子どもの頃から発現していた特性に誰も気がつかず、大人になってから初めて発達障がいの診断を受けることを「大人の発達障がい」と言います。
今回は、周囲や本人が大人の発達障がいに気づくために知っておくべき行動の特徴や、診断・治療の必要性などについて、解説していきます。
大人の発達障がいの人がやりがちな行動とは?
大人の発達障がいの人がやりがちな言動の具体例としては、以下が挙げられます。
- 複数のことを、同時進行で続ける「マルチタスク」ができない
- 例)電話をしながらのメモができない、新しい作業を始めると直前の作業を忘れる
- ルーティーンを重要視し、スケジュール変更を極度に嫌う、できない
- 例)仕事の段取りや予定を乱されると起こる、突発的なアクシデントや残業に対応できない
- 物事に優先順位をつけられず、細かなことに著しくこだわっている
- 例)状況よりも自分のこだわりを最優先する、周囲の建設的な意見にも耳を貸せない
- スケジュールや金銭などの管理がうまくできない
- 例)二重・三重に約束をする、忘れ物や紛失が多い、待ち合わせにほぼ毎回遅刻してくる
- 極端に整理整頓が苦手で、品物を乱雑に置いておいてしまう
- 例)物を集めてしまい捨てられない、物を片付けたり管理できず乱雑に放置してしまう
- 他者の気持ちに配慮ができず、興味の偏りが極端で激しい
- 例)興味のある話題・物事以外は無視する、一方的に話し続ける、空気が読めない、自分が見える意見だけを信じ込みクレーマーになる
- あらゆる感覚が過敏になり、うつや不安症状などが見られる
- 例)急に無表情・無感情になることがある、そわそわして落ち込み・不安を感じてしまう
自身・または周囲の人が上記のような症状に複数当てはまっているなら、本人が自覚や診断を得ているかどうかにかかわらず、大人の発達障がいが疑がわれます。
病院で診断を受けた方がいいの?
大人の発達障がいを受けて得られるメリットには、以下が挙げられます。
- これまでうまくいかなかったことの原因の1つを、知ることができる
- 自分の特性について、医師の視点から客観的に理解することができる
- これまでの生き方が合っていなかったことを知り、新たな対策を考えるきっかけになる
- 自分の特性に合った対策や対処法を、アドバイスしてもらえる場合がある
- 発達障がいによって生じたうつ、不安症状などの二次障がいを治療できる
- 障がいの程度や本人の希望によっては、障がい者手帳を発行してもらえる
このように、大人になってから発達障がいの診断を受けることは、主に診断を受けた本人の過去の失敗への納得や、今後の生き方への対策を講じる際に大きなメリットとなります。
しかし一方で、障がい者手帳や症状改善のための治療・アドバイスは必ずしも必要なわけでも、受けられるわけでもありません。
大人の発達障がいの診断は、精神神経科の病院などでもらえますが、疑わしい症状がある場合は絶対に検査を受けなくてはならない、というわけではないのです。
発達障がいの検査・診断を受けるか、また診断結果を受けてどのように行動するかは、本人の自由です。必要以上に一喜一憂する必要はないと、覚えておいてくださいね。
おわりに:大人の発達障がいに気づくために、普段の行動や考えを振り返ってみよう
大人の発達障がいの人の多くは注意力や管理能力が低いため、スケジュールや金銭・人員の管理が必要な仕事において、失敗が多くなります。すると徐々に自己評価が極端に低下して、うつや不安症状などの二次障がいを引き起こしてしまうのです。
自身、または周囲の人の言動をふりかえってみて、上記のような症状があるなら大人の発達障がいかもしれません。気になるなら病院での診断・治療を受けるのも1つの方法ですので検討してみましょう。
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