発達障がいがある人の就職や就労に伴い、発達障がいであることを雇用先に伝えるかどうかは、非常に難しい問題です。
今回は、発達障がいであることを雇用先に伝えて就労する「オープン就労」と、伝えないまま就労する「クローズ就労」、そして障がい者雇用の流れについて解説していきます。
クローズ就労とオープン就労って?伝える義務はない?
発達障がいは、見た目や選考中の短時間では周囲に気づかれにくい障がいといえます。面接や働き始める際に、企業側に障がいについて伝えるか伝えないか、当事者が選ぶことができます。
一般的に、自身を雇用してくれる企業側に発達障がいを告げることをオープン就労、障がいを告げずに就労することはクローズ就労と呼ばれています。
オープン就労とクローズ就労、それぞれには以下のようなメリット・デメリットがあります。
オープン就労のメリット・デメリット
- メリット
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- 特性上、苦手な業務を行わずに済むよう職場に配慮を求めることができる
- 治療に必要な通院や服薬、デスク周りなどの環境に配慮してもらえる
- 職場で理解をしてもらえれば、人間関係がスムーズになり定着率が高くなる
- デメリット
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- 障がいに対し、企業側がマイナスイメージや採用への不安を抱く可能性がある
- 応募できる、選考に参加できる求人数が限られてくるため、就職活動が難航しやすい
- 長期間きちんと働くのが難しいのではとの懸念から、採用に至らない可能性がある
クローズ就労のメリット・デメリット
- メリット
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- 応募や選考に参加できる求人数、職種の幅が広くなる
- オープン就労に比べ、企業側からマイナスな先入観を抱かれることが少なくなる
- 職種にもよるが、オープン就労に比べ賃金が高額になりやすい傾向がある
- デメリット
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- 治療に必要な通院や服薬のための、就労時間や勤務形態への配慮が得にくい
- 業務内容や勤務環境、指示の仕方などに特性に応じた配慮を受けられない
- トラブルや不安を抱えやすくなり、結果的に退職してしまうリスクが高くなる
オープン就労とクローズ就労、どちらを選ぶのも当事者の自由ですが、メリット・デメリットの両方をしっかり理解したうえで、決断しましょう。
障がい者雇用に応募するするときの流れって?
ここからは、オープン就労をめざす場合の障がい者雇用の大まかな流れについて、5つの段階でわかりやすく解説していきます。参考にしてくださいね。
- 自身の特性と、自分なりの就職先への条件を設定する
- 自身の特性と条件に合致する企業に、どのようなところがあるか調べる
- トレーニングを受けて、就職活動・就労の準備をする
- 求人を見つけて応募し、選考・実習に参加する
- 求職者・企業側双方の合意のもと、継続して就労する
自身の特性と、自分なりの就職先への条件を設定する
まずは自身の特性と得手不得手を整理・理解し、自己分析をしていきましょう。
自身の能力を理解できたら、次にどんな仕事をしたいか、仕事を通して何を得たいか、仕事をするうえで譲れない条件は何かについて考え、リストアップしてください。
自身の特性と条件に合致する企業に、どのようなところがあるか調べる
まずは一般雇用・障がい者雇用の条件に関係なく、自身が設定した仕事に求めることや業務内容・条件に合致する求人を、どのような企業が出しているのかを知りましょう。
トレーニングを受けて、就職活動・就労の準備をする
就労移行支援事業所や職業センター、大学や各自治体が実施するイベントなどでは、発達障がいの人がスムーズに就労するためのトレーニングを受けられる場合があります。
自分の強みとなる特性を高めたり、就職活動や就労上の課題の解決のために、まずは事業所に通って準備するのがおすすめです。
求人を見つけて応募し、選考・実習に参加する
障がい者雇用の求人を自身で見つける、または発達障がいの就労を支援する団体などを通じて求人を探し、応募して選考に参加します。
選考では、一般的な就職活動と同様に面接も行われますが、障がい者雇用では面接に加え実際の業務を体験させる職場実習が行われるケースが多いです。
職場実習により、求職者側は実際の仕事内容を学んで適性を測ることができ、企業側にとっても求職者が職場に適応できるそうかを知る機会となります。
求職者・企業側双方の合意のもと、継続して就労する
選考・実習の結果、求職者と企業側の双方が合意に至れば、就労が決定します。
支援機関や職場の同僚・上司の協力も得ながら、企業のなかで能力を活かせるよう、できるだけ長く継続して就労しましょう。
おわりに:オープン就労とクローズ就労、どちらにもメリット・デメリットはある
発達障がいであることを企業側に告げたうえで就職し、働くことをオープン就労、障がいを告げずに働くことをクローズ就労と言います。
就職に際し、発達障がいをオープンにして仕事をするかどうかは、当事者の意思で決めることができます。
ただし、オープン就労・クローズ就労のいずれにも、メリット・デメリットがあります。将来に大きく関わることですから、それぞれをよく理解したうえでどちらの道を選ぶか決めてくださいね。
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