ADHDとは発達障がいの1つで、注意欠陥・多動性障害とも呼ばれます。集中力がない、じっとしていられないなどネガティブな面が注目されやすいですが、特性は長所にもなります。
そこで、ADHDの人がうまく転職し、長く続く職業に就くためには、自分の特徴や長所をしっかり知っておく必要があります。長所を活用し、合った職業に転職しましょう。
ADHDの人が仕事で活かせる長所や特徴は?
ADHDの人は、就職後に仕事がうまくいかず「もしかして自分はADHDかもしれない」と気づくことが多いと言われています。しかし、だからといってADHDの人が就職や勤労そのものに向いていないというわけではありません。
一般的な定型発達の人が行う就職活動でも、自分の長所と短所を把握し、長所を活かせる職業に就くことは非常に大切です。同じように、ADHDの人でも、自分の長所と短所を把握し、長所を活かせる職業に就けば良いのです。具体的には、以下のような長所と短所を理解しておくと良いでしょう。
- ADHDの人の長所・特徴
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- 好奇心が旺盛で、チャレンジ精神が強い
- 感覚が敏感なため、細かいことに気づきやすい
- 興味や関心があることには、人一倍集中力を発揮する
- 享楽的や楽観的な傾向があり、不安や心配ごとを感じにくい
- 思想がクリエイティブで、アイデアマンになりやすい
- 広く浅い人間関係よりも、狭く深い人間関係を好む
- 誰にでも分け隔てなく接し、公平な評価や関係を保つことができる
- 自由主義者で、拘束されるのを嫌う
- ADHDの人の短所
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- マルチタスクができない
- 楽しくないこと、興味のないことには集中力が続かない
- 納得しないと作業に集中できない
- 脳の切り替えが遅く、1つの作業に没頭しすぎてしまう
長所と短所は紙一重と言いますが、長所は言い換えれば短所になり、短所は言い換えれば長所になります。やみくもに転職を繰り返してしまうのを避けるためにも、これらの特徴や個性を把握しておき、長所を存分に活かせる仕事に就きましょう。
大人のADHDは、就職や転職でどんな職業を選ぶのがいい?
ADHDに向いている職業は、主にデザイナーや漫画家などの「芸術・クリエイティブ系」、プログラマーや学者などの「個人のスキル重視系」などです。具体的に見ていきましょう。
- デザイン系
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- Webデザイナー、インテリアデザイナー
- イラストレーター、CGアニメーター、クリエイターなど
- プログラマー・エンジニア系
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- Webエンジニア、ゲームプログラマーなど
- 情報発信系
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- 編集者、カメラマン、ライター、テレビ関係など
- アーティスト系
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- 作家・画家・漫画家・ミュージシャン
- 俳優・声優・スタイリスト・メイクアップアーティスト
- 建築家・書道家など
- 好きなことに特化した職業
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- 研究者・スポーツ選手・調理師・インストラクター
- 警察官・消防士・自動車整備士
- 歩合の営業職など
これらは、いずれも興味・関心が強い人、個人のスキルが高い人が成功している職業であり、チームワークやコミュニケーション能力はあまり重視されません。そのため、ADHDの人の長所である「興味・関心があることには並外れた集中力を発揮する」「好奇心やチャレンジ精神が強い」といった能力が十分に発揮できるのです。
この中でもとくに興味・関心が強いものを探すのが良いのですが、そうは言ってもスポーツ選手など、特殊なレベルの能力が要求される職業を成人してから目指すのは難しいでしょう。未経験からでも十分に活躍できる職種では「未経験者歓迎のWeb関連」「インストラクター」「調理師」「整備士」などがおすすめです。
ADHDの人だと難しいことも?!仕事選びの注意
逆に、避けた方が良いところは、ADHDの人が持つ短所を要求されるような職業です。具体的には、以下のような6つのポイントを避けましょう。
- 単調・単純な作業
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- 単調な作業の反復が苦手で、注意が散漫になりやすい
- 刺激の少ない農業などの仕事は興味が持てず、成果に結びつきにくい
- 継続や持続的な集中力を必要とする
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- 長時間勤務や労働など、常に集中し続けないとならない場所には向かない
- 脳内で考えがめまぐるしく回るため、集中力を持続させられず、ケアレスミスが増える
- ミスをしないようにと意識しすぎると、また別のミスをする悪循環に陥ってしまう
- 優先順位をつけ、さまざまな方向に注意を払う必要がある
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- 複数の仕事を同時進行する「マルチタスク」が苦手
- 別の仕事を依頼されるとそちらに注意が向き、今までの仕事を忘れてしまう
- 優先順位がつけられず、すべての仕事が中途半端になることも
- 複数の関係部署を同時に動かすなども苦手
- 制約条件が厳しい
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- 納期や禁止条件、段取り、順序、期日などに制約が多すぎると、能力を発揮しきれない
- 上司の監視下で行うような作業も苦手
- スケジュールや締切など、時間管理が必要
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- 自分の興味があることには好きなだけ没頭してしまうため、締切から逆算して仕事をするのが苦手
- 納期に遅れる、アポイントメントの時間に遅れる、などのことが起こりやすい
- 状況によって臨機応変な対応が求められる
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- 状況判断ができないため、叱責されても理解できない
- とっさの対応や判断といった臨機応変さが求められる仕事はできない
ADHDはほかの発達障がいと同じように、脳の機能障害であり、個人の努力不足ではありません。定型発達の人でも得意分野・不得意分野があるのは当たり前ですから、発達障がいの人にも得意分野・不得意分野はあって当然なのです。もちろん、訓練などである程度苦手を克服することもできますが、長く続ける職業にするなら、苦手な分野よりも得意分野を伸ばすほうが早いですし、ずっと有効なのです。
苦手分野を要求されるような職業は避け、興味が持てるクリエイティブな仕事を選ぶようにしましょう。
おわりに:ADHDの人は興味が持てるクリエイティブな職業がおすすめ
ADHDの人の長所で特徴的なものは「興味・関心があることには並外れた集中力を発揮する」「好奇心が旺盛で、自由なアイデアマンである」というところです。ですから、デザイナーやクリエイターなどのクリエイティブな職業や、研究者やエンジニアなどの興味・関心を突き詰める職業が向いています。
逆に、臨機応変な対応を求められたり、単調な作業の繰り返しには向いていません。自分の特徴を知り、合った職業に就きましょう。
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