ADHDがマルチタスクが苦手なのはなぜ?

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発達障がいの1つ、ADHDを抱えている人は、物事に優先順位をつけたり、複数の作業を同時に進行するマルチタスクが苦手だと言われています。一般的な定型発達の人でも同時にいくつもの作業をするのが得意な人と苦手な人はいますが、ADHDの人は脳機能の問題によってその差がより顕著に出てしまうのです。

ADHDの人がマルチタスクに弱い原因とは何なのでしょうか?そして、その原因にどう対処すれば良いのでしょうか。

ADHDがマルチタスクに弱い原因とは?

ADHDの人は、マルチタスク、すなわち複数の作業を同時進行することが苦手です。

例えば、「企画書を提出して、その確認を待っている間に取引先にアポを取って、その後メールチェックと返信をする」などといったように、複数の作業に優先順位をつけたり、とりあえず手の出せることから片付けるというようなことはとても苦手です。

これは、ADHDの人は「ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の作業領域が少ないことや、短期記憶が弱いことが原因とされています。

ワーキングメモリの多さはよく机の広さに例えられます。
机が大きい人はその上にいくつもの作業を乗せて同時進行できるのですが、机が小さな人は1つ2つの作業で机の上がいっぱいになってしまい、その上にその先の他の作業が乗せられなくなってしまいます。
同じように、ADHDの人は作業できる範囲や量が少ないために、1つの作業だけで許容量がいっぱいになってしまい、同時に2つ以上の作業をこなすことができなくなってしまうのです。

また、いくつかの作業の内容をひとまず覚え、優先順位をつけ、順番にこなしていくためには「短期記憶」が必要になります。

ADHDの人は短期記憶が弱いため「一時的に覚えておく」ということが苦手です。
ADHDの人がこのような特徴を持っているということは、作業に慣れているかどうかは関係なく「同時にいくつもの作業をこなすことができない」という問題をつねに抱えて続けているということを理解しておく必要があります。

ただ、これは逆転の発想で考えれば、いくつもの作業を同時進行する「マルチタスク方式」ではなく1つの作業を終わらせてから次の作業に取り組む「シングルタスク方式」にすれば、優先順位をつけなくてもパニックにならずに取り組むことができるということになります。

一見効率が悪いようにですが、ADHDの人は興味・関心を持ったことにはずば抜けた集中力で取り組むことができますし、頭の回転自体はとても速いです。シングルタスクにすれば高い処理能力を発揮できるようになることがあるのです。

定型発達の人はマルチタスクをある程度こなせる人が多いので「シングルタスクしかこなせない自分は劣っているのではないか」と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。
あくまでも脳の特性ですから、できないことを「定型発達の人と同じように」できなくてはならない、と思ってしまうのは誤りです。

得意なことが違うのですから定型発達の人と全く同じ方法で行う必要はありませんよ。

マルチタスクの弱さをどうやって解決すればいい?

では、具体的にどうやってマルチタスクの弱さを解決していけば良いのでしょうか。ポイントは「あくまでもシングルタスクに切り分ける」「自分の短期記憶を過信しない」ということです。

  • 手帳やスマートフォンを常に持ち歩き、覚えておかなくてはならないことは全て書き込む
  • ToDoアプリ、リマインダーアプリなどを活用し、定期的に思い出せる仕組みを作る
  • ToDoリストやメモを見ながら「1つずつ」「確実に」タスクを処理していく
  • Excelなどを使い、タスクのステータスが見えるようにするのもおすすめ
  • 複雑な作業はできるだけ分解し、具体的な手順ごとにToDoリストにする
  • 業務タスクを1ヶ所に集約し、可視化することで集中力の分散を避ける

このように、やることができた時点でメモを取り、さらにそれをToDoリストやアプリなどによって可視化しておくと、忘れてもメモやリストで確認できて抜け漏れがなくなります。
複雑な作業で混乱してしまいそうなときは、まずできるだけその作業を分解し、具体的な手順としてシングルタスクに落とし込みます。

使うツールは何でも構いませんが、移動が多い人ならToDoアプリやメモ帳、ずっとデスクワークの人ならExcelなどがおすすめです。業務中にスマートフォンを触れない環境の人も少なくないでしょうが、Excelならたいていの会社のパソコンにはもともとインストールされていますので、タスク管理ツールとして使えます。さらに、クラウドタイプのExcel型シートを使うと、会社でもプライベートでも使えて便利です。

このようにタスクを1ヶ所に集約して可視化することは、ADHDの特性の1つである「集中力の分散」を防ぐのにも役立ちます。好奇心旺盛なADHDの人は、やることがあちらこちらに散らばっているとやはり優先順位をつけられなくなってしまいますが、タスク管理として1つにまとまっていれば、その中で順番に確実にこなしていけるのです。

また、周囲の人がADHDの人に指示する場合は、以下のようなことに気をつけましょう。

  • 指示はいっぺんに出さず、1つ1つ出す
  • 何かを伝えるときは、テレビ・ラジオ・BGMなどは消す
  • 伝えたいことは、できるだけ絵や図に描いて説明する
  • 伝えたいことが複数あれば、紙に書いたりメールで送信するなど、形に残す
  • 本人が何かに集中しているときに話しかけない

ADHDの人はワーキングメモリが少ないため、指示を一度にたくさん出されても覚えていられません。そこで、指示は1つ1つ順番に出しましょう。どうしても複数伝えることがあるときは、紙に書き出したりメールで指示を出すなど、形に残しておくと本人が忘れず、後からタスクとして管理しやすくなります。

また、ADHDの人の特性として「興味のあることには没頭しやすい」というものもあります。つまり、集中しているときには話しかけても聞こえていない、覚えていない可能性があります。指示や伝えるべきことは、できるだけADHDの人の集中が途切れたときに話すようにしましょう。

おわりに:ADHDの人はワーキングメモリが少ない

ADHDの人は、ワーキングメモリと呼ばれる脳の作業領域が少ないといわれています。これはパソコンの「メモリ」と同じく、一時的に物事を記憶しておく「作業机」のようなもので、小さいほどマルチタスクが苦手と考えられています。

つまり、ADHDの人はマルチタスクをそのまま行うのではなく、シングルタスクに落とし込んで作業すれば良いのです。ToDoアプリやExcelなどを活用し、上手にタスク管理を行いましょう。

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