発達障がいの特性は、いつ頃から子どもに現れるものなのでしょうか。
今回は、子どもに発達障がいの特性があらわれ周囲の大人が気付く一般的なタイミングについて解説。各年齢の健診で行われる発達障がいチェックについても、紹介していきます。
うちの子発達障がいかも?と気づくのは大体何歳?
一般的に、発達障がい児の保護者は、子どもが3歳になる頃までに「発達障がいかもしれない」と気がつくといわれています。
これは、3歳頃までに以下のような発達障がいの特性が子どもにあらわれることが多いためです。
- 3歳頃までにあらわれることの多い発達障がいの兆候
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- 特定のものや物事へ強いこだわりが見られる
- 他の子と比べて動作がぎこちなく感じられる
- 言葉の遅れ、他者とのコミュニケーション困難が見られる
- 集団行動が苦手
乳幼児健診で発達障がいの検査をするのはなぜ?
1歳6か月から3歳までの間に行われる乳幼児健診は、社会性やコミュニケーション能力に困難・特性があらわれる広汎性発達障がいを早期発見しやすいタイミングとされます。
子どもの社会性は、1歳頃から徐々に育まれていくことが一般的です。いいくつかの指標をもとに社会性の発達度合いを見ていくことで、赤ちゃんの発達障がいのサインなど、乳幼児の時点で早期発見につながることがあります。
また、乳幼児健診は乳幼児の発育・発達障がいの専門家が集まる場であるため、保護者からの相談と合わせてさまざまな角度から子どもの発達を診ることができます。
- 乳幼児健診に集まる子どもの発育・発達障がいの専門家
- 小児科の医師、保健師、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士、小児神経専門医、児童精神科医 など
保護者の目から見て少しでも気になる兆候があるなら、専門家による客観的な視点から検査やアドバイスを受けられる機会ですので、相談することをおすすめします。
とくに初めての子育てで戸惑いの多い保護者の場合、プロの力を借りて我が子の心身の状態を確認できる乳幼児健診は、発達障がいに気がつく良いきっかけになりやすいといわれています。
子どもの健やかな成長をサポートするためにも、積極的に活用しましょう。
1歳6か月健診の発達障がいチェックリスト
ここからは、各年齢の乳幼児健診で発達障がいについてわかること・わからないこと、具体的なチェックポイントについて紹介していきます。
まず、1歳6か月の健診で発達障がいについてわかることとわからないこととして、以下が挙げられるでしょう。
- 1歳6か月健診でわかること
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- 社会性やコミュニケーションに特性があらわれているかどうか、自閉症スペクトラムなど広汎性発達障がいの可能性があるかどうか
- 1歳6か月健診でわからないこと
- ※まだまだ落ち着きがなく、読み書きなどができない1歳6か月時点では確認不可能とされています
1歳6か月の子どもに発達障がいの可能性があるかどうかは、以下のポイントで子どもの社会的行動ができるかどうかを見て、判断していきます。
- 1歳6か月健診の発達障がいチェックポイント
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- 呼名反応 …名前を呼ばれて反応し、呼んだ人と目を合わせられるか
- 模倣 … 一緒に遊んでいる大人を見て、その行動をマネできるか
- 注意喚起 … 親の注意を自分に引きつけられるか
- 共同注意 … 親の目線や指さしを目で追ったり、自分の興味を指さしたり、物を持ってくることで親に伝えられるか
- 普段遊ぶ様子から「みたて遊び」が増え、「感覚遊び」が減ってきているか
- 社会的参照 …新しい場所で不安なとき、親の顔を見て確認するか
3歳児健診の発達障がいチェックリスト
3歳児健診では、広汎性発達障がいの兆候と精神的な成長の遅れが見られないかを、保護者と子ども本人への聞き取りから探っていきます。
この段階でも、確認できるのは広汎性発達障がいの兆候のみ。
注意欠陥や多動性に関する質問も行いますが、3歳児健診では注意欠陥・多動性障害と学習障がいの可能性については、まだ確認できません。
健診では親と子、それぞれに以下のような内容で聞き取り・観察を行っていきます。
3歳児健診での親への確認事項
- 普段の子どもの様子について
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- 子どもと話していて、会話が成立しないことはあるか
- 自分の名前が言えない、目を合わせてくれないことはあるか
- 周囲の人や物に興味がない様子が見られるか、ごっこ遊びなどに参加しているか
- 特定のものや遊びに極端なこだわりがあるか
- 一人でいることを好きで、ふっとその場からいなくなることがあるか
- 転びやすく、ケガをするような危険・無謀なことを平気でしているか
- ジャンプや、段差を飛び越えることに苦手意識を持っているか
3歳児健診での子ども本人への確認事項
- 子ども本人の反応や行動について
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- 名前や年齢など、簡単なことを質問されて適切に応えられるか
- 特定のものを見せて、その大小や長短、色の違いなどを識別できるか
- 健診会場で保護者や他の子どもたちと、どのように関わっているか
5歳児健診でも気づきが可能!発達障がいチェックリスト
5歳児健診では、普段の子どもの様子について保護者に以下の質問を行います。
- 5歳児健診での親への確認事項
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- スキップやブランコ、片足ケンケンができるか
- お手本を見ながら、自分1人で四角を書けるか
- 大便やボタンのかけはずしが、1人でできるか
- 遊びに行くとき、家族に声をかけていけるか
- じゃんけんの勝敗を理解できているか
- 集団で遊ぶことができているか
- 部屋の隅で1人、ぶつぶつ言いながら遊ぶのを好むか
- 遊んでいてもあまり根気が見られず、1つの遊びを続けられない傾向があるか
- 自分の名前が読め、言葉の発音がはっきりしているか
- 数字やひらがなが、早い時期から読めていたか
- 方言を使うことが少なく、親を含む大人に堂々と丁寧な言葉で話すか
- 自分から見て、左右をはっきり認識しているか
- 思いつくと行動、発言せずにいられない様子が見られるか
- 食事のときにじっとしていられず、外で迷子になった経験があるか
- テレビの場面やコマーシャルを極端に好む、または怖がる様子が見られるか
また診断をより正確にするため、5歳児健診では保護者以外に集団行動での様子を良く知る保育園・幼稚園の教諭の同席を求めることがあります。
家族である保護者ではみられない、子どもの保育園・幼稚園での様子をみており、また客観的視点を持っているため、正確な診断に役立つのです。
おわりに:1歳6か月~5歳までの乳幼児健診で、発達障がいの兆候の確認や診断はある程度可能
まだまだ落ち着きがなく、本格的な学習も始まっていない乳幼児健診では、特に広汎性発達障がいの可能性についてチェックと診断が行われています。一般的に、保護者は子どもが3歳になる頃には発達障がいの可能性に気がつくといわれています。この保護者の気づきや違和感をもとに、子どもの発達の専門家たちの目線からのアドバイスを受けることで、少しずつ発達障がいの確定診断へとつなげていきます。
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