生まれつき脳の働きに障がいがあり、他の人とは違う特性や症状が現れる発達障がい。発達障がいは大人になるまで気づかない場合もあり、症状はさまざまです。特性があるものの確定診断に至らない「グレーゾーン」と診断される人も多くいます。
今回は、発達障がいやグレーゾーンと呼ばれる人に必要な職場でのサポートについて、解説します。
大人になってから発達障がいの症状や困りごとが出る理由
大人になると、子どもの頃に比べて対処すべき問題や人間関係が広がり、円滑に仕事や日常生活を送るために必要な判断や物事の管理が複雑になってきます。
もともとの特性に、このような成長による生活や環境の大きな変化やストレスが重なることで、大人が発達障がいの症状を表すケースが多いのです。
また、医学的な発達障がいの定義にぴったりとは当てはまらないものの、特性による症状から生活上困難を抱えている「グレーゾーン」と呼ばれる人たちも存在します。
- グレーゾーンとは
- 定型発達と発達障がいの境界領域に位置する人を指す俗称ですが、グレーゾーンであるかの見極めは、医師でも大変難しいと言われています。発達障がいやグレーゾーンであるかどうかは、医師が複数のテストや基準に基づき、時間をかけて診断・判断します。
専門家ではない本人、または周囲が発達障がい・グレーゾーンと勝手に決めつけることは無用な偏見やトラブルを生むリスクをはらんでいますので、自己判断は絶対にしないでください。
発達障がいグレーゾーンの人に現れる特徴やサイン
大人の発達障がいやグレーゾーンの人に現れやすい特徴としては、以下が挙げられます。
- 異常に物事へのこだわりが強く、仕事上の指示が伝わらない、または従えない
- 同時に2つ以上のことをこなす、マルチタスクが極端に苦手でできない
- 1つの業務中に別の指示をすると、もう1つの業務が進まない
- 注意力が散漫で、同じ様な小さなミスを何回も繰り返す
- 世間的な常識や場の空気、暗黙のルールを読み取れない
- 冗談や建前を言葉通りに受け取り、トラブルになってしまう
- 雑談が苦手で、会話のキャッチボールができていない
仕事や日常生活のなかで、特定の人に上記のような特性を感じたら、さらに注意して観察してみてください。他にも気が付く特性があるかもしれません。
上記の特徴に当てはまる項目が多ければ多いほど、その人が大人の発達障がい、グレーゾーンである可能性は高いと考えられます。
グレーゾーンの人たちに周囲がサポートしてあげられること
発達障がいやグレーゾーンの人は、他の人とは脳機能が生まれつき異なるため、物事の得手不得手が極端に特性として、極端なかたちで現れてしまうものです。
このため、定型発達の人が当たり前にできているコミュニケーションの取り方や曖昧な指示での仕事の進め方に、対応できないケースもあります。
しかし一方で、周囲がサポートしてあげることで、発達障がいやグレーゾーンの人が本来の能力を発揮できる環境を作ることも可能です。
大人の発達障がい、グレーゾーンの人のために職場の人ができるサポートとしては、以下のような内容が挙げられます。
- 業務内容や指示は文字や絵で可視化して、具体的に説明し伝えるようにする
- 予定や、今行っている業務をリストやイラストにして可視化し、タスクを整理する
- 複数の仕事の同時進行は難しいので、仕事の指示は1つずつこなしてもらう
- 得手不得手の特性を理解し、個々の能力を活かせる立場・部署へ配置する
- 本人が集中して仕事に取り組めるよう、聴覚や視覚への刺激が少ない環境を用意する
- パニック症状や多動衝動を抑えられなくなったときのための、個室を用意する
- 大声での注意や叱責は避けて、明るい声ではっきりと指示や注意をする
- 上記の対応をまとめた、マニュアルを作成する
その人の特性によって周囲ができる支援内容も変わってきますので、上記を参考に、相手に合っていそうなものを実践してみましょう。
おわりに:大人の発達障がい、グレーゾーンの人が集中して仕事に取り組める職場環境を、周囲が整えてあげよう
大人の発達障がいやグレーゾーンは、子どもの頃に比べて管理すべき物事の範囲が大きく複雑になることがきっかけで、症状が出るケースが多いとされます。
その特性ゆえに仕事や日常生活でトラブルを抱えることも多いですが、一方で周囲の工夫により、彼らの本来の能力を発揮できる職場環境を作ることも可能です。個々の特性により適切な方法は異なりますが、本人の様子を見つつ、できそうな工夫から始めてみると良いでしょう。
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