知らずになりがち

SSTの方法って?ゲームや工作に効果があるの?

SSTの実践方法には、いくつかの種類があります。以下に具体例を紹介しましょう。

1:ディスカッションやディベート
特に、言葉のキャッチボールの訓練に有効な方法です。
相手の言っていることをしっかり聞いて理解し、自分の意見を述べるという一連の行動を通して、ソーシャルスキルを学ぶことができます。
2:ゲーム
規範を守り、社会生活を営むことを学べる方法です。
「設定されたルールを守る」「仲間と協力する」「決められたゴールや成果に向けて行動する」「勝敗を受け止める」というゲーム上の要素は、実際の社会生活を営むうえでも必須。
ゲームを通して、楽しみながらソーシャルスキルを磨いていくことができるでしょう。
3:ロールプレイ
特定の人物を本人または指導担当者が演じることで、場面や状況・立場に合った適切なふるまいを学んでいく方法です。
SSTを行う子どもが、実際にいま課題としている言動・場面を少しアレンジして演じることで、必要なふるまいを考えられるようにしていきます。
4:ワークシートや絵カード
絵が描かれた、または出来事・状況をあらわす短い文章が書かれたカードを使って、SSTを行う子どもの課題を意識化し、解決をめざす方法です。
本人の課題に即した内容にアレンジし、オリジナルのストーリーを作って行えば、自身の行動を客観視し適切に見直すきっかけを作れます。
5:共同行動
1つの目的に向けて複数人で協力し、達成する体験をさせます。
たとえば、料理や工作などを複数人のグループで進めてもらい、他者と相談や役割分担、助け合うことを経験から学んでもらいます。

子どもの課題や特性に合わせてSSTのいずれか、または複数を組み合わせて進めていくことになります。

毎日の「あいさつ」は身近なSST

あいさつは、他者と良好な人間関係を築くための第一歩。あいさつの良し悪しによって、その人への第一印象も大きく変わってきます。
実は、印象の良いあいさつには重要で基本的なソーシャルスキルが6つも隠されています。

印象の良いあいさつに必要な6つのソーシャルスキル
  1. 相手と視線を合わせる
  2. はっきりと大きな声を出す
  3. 明るい表情を相手に向ける
  4. 時間や相手との関係上、適切な内容にする
  5. 身を乗り出して話す
  6. 手や身振りを使って表現する

特別なプログラムを使わず、毎日のあいさつを意識するだけでも立派なSSTです。
まずはあいさつを印象の良いものにすることを意識して、毎日実践していきましょう。

はじめから6つすべてのスキルを実践するのは難しいものです。まずはスモールステップの考え方で、1つだけに意識を集中させてあいさつの練習をし、できることを少しずつ増やしていってください。

SSTは大人向けもあるの?

大人がSST受講を希望する場合、以下の立場・有資格者によって提供されます。

大人にSSTを行える人
  • 一般社団法人 SST普及協会が認定する「SSTトレーナー」や「SST認定講師」
  • 上記資格を持つ医師、心理士、精神保健福祉士、精神科ソーシャルワーカーなど
  • 産業カウンセラーやセラピストなど、心理の専門家

これらのトレーナーのいる施設で申し込めば、大人もSSTを受けることができるでしょう。
また職場復帰をめざす休職中の人に向けて、リワークプログラムの一環としてSSTを提供している施設もあります。

休職をしている人のなかには、職場での人間関係がうまくいかないという困難を抱えている場合も少なくありませんよね。
そこで復職を前提としたSSTでは、復帰後の勤務を前提としたロールプレイを行い、適切な人間関係構築のためのコミュニケーション能力と自信の獲得を目指します。

おわりに:発達障がいの子どもへのSSTには、特性による社会的困難を軽減する効果が期待できる

社会の一員として集団のなかで生活していくには、社会的能力やソーシャルスキルが必要です。しかし発達障がいの子どもは、その特性ゆえにソーシャルスキルが発達しにくく、学校や家庭で人間関係のトラブルを抱えがち。社会的困難を軽減し、成長するにつれて増えていく社会生活上のストレスを軽減する効果がSSTには期待できます。大人も受けることができますので、受講できる施設を探してみてくださいね。

参考

・文部科学省「特別支援教育について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008.htm
・昭和大学発達障害医療研究所「発達障害専門プログラムマニュアル~コミュニケーションの基礎編~ 」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000067425.pdf

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