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応用行動分析学(ABA)と行動分析学の違いって?

子育て・教育のヒント

発達障がいの子どもの支援・サポートには、応用行動分析学の考え方が取り入れられていることが多いです。応用行動分析学は、教育、スポーツ、ビジネスなど幅広い分野で活用されています。この応用行動分析学と似た言葉に「行動分析学」があります。

この記事では、応用行動分析学と行動分析学についてそれぞれ説明します。

応用行動分析学(ABA)とは

応用行動分析学はABA(Applied Behavior Analysis)とも呼ばれています。応用行動分析学では、ある行動の前後を分析し、行動を操作することができます。

  1. 行動の前後を分析し、行動の目的を明らかにする
  2. 前後の環境を操作して問題行動を減らす、または望ましい行動を増やす

アメリカでは自閉症児の療育法として、ABAが活発に取り入れられています。また、発達障がいやグレーゾーンの子どもの問題行動の改善効果が期待されます。
たとえば、次のような特性を持つ子どもに対して、ABAによる療育が行われます。

  • こだわりが強い
  • じっとしていることが苦手で落ち着きがない
  • 視線が合わずコミュニケーションが取りづらい
  • 叫んだり奇声を発する
  • 殴る、蹴るなど乱暴な行動が目立つ
  • パニックを起こすことがある

ABAによる問題行動の改善

子どもが問題行動を起こした場合、問題行動だけではなく、行動前の出来事と行動後の結果にも注目します。その際、子どもの感情や思考、行動についても分析しますが、周囲の環境も分析対象とします。

たとえば、保育園で子どもが突然奇声を発して周囲に迷惑をかけてしまったとしましょう。

  • 行動前の出来事:保育士が窓を開けた
  • 行動:子どもが奇声を発した
  • 行動後の結果:友達がびっくりして泣いた

行動前の出来事をさらに詳細に確認すると、窓を開けたことで外からさまざまな音が入ってきたことがわかりました。実はその子どもは聴覚過敏の特性を持っており、保育士が窓を開けたことで苦手な音が耳に届いてしまってたのです。聴覚過敏のために奇声を上げた、という因果関係が判明します。

このように応用行動分析学の考えに基づいて分析すると、奇声を上げた行動に関する「原因と結果」が見えてくることがあります。分析を通して問題行動の原因がわかり、対策につながっていきます。

子ども自身に対しても、今後は奇声を上げずに「何の音が嫌なのか」を周囲に伝えるよう促すことで、お友達を泣かせてしまうという結果を避けるよう努力できます。

このように、ABAは問題行動の原因理解や回避に役立つ考え方なのです。ABAは日本でも発達障がいの子どもの療育に応用が進められています。

行動分析学とは

療育にも取り入れられている応用行動分析学ですが、アメリカの心理学者スキナーが提唱した「行動分析学」という学問を土台にしています。

スキナーの行動分析学が画期的だったのは、行動には環境による作用が働くと考えた点です。当時の心理学では、行動を起こす理由は個人にあると考えていました。しかし行動分析学では、行動は個人だけではなく、周囲の環境との相互作用によって生じると考えました。

こうした行動分析学の考え方が応用行動分析学へとつながっていきました。どのような環境で、どんな条件が揃うと行動が発生するかを分析し、個人と環境の相互作用の中に原因を発見できるようになりました。

行動分析を土台とする応用行動分析学は、自閉症や発達障がいの子どもの療育のみならず、スポーツやビジネスでも取り入れられ、困りごと解決の手法として広まっています。トラブルを回避したい、もっとスキルを向上させたいなど理由はさまざまですが、幅広い分野で活用されているのです。

おわりに:個人と環境から問題行動にアプローチ!実践的な行動修正が可能

応用行動分析学は行動分析学から発展した考え方です。従来は問題行動が起きると、個人に着目して原因を探すことが多かったようですが、行動分析学の登場によって周囲の環境要因も分析対象とすることが広まりました。問題行動の回避や望ましい行動の促進につながる考え方のため、療育の分野でのますますの活用が期待されますね。

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