一般的に3歳くらいから発達障がいと診断されるようになるといわれています。保育園や幼稚園で友達とのトラブルが発生しだすお子さんもいるでしょう。そんな悩みの改善には、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)が効果的です。
幼稚園や保育園に通っているような未就学児について、SSTがどうして必要なのか、効果的なSSTを実践している幼児教室を紹介します。
発達が気になる幼児の特徴って?
一般的に、赤ちゃんのころに発達障がいと診断されることは多くありません。個人差はありますが、3歳くらいから発達の特性がわかるようになり、発達がいであると診断されるようになってきます。
3歳前後というと保育園に通っている子どももいますよね。幼稚園に入園する家庭も出てきます。家庭から出て、一緒に遊ぶお友達が増えてくる時期です。
保育園や幼稚園に通い始めると、発達障がいの子どもは次のような特徴があらわれることがあります。
- 友達と遊んでいるときに遊具を突然持っていってしまう
- 友達とけんかになるなどトラブルが多い
- 話をしているところに割り込んでくる
- 話しかけられても黙って返事をしなかったり、会話が成り立たない
- 話しかけられても応答がちぐはぐなことが多い
- 注意散漫で話を静かに聞けない
保育園や幼稚園も集団行動やルールがありますので、発達障がいの特性によっては本人がストレスを抱えたり、周囲の人が対応を工夫して行う必要が発生したりします。
こうしたコミュニケーションに関するトラブルや、集団生活を送る上での生活能力を身につけていくためには、ソーシャルスキル・トレーニング(SST)に取り組むことがおすすめです。
幼児のSSTのポイント
SSTは早期に始めることが重要だといわれています。ソーシャルスキルとはコミュニケーション能力や生活能力のことをいいます。
コミュニケーション能力
- 気持ちのいあいさつや目を見て会話をする
- 人の話をきちんと聞く
- 自分の気持ちや考えを表現する
- 人との適切な距離感を理解し、良好な人間関係を築く
生活能力
- 時間やスケジュールを守る
- 歯みがきや手洗いをきちんと行う
ソーシャルスキルは幼児にも必要ですが、小学校や中学校、さらには大人になって社会に出てからも必要となる能力です。ソーシャルスキルが低いことによって、会社の仕事でミスが多い、職場の人間関係がうまくいかないなどのトラブルを抱えることがあります。
そのため、SSTに早期に取り組んでソーシャルスキルを習得していくことで、将来のためになる能力を伸ばしていけます。
幼児のSSTでは、子どもでも理解しやすい方法を選ぶことが必要になります。言葉での説明は小さな子どもには理解が難しいことがありますし、発達障がいの特性によっては言語コミュニケーションが苦手な子どももいます。
たとえば
- 絵カードや動画から学ぶ
- 数人のグループでゲームや運動をしながら共同の活動で体験する
などの方法が効果的とされています。
SSTを実践している発達障がい向けの幼児教室
SSTは、専門的な知識を持ったトレーナーや心理カウンセラーが行うことが多いです。SSTをおこなっちる幼児教室を紹介します。
「さくらんぼ教室」
発達障がいの幼児教室のパイオニア。小学校入学に向けた「小学生準備コース」など、成長段階に合わせた内容を学べます。小学生準備コースの内容(対象:年長)の一部を紹介します。
学習プログラム
小1までの国語・算数全体授業で小1までの学習をします。「きく」「わかる」力をつけます。
SSTプログラム
入学に向けて、『全体指示を聞ける』、 『友達と一緒に仲良く行動できる』スキルを身につけます。指導内容:『“ありがとう”“ごめんね”の伝え方』、『物語を読んで感想を話そう』、『ボディイメージ』、『みんなの前で発表しよう』、『小学生の一日』など)
「LITALICO ジュニア」
発達が気になる子どものサポートをする幼児教室。2万件以上の指導実績があり、全国に約100の事業所があります。LITALICO ジュニアのサポート概要を紹介します。
基本的な発達のサポート
-
- 母子分離(強引にではなく、無理なく少しずつ実施します)
- 発語 / 言葉の理解 / 見る / 聞く / 模倣 など
- 「見て」「聞いて」などの簡単な指示理解
セルフコントロール
- 感情の理解
- 感情と行動の衝動に対してのコントロール
- ストレスへの対処
- 活動への集中
1対1のやり取り
- 他者理解(他者認識、他者の気持ち・共感)
- 他者とのやりとり(適切な自己表現、会話、ゆずる・あいさつ)
- 問題解決(ヘルプ要請、トラブルの解決策
集団でのふるまい
- あそびの中のルール理解(おもちゃの貸し借り、順番、ゲーム参加)
- 集団や社会のマナー(一斉指示、園生活でのマナー、公共機関での振る舞い)
- 集団参加(協力、役割遂行、優先順位、活動の維持・活動の切替)
「スマートキッズ Toto(トト)」
発達障がいや生きづらさを抱える未就学児~高校生向けの「スマートステップ1-2-3プログラム」は、日常生活に必要なスキル習得をサポートします。
プログラムに基づいて10分×4セットで行われます。10分という短い時間の中で、発達障がいの特性である「特定の物事へのこだわり」「集中力の低さ」をカバーすることを目指し、短時間で効率的にスキルを習得できるようなプログラムが考えられています。
「ファーストドリーム児童発達支援所」
発達に心配のある子どもが「夢に向かって社会に羽ばたける」ようになることを目標に、社会的な自立をサポート。おやつ代、おむつ代無料サービスがあるのも特徴。支援所で行うサポート内容は次の通りです。
リトミック
先生や友達の動きをよく見て、真似をする「模倣」の訓練。集団活動や人と合わせることのトレーニングにつながります。
音楽活動
ピアノやギターなどの楽器に触れ、集中すること、音をよく聞くこと、人から教えてもらうことなどを学習。
微細運動
一枚一枚の折り紙を折り、指先の運動トレーニングにつなげます。そのほか、はさみやのりなどの道具を使うトレーニングもあります。認知の発達、好奇心育成、意思を持って周囲のものと関わっていく、という感覚や行動にもつながります。
以上は幼児教室の一例ですので、自宅から通いやすい教室を探すなどお子さん本人や家族が通いやすい教室を探してみてください。
また、日常のあいさつをきちんとすることも身近なSSTのひとつです。自宅でできるSSTを実践し、できたことを褒めるという「スモールステップ」を積み重ねることも合わせて取り入れてみましょう。
おわりに:幼児のSSTは早期スタートが重要!専門家などがいる幼児教室もおすすめ
幼児のSSTを早期に開始することで、その後小学校などに入学したときのトラブル回避にもつながります。SSTは、あいさつをするなど身近なものからできますが、専門家がいる発達障がい向け幼児教室で基礎をしっかりと身につけると安心ですね。自宅の近くなどに発達障がいの子ども向けの幼児教室がないかチェックしてみましょう。
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