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HSPと発達障がいの違いって何? 診断基準は?

発達障がいの基礎
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最近、ツイッターやネットメディア、書籍のヒットで話題の「HSP(とても敏感な人、繊細な人)」。感覚が過敏なゆえに生きづらいのが特徴で、しばしば「発達障がい」と勘違いしてしまったり、誤診されたりするケースもあります。今回は、両者の違いと診断基準をお伝えしていきます。

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HSPと発達障がいは同じ?違う?

結論から言うと、「HSP」と「発達障がい」は別物です。

発達障がいとは、主に「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」を指す総称で、脳機能の発達に関わる障がいであり、医学的な診断名です。

一方の「HSP(Highly Sensitive Person)」は、障がいや病気を指す医学用語ではなく、「ひといちばい敏感で、繊細な気質」を指す心理学用語です。アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が提唱した心の特徴を表す概念であり、HSPの人はおおまかに下記のような特徴を持ちます。

感受性が強い
共感性が高く、他人の感情を強く受け取り過ぎてしまう
周囲から得る情報量が多く、少しの刺激でも疲れやすい

「自分に当てはまる」と思った人もいるのではないでしょうか。実際、世界中の約5人に1人はHSPともいわれ、近年では日本でもHSPの関連書籍が増えています。

HSPの診断基準は?「DOES」でセルフチェック

前述したように、HSPはその人の「気質」を指す心理学用語であり、医学的な診断基準があるわけではありません。
ただ一部、HSPの診断をする医療機関も存在します。基準は医療機関によって異なりますが、基本的には、下記の4つの性質「DOES」に全て当てはまる人がHSPと判断されます。

深く複雑な考え方をする(「D」:Depth of processing)

  • 1を聞いたら10まで想像でき、考えられる
  • 間違ったことをするとどうなるか、よく予測できる
  • 調べ物をすると深く掘り下げ、知識を広く習得する
  • 物事を始めるまでに、色々考え過ぎて時間がかかる

刺激に敏感で疲れやすい(「O」:being easily Overstimulated)

  • 大きな音が苦手
  • 人混みが苦手
  • 嗅覚が敏感
  • 暑さや寒さの変化に弱い
  • 人の気持ちや空気をよく感知する
  • 人のちょっとした言動で深く傷つき、動揺してしまう
  • 本や映画、音楽などの芸術作品に感動して泣くことがある
  • 友達と遊ぶと気疲れしやすく、帰宅するとどっと疲れる

共感性が高く、人の気持ちに振り回されやすい(「E」:Empathy and emotional responsiveness)

  • 辛い思いをしている人の気持ちが、手に取るようにわかる
  • 人が怒られていると自分が怒られているように感じる
  • 人のちょっとした仕草や声のトーンで、機嫌や思っていることがわかる
  • 他人や、本や映画の登場人物に感情移入し、心が乱される

些細な刺激を鋭く察知する(「S」:Sensitivity to subtleties)

  • 時計の音やちょっとした機械の動作音が気になってしまう
  • 強い光や日光の眩しさが苦手
  • 周囲の臭い(他人の口臭など)に敏感で、気分が悪くなる
  • ちょっとした肌の刺激(衣服のタグなど)に敏感

各項目に挙げたものは具体例ですが、「D」「O」「E」「S」の4つのうち、1つでも当てはまらない人はHSPではないと定義されます。

HSPと発達障がいは、誤診されやすい?具体的な違いは?

HSPと発達障がいは一部似た特徴があるので、HSPなのに発達障がいと勘違いしたり、誤診されたりするケースがあります。HSPの人が誤診されやすい発達障がいが、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)とHSPの違い

ASDは先天性の発達障害の1つで、下記のような特徴があります。

対人関係の構築が困難
相手の表情から気持ちを読み取るのが難しかったり、遠回しな表現が理解できなかったりして、対人関係を築くのが難しい傾向にあります。
1つの物事へのこだわりが強い
興味や行動に偏りがあり、同じことを何度も繰り返し行ったりします。

ASDのタイプによっては、言語能力の発達の遅れが見られることもありますが、大きな特徴が「対人関係で苦労を抱えやすい」点です。

HSPも対人関係で疲れやすいという特徴がありますが、これは「相手の気持ちや考えを深く読み取り過ぎる」理由によるものです。相手の願いを察し過ぎて思ったことが言えず、気疲れしてしまう気質が関係していると考えられます。
ASDは逆に、「相手の気持ちを読み取るのが難しい」ために対人関係の構築が難しいのが特徴で、ここがHSPとは大きく異なります。

また、ASDもHSPも「自己肯定感の低さ」を抱えることが多いのですが、ASDは「他人の気持ちがわからなかったり、偏った考えを理解してもらえないために対人関係が築けず、自己肯定感が下がる」のに比べ、HSPは「他人の気持ちを読み取り過ぎる上に、自分のせいで他人が機嫌を損ねたと思いやすいため、自己肯定感が下がる」点も異なります。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)とHSPの違い

ADHDの人には、下記のような特徴があります。

不注意である
無くし物や忘れ物が多い傾向にあります。
集中力に欠け、じっとしていられない(多動性)
じっと何かに集中することが苦手です。授業中立ち歩いてどこかへ行ってしまったり、1つの仕事をしている途中で別のことに手を出したりなど、気が散りやすい傾向にあります。
思いつくとすぐ行動してしまう(衝動性)
物事をパッと見で判断し、うっかりミスをしてしまうことがよくあります。

上記のADHDの特徴は、よく考えてから行動する、慎重なHSPとはかなり異なります。しかし、HSPの人も周囲にアンテナを張り過ぎて疲労が溜まったり、神経を使い過ぎたりすると集中力が落ちてしまうことがあります。
また、HSPとADHDは「自分が何か失敗したのでは」という不安を抱えやすく、自己肯定感が低い点では似ています。ただHSPの場合は、他人の気持ちや評価を過度に気にしていることが理由ですが、ADHDは自分の不注意な点を自覚していることが理由という点で異なります。

おわりに:HSPと発達障がいを見分けるには、自己分析も必要

近年メディアや書籍でも取り上げられつつあるHSPを、発達障がいと誤解している人もいるようですが、HSPは敏感で繊細な「気質」を表す言葉です。障がいや病気ではないので、医療機関での診断が難しく、HSPを知らない医師からはASDやADHDと誤診されてしまうこともあります。ご自身の特徴をよく観察し、合った対策をすることが「生きづらさ」からの脱却の第一歩です。

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