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ADHDの子どもが集中力を高めるためにできることは?

子育て・教育のヒント

ADHDは日本語で「注意欠陥・多動性障がい」と訳される発達障がいの1つで、注意力や集中力の欠如や、じっとしていられず活発に活動し続けることなどが症状として挙げられます。特に小学校入学以降は授業に集中できない、人の話を静かに聞くことができないという困りごとが発生します。では、ADHDの子どもが集中力を高めるためには、どんなことをすれば良いのでしょうか?

ADHDの子どもの集中力が途切れやすいのは、なぜ?

ADHDの主な症状は「不注意」「多動性」「衝動性」です。このうち、集中力を途切れさせやすいのは「不注意」で、「ひとつのことに集中できない、集中力が続かない」「周りの刺激に気を取られやすく、注意が逸れやすい」という傾向があります。このような傾向は、具体的に学校生活や学習面では、以下のような困りごとの形で現れます。

細かいところまで注意を払えない、不注意による間違い
  • 単純な計算ミスなどのケアレスミスを繰り返す
  • 文章を書くとき、先のことを考えすぎて字が抜ける
  • 「とめ」「はね」「点」など文字の細かいところまで注意を払えない
  • 問題文を最後まで読まず、飛ばしてしまって間違える
課題や遊びなどの活動中、注意を集中し続けられない
  • 途中で注意が逸れて投げ出したり、ゲームなどの自分の順番を忘れたりする
好きなことや興味のあることには集中しすぎてしまい、切り替えが難しい
  • 話しかけても気づかない、集中しすぎて中断するのが難しい、など
面と向かって話しかけられていても聞いていないように見える
課題や活動を行うとき、順序立てて行えない
  • 計画が立てられない、課題の手順がわからない
  • 一度にいろいろなことに手を出してしまい、優先順位がつけられなくなる
同じことを繰り返すのが苦手
  • 漢字を繰り返し覚えるなど、こつこつ努力するのが苦手
  • 面倒くさがって最後までやらず、途中で諦めてしまうことも
集中が長続きせず、気が散りやすい
  • 周囲の音や声などに敏感に反応してしまう、いつもイライラしている
  • 目に入ってきた別の刺激にすぐ興味を示してしまう

このように、一般的な不注意の程度を超えた過度な不注意は「ワーキングメモリー」という脳機能が十分に働いていないせいではないかと考えられています。ワーキングメモリーとは、現在行っていることや考えていることを一時的に保存しておく記憶のことで、発達障がいの人では多かれ少なかれこの脳機能が低下しているとされています。

例えば「5時から夕ご飯を作り始める」「頼まれた買い物はニンジンとタマネギ」という2つのことをワーキングメモリーに記憶しておくと、「もう4時半をすぎたので急いで買いに行かなくては間に合わない」などと状況判断をすることができます。しかし、ADHDをはじめとした発達障がいの人では、このワーキングメモリーが十分に働かないため、注意が逸れやすかったり状況判断が的確にできなかったりすると考えられています。

ADHDの子どもの集中力を高めるための対策はある?

前述のことを踏まえると、ADHDの子どもの集中力を高めるためには、大きく分けて「途切れやすい集中力に対して工夫する」「飽きさせないよう、興味を引く」「周囲に刺激を少なくする」の3つのポイントからのアプローチが有効だとわかります。それぞれのアプローチ方法について、詳しく見ていきましょう。

途切れやすい集中力に対する工夫

ADHDの子どもの集中力が途切れやすいのは、仕方がないことです。そこで、まずは子どもが「座って」「勉強する」ということを視覚的に理解できるよう、文字やイラストの書かれた絵カードなどを見せて「このカードを見せたら座って勉強する」という合図にすると良いでしょう。子どもがその通りに行動したら、しっかり褒めてあげます。じっとしていることにストレスを感じても、保護者から褒められることでストレスを軽減し、我慢やじっとしていることを覚えられます。

また、勉強に使う以外のものにきょろきょろしはじめたり、そわそわしたりなど集中力が切れそうになったら「勉強する」のカードを見せたり「もう少し勉強しようか」など、集中を続けて行けるような声かけをしていきましょう。最初からいきなり長い時間集中することは難しいでしょうが、5分程度じっとしていられたものが、10分になり、15分になり、20分になり、とだんだん長くしていくことはできます。毎日トレーニングを続け、時間をかけて少しずつ集中する時間を長くしていきましょう。

最初の頃、10分ごとに集中力が途切れてしまうようなら、課題を細分化し、10分程度で終わる課題を切り替えてたくさん行うのも良いでしょう。例えば、10分間漢字ドリルをやった後、計算に切り替え、さらに次の10分は音読をし、漢字ドリルに戻り、といったように、数ページずつに分けて回数をこなす方法です。

飽きさせないよう、興味を引く

学校の宿題に多い、漢字ドリルや算数の計算などは、黙々と課題をこなしていかなくてはならず、2〜3もんで飽きてしまう子も少なくありません。そこで、ドリルなどと並行して、子どもが興味を持ちやすいカルタやパズルなどの学習ゲームを行う方法があります。漢字なら、へんとつくりに分かれたカードを組み合わせて漢字を作る、数字の書かれたブロックや棒などで足し算や引き算の練習をするなどです。

また、新しいものやデジタル家電が好きな子どもなら、パソコンやタブレット端末などで同じように学習ゲームをやらせてみるのも1つの方法です。漢字ゲームも計算ゲームも、アプリなどがたくさん出ています。テレビゲームが好きな子どもなら、鉛筆を持って勉強するよりも集中力が続くかもしれません。

さらに、保護者の方に時間があれば、一緒に勉強してあげるとより集中力が続きやすくなります。例えば、漢字の練習や計算問題などは、1問ずつ交代で解いていくなど、「次は○○くん(ちゃん)の番だよ」「次はお母さん(お父さん)の番ね」と、コミュニケーションを挟みながら進めて行くと、近くで一緒に勉強できる喜びや安心感の中、集中して勉強しやすくなるでしょう。

周囲に刺激を少なくする

ADHDの子どもは、どうしても周囲の刺激に気が散りやすい傾向があります。ですから、勉強する場所の周囲に刺激となるようなものを置かないことも重要です。例えば、勉強机の上や中には玩具や漫画本を置かない、壁にポスターなどを貼らない、音の出る時計やスマホなどを子ども部屋に置かないなどです。

テレビがつけっぱなしで玩具が出しっぱなしになっている居間の隅などでは、ADHDの子どもは集中しにくく、すぐに気が散ってしまいます。ですから、専用の子ども部屋がない場合は、部屋の隅を利用した三角コーナーを作り、カーテンをつけたりパーティションで区切ったりするなど、子どもの視界に余計な刺激が入らないようにすると良いでしょう。

また、子どもによっては机や椅子の肌触り、匂いなどに敏感で気が散ってしまうこともあります。子どもの様子を見ながら、よりよい環境を整えていきましょう。

おわりに:ADHDの子どもの集中力は環境や工夫、訓練で伸ばすこともできる

ADHDの子どもをはじめ、発達障がいの子どもは脳のワーキングメモリーが足りないためにさまざまな障がいが出ていると考えられています。とくに、ADHDの場合は注意が逸れやすい、集中力が続かないといった傾向につながります。

これらの傾向を軽減するには、周囲の余計な刺激を減らす、子どもの興味を引く、時間をかけてじっと勉強に集中する訓練をするなどがあります。子どもの様子を見ながら、少しずつ行っていきましょう。

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