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パニック障がいになった人に、家族ができることはある?

発達障がいの基礎
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パニック障がいは、症状の出ている本人は死の恐怖を感じるほどつらいものですが、それを身近で見ている家族も同様です。家族が知っておきたいパニック障がいの症状の見分け方や、病院に付き添うときの注意点、治療をどうサポートしていくかという点において、パニック障がいの家族への接し方をご紹介します。

身近に「もしかしてパニック障がいかも?」と思う人がいれば、ぜひ参考にしてください。

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パニック障がいの症状って?何科で診断される?

パニック障がいは、今まで普通に何の問題もなく生活していた人に、突然なんのきっかけもなく動悸・息切れ・呼吸困難・めまい・吐き気などのパニック発作が起こり、しかもそれが繰り返されるものです。発作そのものは10分程度でピークを迎え、長くても30分から1時間程度でおさまります。

しかし、体の病気を疑って内科などで心電図・血圧などの検査を受けても「異常なし」と診断されてしまうため、なぜ発作が起こるのかわからず不安を抱えてしまうことになります。パニック発作が疑われるのは、以下の13項目のうち、4つ以上の症状が同時に起こる発作が起こったときです。

  • 心臓がドキドキする(動悸、心拍数の増加)
  • 発汗
  • 体の震え
  • 息切れ、息苦しさ
  • 喉に何か詰まったような窒息感
  • 胸の痛み、胸のあたりの不快感
  • 吐き気、お腹のあたりの不快感
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
  • 今起こっていることに現実感がない、自分が自分でないような感じ(離人感)
  • 自分のコントロールを失うこと、気が狂ってしまうことへの恐れ
  • このまま死んでしまうかもしれないという恐怖
  • 体の一部がじんじん、びりびりとしびれる感じ
  • 寒気、または熱っぽさ

また、こうした発作に加え、発作が次にいつ起きるのかという再発を恐れ、常に強い不安や心配、発作へのこだわりが続いてしまうという特徴があります。このような不安感や緊張感もパニック障がいの症状の1つで「予期不安」と呼ばれ、日常生活に大きな支障をきたす原因の1つです。とくに、この予期不安があるかどうかはパニック障がいと診断する上で重要です。

パニック障がいのサイン「予期不安」と「回避行動」とは

予期不安ははっきりと本人が自覚していないこともありますが、いつも身近にいる家族から見ると、違和感を感じて気づくことがあります。
例えば、

  • 以前より神経質になった
  • なんとなく落ち着かない様子である
  • 心配やこだわりが続いている など

の様子が見られたら、それとなく「何かあった?」と尋ねると良いでしょう。

また、予期不安の症状が現れ始めると、以前に発作が起きた場所や、発作が起きたときにすぐ逃げ出せない場所、すぐ助けが得られない場所を避けるようになります。これを「回避行動」と言いますが、このように避けている場所があるかどうかも、パニック障がいを見分けるポイントの1つです。

例えば、これまで日中はずっと家にいて問題なく家事をこなしていた人が、急に一人で家にいるのを嫌がるようになったり、スーパーのレジに並ぶのが不安になり、買い物ができなくなったりするといったことです。また、すぐ止まれる、降りられる自分の車には乗れても、電車やバスなどの公共交通機関には乗れない、なども回避行動の1つと考えられます。

他にも、人混みやエレベーターの中、トンネルの中、会議への出席などを避ける傾向があります。もともとの性格ではなく、急にこうした行動が見られるようになった場合は、ぜひ一度医師の診察を受けるよう勧めてみてください

家族がパニック障がいの通院に付き添うときの注意点は?

パニック障がいは、脳機能の働きの乱れ、異常によって起こることがわかっています。一時的なものであり、治療は十分可能なのですが、残念ながら放置していても自然治癒する可能性は低いです。また、「気の持ちよう」「根性」といった精神的な部分だけでもやはり治療できません。そこで、医学的な処置が必要になります。

発作に対する不安がだんだん強くなっていくと、最終的に外出できなくなったりする可能性もありますので、日常生活に大きな支障が生じる前に、できるだけ早めに病院へ行きましょう。発作への不安から、混雑している、長く待たされるといったイメージのある病院へ行くことを拒否してしまうかもしれません。そのときは、病院には医師が常駐しているため、万が一発作が起こっても安心であることを伝えましょう。

また、パニック障がいの人を一人で病院に行かせるのではなく、家族の誰かが付き添うことも大切です。いざというときに一人で対処するのではなく、助けてくれる人が一緒にいてくれることは、患者さんにとって大きな安心感につながります。空いていて歩きやすい道を選んだり、電車やバスに乗らなくてもいい近場の病院を提案したり、一緒に考えたりすることも良いでしょう。

病院で医師に相談するとき、家族がしてあげるといいこと

パニック障がいでは強烈な発作が起こるため、本人がその時の状況を正確に医師に説明するのは難しいかもしれません。そんなとき、家族が変わって状況を説明できれば、本人にとっても医師にとっても、正確な診断のために非常に有益な情報が得られます。さらに、発作に対する不安から日常生活にどんな支障や変化が出ているかなどを客観的に見た情報も、診断のために重要です。

また、どのような治療が行われ、回復までにどのくらいの期間が必要なのかと言った概要を家族も一緒に聞いておけば、家族自身の不安の解消につながります。また、本人は発作の際の恐怖感から、「死ぬことはない、必ず治る」と言われてもなかなか受け容れられないこともあります。そんなとき、家族が疾患や治療について正しく理解しておけば、サポートを行ったり、後から患者さん本人に説明したりすることもできます。

もし、病院で発作が起こってしまった場合、「大丈夫だよ、しばらくすればおさまるから、慌てないでね」など、優しく声をかけ、冷静に対応しましょう。他にも、以下のようなサポートができます。

  • 呼吸が浅かったり過呼吸になったりしていたら、ゆっくり腹式で呼吸するよう指導する
  • 呼吸をしやすくし、体の熱を逃がすため、衣類をゆるめる
  • 室内や車内の場合、窓を開けて空気を入れ替える
  • 太陽が照りつけているときは、日陰に移動する

パニック障がいの治療で、家族がサポートできることは?

パニック障がいの治療中、家族はなにか特別に対応を変える必要はありません。今まで通り、普通に接しましょう。ただし、サポートできることとしては、生活習慣を整えられるよう睡眠リズムや食事のリズムを整える、アルコールやタバコを控える、という2点がありますので、ぜひ協力してあげると良いでしょう。

もちろん、このときもガミガミと小言を言って最初から全てやらせようとするのではなく、本人のペースに合わせ、少しずつ健康的な睡眠リズムや、禁酒・禁煙をすすめていきましょう。とくに、不安や恐怖からついアルコールやタバコの量が増えてしまう人もいますが、これはかえってパニック障がいを悪化させてしまいますので、量が増えないようよく見ておいてください。

また、服薬に気をつけてあげることも大切です。パニック障がいの治療のためには、SSRIを始めとした抗うつ剤が使われますが、飲み忘れると中断症状が出たり、症状がぶり返したりするリスクもあります。ですから、お薬の飲み忘れがないよう、家族も注意して見ておくことが大切です。

とくに、パニック発作が起こらなくなる=病気が治った、と考えてしまい、すぐに薬を飲まなくなってしまう人もいます。しかし、服薬でパニック発作がおさまっている状態は、薬で症状をコントロールしただけです。その状態で薬を勝手にやめてしまうと、パニック発作の症状がぶり返してくるだけでなく、症状が悪化することもあります。本人や家族の自己判断で薬をやめず、必ず医師に相談しましょう。

もし、自宅にいるときにパニック発作が起こった場合は、そばにいて安心するよう声かけをするとともに、息をゆっくり吐かせて呼吸を整えさせ、圧迫感や閉塞感のない落ち着いたところに移動しましょう。頓服薬が処方されているなら、それを飲ませてください。パニック発作は非常に激しい症状が出るので家族もびっくりしてしまうのですが、後遺症などが残るわけではありませんので、慌てず落ち着いて対処しましょう。

リラックスできる環境を整えよう

ストレスは、パニック発作を悪化させるリスク要因の1つです。ストレスと言うとどうしても精神的なものを想像しがちですが、気候の変化や肉体的な疲労も身体的なストレスの1つで、パニック発作の要因となりえます。また、夏の蒸し暑い時期のもわっとした空気も、パニック発作を起こしやすいとして知られています。

ほかにも、睡眠不足や過労も体力の低下を招き、パニック発作を起こしやすくします。ですから、患者さん本人がリラックスして治療に取り組めるよう、できるだけ環境を整えてあげましょう。

認知行動療法をサポートしよう

投薬などでパニック発作がある程度コントロールできるようになってきたら、これまで避けていた場所や状況に慣れられるよう、少しずつチャレンジしていく曝露療法(段階的曝露療法、認知行動療法)が行われるようになります。電車やバスに乗る、デパートやスーパーに買い物に行くなど、最初は患者さん一人ではなく、家族が一緒に付き添ってあげましょう。

そして、不安になったときは声かけをしたり、手を握ったりしてあげることで、リラックスして過ごせるかもしれません。もし、1駅だけでも電車に乗れたというように、今まで全くできなかったことができたときには「すごいね!できたね!」と褒めてあげることも大切です。それは患者さんの大きな自信につながり、さらに次のステップに進む手助けとなります。

職場やもとの生活に復帰するとき、服薬管理のサポートを

パニック障がいが起こると、仕事を休んだり、家事をやめたりして治療に専念せざるを得ない人もいます。そのため、医師からそろそろ仕事や家事に戻ってもいい、と言われると、完全に良くなったのだと思ってしまい、服薬を自己判断で中止したり減らしたりしようとしてしまう人がいます。

しかし、今まで仕事や家事を休んでいた人がもとの生活に戻ることは、再び大きな生活の変化を体験することになります。仕事や家事が軌道に乗るまでは、まだまだ薬の助けが必要なのです。服薬治療が終わっていない間は自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。また、故意ではなくてもつい飲み忘れてしまうことも多い時期です。「薬は飲んだ?」などの家族の声かけが大切です。

おわりに:パニック障がいになった人には、発作のときのサポートをしよう

パニック障がいは脳の働きの異常ですから、必要以上に神経質に気を使って接したり、腫れ物扱いしたりせず、今まで通り普通に接して構いません。しかし、発作が起こったときは「大丈夫だよ」と落ち着かせてあげたり、場所を移動したりするなどのサポートをしてあげると良いでしょう。パニック発作の症状で死ぬことはありませんので、家族も落ち着いて対処しましょう。また、病院への付き添いや服薬管理のサポートも重要です。

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