発達障がいの子どもの字の汚さ、どうやって克服させればいい?

発達障がいは脳機能に何らかの障害があり、生まれつき社会性やコミュニケーション、学習能力などに問題を抱えやすいという特性のことですが、発達障がいを持つ子どもは書く字が極端に汚いという傾向があります。

これも本人の練習不足や不真面目さではなく、発達障がいの特性を中心としたさまざまな要因によるものです。この記事では、その原因と克服方法についてご紹介します。

発達障がいの子どもが字が汚いのはなぜ?

発達障がいの子どもの中には、極端に字が汚い子どもがいます。文字を書く時には「鉛筆を手で動かす」「書いている途中の文字を見ながら次に書く位置を決める」「文章全体のバランスを考えて文字を書く」など、さまざまな動作を同時に行っていますが、これらのいずれかに問題があると、出来上がった文字や文章が汚く見えてしまうのです。

具体的には、「鉛筆をうまく持てない、使えない」「字の大きさがバラバラになり、マス目からはみ出してしまうことがある」といった理由が考えられます。鉛筆をうまく使えないのは、手先がうまく使えないことや、目と手の連動(協応=複数の器官が連動して1つの動作を行う)が苦手なことが多いです。

字の大きさがバラバラになったり、マス目からはみ出してしまったりするのは、書きやすさを優先して文字全体のバランスを見ていないことや、解答スペース(ノートのマス目)に合った文字の大きさを想定できていないことが挙げられます。細部にこだわりすぎて全体のバランスを意識するのが苦手なのも、発達障がいの人に多い特性の1つです。

字の汚さを乗り越えるためにおすすめの練習方法とは?

前述のように、極端に字が汚いのは発達障がいの特性上、目立ちやすい症状の1つですが、これは定型発達の子どもと同じように、書く練習を繰り返すことで克服できる可能性が高いです。とはいえ、やり方は定型発達の子どもと同じ練習方法でいい、というわけにはいきません。具体的には、文字の大きさ・正しさ・指示の方法・環境の4つのポイントから見ていきましょう。

文字の大きさを揃えるための練習って?

文字の大きさを揃えるためには、「ゆっくり書く」「大きく書く」「マス目を使って書く」の3つの段階を追って練習していくと良いでしょう。とくに手先が不器用で文字を書くのがイヤだという子どもの場合、そもそも早く終わらせようと雑に書いて余計に字が汚くなっている可能性もあります。そこで、まずはゆっくり書くことから始めましょう

「丁寧に書く」とは、「ゆっくり書く」ことと共通する部分が多いのです。まずは子どもの手に指導する大人の手を添えながら、書く時の速度を体感させてあげましょう。ゆっくり丁寧に書いて、読める字になったときは「ゆっくり書いたから、字がきれいになったね、読みやすいね」とたくさん褒めてあげましょう。

また、「大きく書く」ことは、腕全体を動かすことから必然的に書くスピードが落ち、ゆっくり丁寧に書くことにつながります。さらに、大きく書くことで細部のごまかしがきかなくなり、雑に書いてごまかすこともできなくなります。だいたい3センチ角よりも大きなマス目を使って練習していくと、「丁寧に」かつ「正確に」文字を書く練習ができるでしょう。

そして、全体のバランスを把握するためには、マス目の補助線がついているタイプのノートで文字や文章の練習をしましょう。とくに漢字をバランスよく書くためには、補助線で4つに分けられているマス目のノートを使い、4つの区画のどの部分に角やはね、はらいが来るのかといったことを考えながら書くことが重要です。

テストの際にマス目のない解答欄に書くことを想定した練習は、まずマス目があるノートに解答を書くことから始めます。これが問題なくできるようになったら、次はいったんマス目のあるノートに書いてから、その解答をマス目のない解答欄に書き写す練習をします。それも問題なくできるようになったら、最初からマス目のない解答欄に書いてみましょう。このとき、マス目がないとどうしても難しいようであれば、最初は解答欄に線を引いてマス目を作ることから始めても構いません

マス目で練習を行うとき、急がせることだけは絶対にやめましょう。最終的にはテストで解答を書くため、早く書けるようになるのが理想的ですが、まず読める字が書けるようにならないと解答になりません。読める字が書けるようになってから、スピードを上げる練習に移りましょう。

文字を正しく書くにはどうすればいい?

複雑な形の文字を正しく書くためには、書くポイントを具体的に伝えると良いでしょう。例えば「む」という平仮名を書くときには、「ここでくるんと回るよ、丸が入るように書こうね」「文字の真ん中には、四角が入るくらいの空欄をあけようね」と、できるだけイメージとして子どもが想像しやすいように教えていきます。

漢字を書く時には、分解して「へん」や「つくり」の意味を理解してから合体させて漢字になることを教えると、位置関係で混乱しにくくなります。パーツを足し算して漢字を作るゲームや、パーツで替え歌を作ったりお話を作ったりと楽しみながら記号としての漢字に慣れてもらうのも良いでしょう。

発達障がいの子どもにわかりやすい指示をするには?

発達障がいの子どもは、曖昧な指示を理解できないことが少なくありません。例えば「ていねいに書いて」と言われても、子どもは「ていねいって、どうするの?」と返してしまうかもしれません。そこで、「ここで上にはねよう」「最後は止めるんだよ」「すっとはらおう」など、具体的にどう書くのかを指示してあげましょう。

このとき、擬音を使うのも有効な方法です。「ここはピン!とはねる」「トン、って止めるよ」「はらって、すーっとね」など、音から連想されるイメージを結びつけると、よりわかりやすくなります。

環境を整えるってどうするの?

発達障がいの子どもは、視覚過敏の特性を持っている可能性もあります。紙の白さと文字の黒さのコントラストを強く感じてしまい、文字や記号を認識しにくく、長時間ノートに向き合うのが難しいのです。この場合は、コントラストが激しくならないよう色のついた紙のノートを使ったり、色つき眼鏡をかけたり、勉強机の光量を調節したりすると視覚過敏を軽減し、文字の練習がしやすくなります。

また、これは発達障がいに限った話ではありませんが、そもそも姿勢を保つための筋力が足りていない子どももいます。腹筋やスクワットなどの運動をするとき、早く行うよりもゆっくり行う方が大きな負荷がかかりますが、それと同じように「ゆっくり書く」ためには、姿勢を保ち続ける筋力が必要なのです。

ですから、子どもの「持つ力」や「腕・手の力」が弱いために字がきれいに書けなくなっている可能性もあります。とくに、筆圧が極端に薄くなりやすい子どもでは注意が必要です。もしそうなら、握力を鍛えたり手先の細かい動きをしたりする運動を取り入れる、握りやすい三角鉛筆を使う、鉛筆に補助具をつけるなどのサポートをしてあげると良いでしょう。また、正しく持てているかどうかのチェックも重要です。

全身の姿勢が良いかどうかも確認しましょう。全身の姿勢が崩れていると、思わぬ場所に力が入り、逆に肝心の腕や手に力が入らないこともあります。足が床に届かない場合は踏み台を用意したり、机の高さに合わせて椅子にクッションを敷いたり、体幹や全身の筋肉を鍛える運動を習慣づけたりするのもおすすめです。

おわりに:発達障がいの子どもの字の汚さも、練習次第で克服できる

発達障がいの子どもは、視覚過敏や細部にこだわりすぎる、位置関係を把握するのが苦手などの特性によって、定型発達の子どもと同じ練習方法ではなかなか文字をきれいに書けないことが多いです。

そこで、発達障がいの子どもに合った練習方法で字を練習したり、手や身体の筋肉を鍛えたりして「ゆっくり、具体的にイメージしながら」文字を書いていきましょう。また、色つきノートや補助具などで環境を整えることも大切です。

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