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ADHDが車の運転で注意することや免許取得までの困りごととは?

発達障がいの基礎

ADHDは、日本語に直すと「注意欠陥・多動性障がい」と呼ばれるもので、発達障がいの1つで、注意散漫や短期記憶の困りごとがあるといわれています。ADHDは特性上、車の免許の取得や、実際に車道で運転したり、ということが苦手だと言われています。

では、ADHDの人は免許を取ることはできないのでしょうか?また、車を運転する場合、どのような点に気をつけなくてはならないのでしょうか?

ADHDの人でも車の免許は取れるの?

結論から言えば、ADHDの人でも車の免許を取ることはできます。しかし、当事者の人がブログなどで多く書いているように、そのためには大変な努力や苦労が必要です。

これは、ADHDの特性として、忘れっぽくて不注意であること、そのためにミスをしやすいということ、興味がないことは極端に避けてしまう傾向などが理由として挙げられます。これらの点は車の運転と非常に相性が悪いのです。

たとえば、教習の予約をしてもうっかり忘れてキャンセル料金がかかってしまう、期限はまだ先だからと教習所に通うのを先延ばしにしてしまう、他のスケジュールが入って忙しくなると、極端にやる気を失ってしまうなど、そもそも教習所に通うところでつまずいてしまう人もいます。
暗記が苦手な人は何度も筆記試験でつまずいたり、標識を覚えられなかったりすることも少なくありません。

運転の実習では、複数の操作を同時に行えず何度も怒られたり、複雑な形の交差点でうっかり一方通行の道を逆走してしまったり、赤信号の下で直進の矢印が出ている場合、アクセルを踏むのを躊躇してしまったり、車線変更してきた車に驚いて思わず関係ない自分もブレーキを踏んでしまったり、とっさの状況判断ができないのです。

また、男性の場合は運転免許を取るならマニュアル車でなくてはならない、オートマ限定を取る男は情けない、格好悪い、と思い込んでいる人や、そうした風潮もあるようです。
しかし、マニュアル車はオートマ車よりもADHDの人にとって難しく、教習所でもミスが目立ってしまう人が多いようですから、オートマ限定を取ることも考えてみた方が良いでしょう。

教習所での実習において、学科・技能・日常生活の面からADHDの人の困難をまとめてみると、以下のようになります。

学科
  • 交通ルールや交通標識を学習する学科の講義に集中し、理解する必要がある
  • ADHDの場合、長い授業時間に集中することができない場合が多い
技能
  • 運転に必要な認知力・判断力・操作力が問われる
  • 認知力:道路の状況や歩行者・標識・障害物などを瞬時に正確に把握する能力
  • 判断力:認知した情報をもとに危険を予測し、速度などを調整する能力
  • 操作力:判断した内容から、ハンドルやブレーキなどを使って実際に車を動かす能力
  • ADHDの場合、不注意によって他車や標識を見落としやすい
  • 的確な判断ができず、交通ルールに従えないということもありうる
  • 発達障がいの特性「協調運動障がい」も持っている場合、S字・クランク・方向転換・車庫入れなどがうまく行えないことも多い
日常生活
  • そもそも教習時間に間に合わない、集団生活が行えない、AEDの研修で他人と関われないなど
  • 指導員とコミュニケーションが取れない、入寮した寮生活でトラブルが起こる
  • 運転中に1つ失敗をすると、そのことが気になりすぎて次々に失敗を繰り返してしまう
  • 筆記や技能の結果が良くても、失敗したところだけに目が向いてしまう
  • これらは過去のいじめや叱責、失敗体験などで自尊感情が低いことが原因と考えられる
  • このような課題が多いと、学科や技能に問題がなくても教習所を休んでしまったり、最悪の場合、辞めてしまったりすることも

このように、ADHDの人にとっては、教習所に通って集団生活の中で訓練を行うこと自体が難しいことも少なくありません

学科や技能に問題がないのであれば、これは非常にもったいないことです。このような場合は、合宿ではなく自宅から通いやすい教習所にして入寮の必要がないようにするなど、個々の症状に合わせた対処が必要になるでしょう。

ADHDの人が運転するとき起こりがちなミスとは

では、免許が取れた場合、実際に運転するときに起こりやすい困りごとにはどんなことがあるのでしょうか。まずは、運転に向かないと言われるADHDの特性から見ていきましょう。

  • 運転しながらぼーっとしてしまったり、注意力が散漫になったりする
  • 瞬時の状況判断が苦手である
  • 衝動性を抑えられず、乱暴な運転をしてしまう
  • 衝動性や不注意で、よく車をぶつけてしまう
  • 周囲のドライバーの気持ちや意図を理解できない
  • 運転中にパニックを起こしてしまうことがある
  • 不注意からよく接触事故を起こしてしまう
  • 運転中に会話をすると、運転から意識が逸れてしまう
  • 周囲の刺激(気になる車や景色、看板など)に気が散りやすい
  • 標識や信号を見落としやすい
  • 車庫入れや、狭い立体駐車場などでの駐車が非常に苦手
  • 不注意から、ガソリンスタンドに行き忘れてガス欠になってしまう
  • 発達性協調運動障がいを持つ場合、空間把握が弱く方向音痴になりやすい

なかでも、事故になりやすいポイントは以下の5点です。

わき見運転などにより、信号や標識を見落としてしまう
  • ADHDの特性である注意や関心が移りやすいことが、わき見運転につながりやすい
  • 横で見えたお店や建物に気を取られ、正面の赤信号に気づかないなど非常に危険
急いでいると、ついスピードを出してしまう
  • ADHDの中でも、時間の管理が苦手な人に多く見られ、時間がなくなって急いでしまう
  • スピードを出していると視野が狭くなり、急停車も難しくなるため非常に危険
「攻めの運転」をしてしまいがちである
  • 進路変更や黄色信号のときの判断で、つい「大丈夫だろう」と進んでしまう
  • 場合によっては危険な事故にもつながりかねないため、ADHDの場合はとくに慎重な態度で運転する方が良い
眠気や過集中により、注意が逸れる
  • ADHDの特性「過集中」で運転に集中してしまった場合、集中が切れると眠くなってしまうことも
  • 過集中にならないよう気をつけることはもちろん、疲労などで眠くなっているときの運転はとくに注意が必要
複数のことに同時に注意を向けられない
  • 速度メーターを気にしすぎて赤信号を見落とした、信号に気を取られすぎて歩行者を見落としたなど
  • 車の運転はたくさんの場所に同時に注意を向けなくてはならないため、バランスが偏ると危険なことが多い

このように、ADHDの特性が強く出てしまう場合、危険な事故にもつながりかねません。では、これらの特性をどう管理していったら良いのか、次章で見ていきましょう。

運転するとき、どんなことに注意すればいい?

前章でご紹介した、ADHDの特性が事故につながりかねないリスクをどう管理し、安全な運転をしていくかは、ADHDの人が運転をする際に非常に重要な課題です。主に、以下のようなことに気をつけて運転すると良いでしょう。

運転中は集中できる環境を整える
運転以外のことに気を取られすぎない、過集中にならない、精神的にイライラなど不安定な状態にならないために、リラックスできる環境を整えましょう。
例えば、以下のようなことが考えられます。
  • 後部座席の窓は、外から景色が見えないようにする
  • バックミラーやサイドミラーを目に入りやすい位置にする
  • 音楽やラジオを流し、眠気を避けたり過集中にならないようにしたりする
  • できる限り慣れた道を通り、刺激を受けにくくする

こうした工夫によって、運転中は運転だけに集中できるようにしましょう。

時間にゆとりを持って運転する
焦るとついついスピードを出してしまうので、時間にゆとりを持ち、安全運転を心がけましょう。
「攻め」の運転ではなく、「守り」の運転を行う
アクセルかブレーキかで迷うようなときは、ブレーキを踏むなど基本的に「止まる」「待つ」など守りの運転が事故につながるリスクは非常に低いです。
どちらか迷ったら「守り」と決め、止まる、待つなどを心がけておきましょう。
健康状態について、定期的に医師と相談する
  • 運転に適した健康状態かどうか、定期的に医師と相談する
  • 薬の副作用などで眠気が出る場合、それを抑える方法などを聞いてみる
  • もし、医師に運転を止められた場合は絶対に運転しない
できるだけ、同乗者を依頼する
    • 障がい者専用の駐車場はあっても、専用の道路などはない
    • 一人での運転に不安がある場合や、運転を始めたばかりの頃は、できるだけ同乗者を頼む
    • 職場で運転が必要な場合は上司に、プライベートの場合は家族に頼むと良い

もちろん、上記の手段を全て行わなくてはならないというわけではなく、基本的には自分の特性に応じて必要な対処を行いましょう。
具体的に言うと、衝動性が強い場合は「守り」の運転や時間の管理をしっかりする、不注意のみが現れる場合は集中しやすい環境を整える、などです。
ただし、定期的な医師との相談だけは必ず行うようにした方がいいでしょう。

また、どうしても運転が苦手な場合は、無理に車にこだわらず、他の移動手段を考えることも大切です。遠い場所なら電車やバスなどの公共交通機関や、近くなら自転車なども良いでしょう。
多少不便かもしれませんが、大きな事故を起こして自分も他人も大怪我をするような事態にならないためにも、状況によっては安全を優先することも必要です。

おわりに:ADHDの人でも免許を取って運転することはできるが、難しい

ADHDの人でも免許を取ることができないわけではなく、中には一般道路で普通に運転している人もいます。しかし、免許を取るための教習においても、その後の実際の運転においても、ADHDの特性が強く出すぎないよう、また、特性が事故につながらないよう、個々の症状に合わせた工夫が必要です。

とくに、医師との定期的な相談は必ず行いましょう。もちろん、医師に止められた場合は、絶対に運転してはいけません。

コメント

  1. より:

    ADHD19歳です
    田舎なので車は必須。ということで親に車校に打ち込まれましたが、まさに教習場でつまづきまくってます。
    同時に見て、しかもそれをちゃんと頭で認識して、「人が歩いてる止まらなきゃ」とかが咄嗟に思えないので教官にブレーキ踏まれまくって注意を受けますが、その注意も理解するのに時間がかかるのでまた意識が頭にいって周りを見ていないと言われてしまいます。
    スピードも恐ろしいのでハンドルを握っている時は、常に動揺していて他の車を考えるとかの余裕などありません。
    訳もわからずにMT車を選んでしまったのもあって、焦りがエンスト等に現れて常にパニック状態となります。
    車の運転は普通に出来るよねって世の中なのでおかしいなぁって思っていたのですが、ADHDが運転に向いてない難しいと読んで「やっぱりかぁ」とすこし心が軽くなりました。参考にしながら免許だけでも取ろうと思います。

  2. でぃーこみゅ編集部 より:

    怜さん
    でぃーこみゅ編集部です。
    コメントありがとうございます!
    記事を読んですこし心が軽くなったみたいで良かったです。ADHDの特性も、良い方向に出てくると仕事や日常生活に役立つこともあるので、ご自分の特性にあわせて工夫してみてくださいね。焦らずのんびりいきましょう!
    これからも記事を読んでいる人に寄り添った記事、心がラクになる記事、困りごとが解消できる記事を作っていけるようにがんばっていきますので、ぜひまたのぞいてみてください。