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子どものADHDとトラウマによる症状との関係性とは?

子育て・教育のヒント

ADHDは、近年とくに広く知られるようになってきた「発達障がい」の1つです。身体的な欠陥などが見られなかったことから、精神的な要因が原因とされていましたが、今では脳の機能の違いが主な原因だと考えられるています。

この記事では子どものADHDの症状と、精神的なトラウマによって見られる症状の共通点について詳しく紹介します。

ADHDとトラウマティックストレスは見分けにくい?

ADHDの原因は特定されていませんが、序文でもご紹介したように、何らかの脳機能の違いではないかと考える科学者は増えています。とくに、家族内でADHDが受け継がれることもあることから、ADHDには強い遺伝的関連があるのではないかとされ、既に20以上の研究でADHDは遺伝するというエビデンスも得られています。

とはいえ、今のところ、ADHDは複雑な障害であり、何か1つの要因だけが原因で起こっているのではなく、遺伝的なものも含めた要因が複合的に絡み合って引き起こされるのだと推定されています。とくに、環境要因として「幼少期の鉛・農薬への暴露」「早産・低出生体重」「脳の損傷」「胎児期のアルコール・薬物への暴露」などがADHDのリスクを高めるとされています。

一方で、以前は声高に叫ばれていた「妊娠中の母親のストレスや喫煙」といった要素は、疑問視する証拠が出てきていることもあり、関連性についてより詳細な研究が必要とされています。また、貧困や家庭内葛藤などのストレスがADHDの原因となるかは不明ですが、ADHDに限らずさまざまな疾患や症状を悪化させる要因となることは十分に考えられます。

さて、子どものトラウマ(トラウマティックストレス)とは、日本語では心的外傷と訳されることが多く、直接体験したり目撃したりという形で衝撃的(トラウマティック)な体験をした子どもに見られる心理的な反応のことです。30年以上にわたる研究の結果、子どもや青年期の若者であっても、大人と同様にさまざまなトラウマティック・ストレス反応を示すことがわかっています。

トラウマティックな体験は、非常に幼い子どもであっても脳・精神・行動に影響を及ぼすことがあり、ある程度成長した子どもや大人に見られるものと似た反応を起こします。トラウマとなるような出来事としては「自動車事故」「大切な人の予期せぬ死」「重篤な怪我」「生命を脅かされるような大災害」「暴力的な行為」「身体的・性的な虐待」「ネグレクト・遺棄」などが挙げられます

こうしたトラウマ的出来事の影響は、どのようなサポートを家庭や周囲の大人から得られるかといった保護的要因だけではなく、子どもの気質や、出来事以前のトラウマ暴露体験の有無なども関わってくるため、すべての子どもが一律に同じ反応を示し、同じような影響を受け続けるとは限りません。

とはいえ、このようなトラウマ的出来事を体験した子どもは、不安定な感情が高まり、それを制御できなくなった場合、気分障がい・パニック障がい・分離不安障がい・全般性不安性障がい・恐怖性不安障がいなどと診断されるような病態につながります。エスカレートすると自傷・自殺(未遂を含む)、アルコールや薬物乱用・依存などの重篤な病態を引き起こすこともあります。

こうした症状の中で、過覚醒や過剰な警戒により、多動・注意集中困難・衝動性亢進などの症状が出ることがあり、この部分のみが表出した場合、ADHDと診断される可能性があります。不従順な行動が高じていくと、反抗挑戦性障がいなどの病名がつくこともありますが、学業に支障をきたして成績不良や学習障がい、知的発達の遅れなどの症状が見られる場合もあり、こうした症状もADHDの症状と非常に似通っています。

つまり、貧困や家庭内葛藤などの家庭内でのストレスがADHDを悪化させ、症状が強くなる場合があります。すると症状の原因がADHDの悪化によるものなのか、家庭内暴力などによるトラウマティックストレスなのかわからなくなってしまうのです。逆に、トラウマティックストレスから生じた症状がADHDと合致することもあります。このように、ADHDとトラウマティックストレスは全く同じではありませんが、非常に似た症状が出ることがあり、診断には十分注意が必要です。

ADHDの症状とトラウマティックストレスはどんなところが似ているの?

具体的な症状から見ても、トラウマティック・ストレスによる反応とADHDには、重複する部分と重複しない部分があることがわかります。まずは、重複する症状として以下のようなことが挙げられます。

  • 集中できない、学習困難
  • 話を聞いていないように見える
  • 混乱や多動、落ち着きのなさ
  • 睡眠障害

次に、トラウマティック・ストレス反応とADHDにそれぞれ見られる症状には以下のようなことが挙げられます。

トラウマティック・ストレス反応

  • 恐れや無力感、半信半疑になる、傷つきやすい
  • 過覚醒、焦燥感、イライラ、易怒性
  • トラウマリマインダー(思い出させるもの)を回避する
  • 罪悪感や恥の感情
  • 解離、現実感の欠如、自分の体の外にいる感覚
  • 脅しや危険に対して過度に警戒する
  • 著しく無謀、攻撃的、自己破壊的な行動に出る

ADHD

  • 注意を保ったり、指示に従ったりできない
  • 整理整頓できない
  • そわそわしたり、くねくねしたりする
  • 待つ、順番を譲るということができない
  • 会話ができず、一人で喋り続けてしまう
  • 人の話を遮ったり、割り込んだりする
  • 課題や活動に必要なものでもなくしてしまう

このように、トラウマティックストレスに苦しむ子どもは、トラウマ的な出来事が終わった後でも長期にわたって日常生活に影響を及ぼすようなトラウマ反応を示します。例えば、幼児や小さな子どもの場合はトイレの自立や言葉など、既に獲得していたスキルが失われることや、10代の青年の場合は著しく無謀・攻撃性・自己破壊性の目立つ行動に出ることがあります。

さらに、ADHDの子どもは、そうでない子どもと比べてトラウマティックストレスの影響を強く受けやすいとする意見もあります。研究結果としてはこれを裏付ける結果も、否定する結果もありますが、研究者によっては、ADHDはトラウマティックな出来事に遭いやすいだけで、トラウマティックストレス反応の影響を受けやすいわけではない、とする意見もあります。

いずれにせよ、多くの研究者が指摘しているのは、子どものトラウマ症状がADHDと間違われやすく、したがって誤診のリスクが高いことです。例えば、最初にご紹介した重複する症状のうち、「多動や混乱、落ち着きのなさ」は、トラウマ反応による「多動性や興奮・不安・イライラ・警戒」などから来ている可能性があります。

他にも、不注意はトラウマ反応による解離(現実感のなさや遊離の感覚)、トラウマリマインダーの回避かもしれません。さらに、記憶が蘇るなどでトラウマ的出来事を追体験してしまったときに興奮したり混乱したりすることがありますが、こうした反応はADHDに見られる衝動性と酷似しているのです。

このように、さまざまな症状が共通していることから、ADHDとトラウマティックストレスを正確に切り分けて診断することは非常に難しいのです。すると、診断だけでなく治療も難しくなる可能性があり、結果として効果のない多剤処方やセラピーを受けることにつながってしまうリスクもあります。

ですから、ADHDやトラウマティックストレスを診断する際には、過去の体験の影響なども加味した上で、慎重な診断を行わなくてはなりません。また、それぞれの原因や特異的な症状に対して、ADHDとトラウマティックストレスの関係についてなど、さらなる研究が待たれます。

おわりに:子どものADHDとトラウマ症状は、非常によく似た症状が出ることがある

子どものADHDとトラウマティックストレスによる症状は、多動性や衝動性、注意力の欠如、落ち着きのなさなどで似通っていることがあります。そのため、症状だけでADHDとトラウマティックストレスのどちらから来ているのかを判断することは非常に困難です。

そこで、診断には他の症状や、過去にトラウマ的体験をしているかどうかなど、総合的かつ慎重な判断が必要です。誤診を防ぐため、さらなる研究も待たれます。

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