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自閉症などの発達障がいの改善には、アニマルセラピーが効果的?

子育て・教育のヒント

自閉症スペクトラム障がい(ASD:従来の自閉症とアスペルガー症候群を統合した分類)やADHD(注意欠如・多動性障がい)などの発達障がいの根本的な治療法は、現在のところ確立されていません。しかし近年、発達障がい特有の症状を改善する新たな治療法として、「アニマルセラピー」に注目が集まってきています。

アニマルセラピーには、自閉症の子どもの心を癒す効果がある!?

自閉症やアスペルガー症候群を含む「自閉症スペクトラム障がい(ASD)」の子どもは、特定の物事にこだわりが強く、他者の表情や気持ちをあまり理解できないため、グループ内での協調性に欠ける傾向にあります。この特性によって周りの子どもと馴染めず、対人関係の悩みや感覚過敏から、不安や抑うつ症状を併発しやすいともいわれています。

自閉症スペクトラム障がいは、主に脳の機能障害が原因で起こるものと考えられていますが、根本的な治療薬等は今のところ存在しません。自閉症スペクトラム障がいを持つ子どもは独特の方法で物事を学んでいくため、療育・教育的な治療アプローチで徐々に社会生活に馴染めるように働きかけていくことが重要です。

かんしゃくや抑うつなどの個別の症状には投薬治療が選択される場合もありますが、薬を使わない治療アプローチとして、最近注目を集めているのが「アニマルセラピー」です。

国内の論文「高機能自閉症スペクトラム障がい児へのアニマルセラピーの効果」(大阪ECO動物海洋専門学校/2014年)によれば、高機能ASDの子どもに対して犬を介在させたアニマルセラピーを行ったところ、下記のような効果が得られたそうです。

ストレスや不安感の低減
患者の唾液アミラーゼ活性値(ストレスがあると上昇する)を測定したところ、ストレス負荷が低下したという数値が得られ、また質問用紙の結果でも不安の軽減が認められた。
共感性や客観性の上昇
指導経過とともに、犬の気持ちを自分に置き換えて考える発言をするようになった(友情のような感情が芽生え始めた)。
自己肯定感の上昇
指導経過とともに積極的に課題に取り組むようになり、ポジティブな行動や思考に変化するようになった。

アニマルセラピーで、ADHDの症状が改善!?

ADHDは、多動性や衝動性、不注意が多く見られる発達障がいの一種で、自閉症スペクトラム障がい(ASD)と同様に根治させる治療法は確立されていません。不注意や集中力の欠如に伴う対人トラブルを回避させるために、ソーシャルスキルトレーニングで対処法を学んだり、薬物療法で症状を抑えたりするのが、今のところの一般的な対症療法です。

しかし、ADHDによる注意欠陥症状は、アニマルセラピーを通じて改善する可能性があることが、海外の研究などによって証明されつつあります。

カリフォルニア大学の研究論文「人と動物の相互関係についての報告(Human-Animal Interaction Bulletin)」によれば、ADHDを持つ7〜9際の子どもに犬によるアニマルセラピーを実施したところ、子どもたちの注意欠陥症状が改善し、社会性も改善されたことが確認されたそうです。

また国内でも、10歳のADHD患者にドッグセラピーを実施したところ、今まで集中してこなすことができなかった宿題をすぐに終わらせることができ、子ども本人も「集中すれば宿題ができる!」という自己肯定感を得られやすくなったという事例が報告されています。

アニマルセラピーはパニック障がい患者にも有効?

発達障がいと併発してパニック障がいを持つ患者も多いですが、パニック障がいの人は不安を掻き立てられる状況を回避しがちな傾向にあります。

患者に対してアニマルセラピーを介した森田療法(不安や葛藤を「あるがまま」に受け入れる、受容的手法でアプローチする治療法)を実施したところ、動物に合わせて不安を伴う状況に自ら踏み込む経験を通じて、過度な緊張感や不安感を軽減することができ、自信につながったという論文も発表されています(「森田療法における動物飼育の意義」精神経誌/2010年)。

発達障がいの子どもがアニマルセラピーを実施する時の問題点

自閉症スペクトラム障がいなど、/strong>「相手の気持ちがわからない」という特性を持つ発達障がい児の場合、動物が嫌がっていることがわからず、威嚇された後に攻撃され、怪我をしてしまう恐れがあります。また、動物の方が身の危険を感じてしまい、うまく触れ合えない可能性も考えられます。

発達障がいの子どもは感覚過敏を持ち合わせることが多く、動物そのものを嫌がる場合もあるので、アニマルセラピーを導入したい場合は必ず主治医や患者本人の意見を尋ねるようにしてください。

おわりに:アニマルセラピーで、発達障がいの患者の思考や行動が変化する可能性も

犬や猫などのペットとの触れ合いは、人の心を癒す効果があるとされますが、発達障がいを抱える子どもや患者も、アニマルセラピーを通じて不安感や症状の軽減につながる可能性があります。NPO法人や業者によっては、個人宅へのアニマルセラピーに応じている場合があるので、主治医に確認の上、実施を検討してみてもいいかもしれません。

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