活発すぎたり不器用だったり、お子さんの個性が気になることもありますよね。そのまま行動しているうちに、大ケガをするんじゃないか、集団生活での遅れをとるんじゃないかと。心配するご家庭も少なくないでしょう。
そういった個性は、もしかしたら「感覚統合」に偏りがあるせいかもしれません。
「感覚統合」とは?固有受容覚と前庭感覚って?
私たちの体はさまざまな刺激を受けとる「感覚」を持っています。感覚でよく知られているのが「五感」(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)です。
五感のほかにも感覚はあり、「固有受容覚」と「前庭感覚」が存在します。
- 固有受容覚
- 手足の状態や筋肉の伸び縮み、関節の動きの感覚。
- 前庭感覚
- 身体の動きや向き、傾き、スピードを感じる感覚。バランスや目の動きにも関係している
人は、この2つの感覚と五感を合わせて7つの感覚を持っているのです。脳内では、次々と入ってくる感覚を統合(整理・分類)して、無意識でも自分の身体を絶え間なくコントロールしています。
アメリカの作業療法士・エアーズ博士は、身体をコントロールするための感覚の整理・分類を「感覚統合」と呼びました。
感覚統合が行われていないとこんな特徴がみられる
7種類の感覚を整理・分類して身体をコントロールするのが感覚統合です。しかし、すべての人が感覚統合を問題なく行えているわけではありません。
感覚統合がうまく行われていないと感覚の受け取り方に偏りが出ます。自分を取り巻く状況を把握して、適切な行動をとることが難しくなります。
- 落ち着きがない
- 乱暴な動作が多いように見える
- ケガをしそうな危ない遊びを非常に好む
- ハサミや色ぬりなど物を使った細かい動作が苦手
- ジャンプしたり走ったりするときに動きが不器用に見える
- 転びやすい
- 人に触られることを極端に嫌がる
- 言葉の発達がゆっくりである
子どもの発達と感覚統合の関係
感覚統合は、一般的に子ども時代から行われており、日常生活の遊びや行動を通して完成されていきます。
もしお子さんの行動や発達に関して不安や疑問を感じたときは、日本感覚統合学会が公開している資料を参考にしてみるのもおすすめです。
- 日本感覚統合学会JSI-R(Japanese Sensory Inventory
- 感覚機能の発達状態を知るための資料 Revised)http://jsi-assessment.info/jsi-r2002.pdf
ただし、この資料は子どもの感覚統合について正確な診断をするための資料ではありません。医療機関や療育センターを受診するひとつの目安として活用してみてください。
実際に感覚統合に問題があるとわかった場合は、感覚統合療法がとられます。感覚統合療法とは、遊びを通して感覚機能の発達を促すことを目的としたトレーニングです。専門機関などで作業療法士が行うことが多いですので、気になる人は医療機関や療育センターなどに相談してみましょう。
おわりに:感覚に偏りがみられる感覚統合はトレーニングで改善できる
子ども時代から刺激を受けつつ完成されていく感覚統合。中には感覚に偏りがあり、落ち着きのなさや特定の感覚への過敏がみられることもあります。お子さんの気になる動きなどがある場合、医療機関や療育センターに相談してみると安心ですね。
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