子どもが発達障がいやグレーゾーンとわかったときに「早期療育」をすすめられることがあります。しかし「まだ小さい子どもに療育をして伝わるのだろうか?」と不安に感じるかもしれません。
子どもに対する療育では成長や発達に合わせた内容であることを基本とし、遊びを通して行動の改善やコミュニケーションを促す方法があります。
子どもの発達と自立をサポートする「療育」とは?
発達障がいは、生まれつき脳の発達に何らかの障がいが生じている状態を指します。そのため本人の性格に問題があるわけでも、家族の教育によって引き起こされたわけでもありません。
発達障がいの子どもには、特定の物事へのこだわり、他者とのコミュニケーションが希薄である、言語コミュニケーションが苦手などの特性がみられます。特性の影響によって、友達作りや集団行動などの社会生活、対人関係でトラブルやストレスを抱えることが少なくありません。
こういった課題は、年齢が上がるにつれて大きくなっていく傾向がみられるため、発達障がいの人に対して「療育」を早期に取り入れることがよいと考えられています。
療育の種類って?自閉症の子どもは個別療育がおすすめ
療育は、本人の発達を促し、社会的な自立や社会参加をサポートしていくことを目的としています。
療育の方法はさまざまありますが、主に用いられているのは次のような方法です。
- 療育の主な種類
- 応用行動分析学(ABA)、TEACCH、PECS、作業療法、言語療法、音楽療法、感覚運動 など
これらの療法を、本人の特性や発達の段階に合わせて組み合わせて行っていきます。療育を行うに当たり、「個別療育」と「集団療育」に分かれます。
集団療育
集団療育では、複数人の子どもを集めて一緒に療育を行います。ゲームや共同制作遊びなどを通して、協力やゆずり合いなど社会性を伸ばしていくことも大きな目的のひとつになります。
個別療育
療育を行う大人と発達障がいの子どもとのマンツーマンで行います。他人に対する関心が著しく低い、集団での行動がまだ十分にできないなどの子どもは、個別療育が適切な場合もあります。
自閉症スペクトラム症の子どものなかには、対人コミュニケーションが苦手な子どももいますので個別療育を検討することもあるでしょう。
遊びを通した療育のポイント
療育では、ゲームや共同制作遊びなど、厳しい内容よりは子どもが楽しめる遊びを通して行動や考え方を修正する方法があります。
- ボール遊び
- 幅広い年齢の子どもが好むボールを使った療育です。ボールを投げたりキャッチしたり、いろいろな扱い方にチャレンジして、運動能力を刺激することができます。年齢が5歳くらいになってくるとボールゲームをすることができます。ボール的当て、ボールリレーなどのゲームを通して、ルール遵守や協力など社会性を身につけられます。
- ロープ(なわとび)
- 輪にしたり丸めたり形を変えられるロープを使った遊びです。ロープをくぐる、床に敷いたロープをジャンプして飛び越えるなど運動機能の発達を促します。年齢が上がってくるとなわとび運動をするようになりますが、跳ぶ以外の使い方でも幅広い遊びができます。
- 新聞紙遊び
- 身近な素材である新聞紙を、いろいろな形に変えて遊びます。新聞紙ボール作りなど、形が変わりやすい新聞を扱うことで、手指の動きの操作を鍛えます。
- 音楽遊び
- 音楽に合わせて手をたたく、手遊び歌でジェスチャーを学ぶ、自己表現の手段が増えるなどが期待できます。
上記で説明した遊びを通した療育はほんの一例です。子ども本人が興味を持てる遊びか、発達の指導計画に沿った内容になっているかなどを検討しながら、さまざまな方法をとってみるのがよいでしょう。
発達障がいの療育は、スモールステップの考え方で小さな成功体験を積んでいくようにします。子どもが何かできることが増えたり、ゲームを達成したり、人とコミュニケーションをとれていたら「すごいね」などほめ言葉をかけてあげてください。
おわりに:子どもの療育は遊びを通して実践!特性や発達段階に合わせて組み合わせよう
「療育は早期開始が重要」といわれると、焦ってしまったりついお子さん本人にプレッシャーをかけてしまうかもしれません。しかし療育は遊びの形式で進めることもできますので、子どもが楽しんで継続していくことも大切です。すぐに結果が出るとは限りませんので、長い目でじっくり取り組んでいきましょう。
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