アスペルガーに起こりがちな仕事のトラブルって、どうやって回避するの?

アスペルガー症候群の人々は、その特性上、仕事でもトラブルを引き起こしてしまうことがあります。仕事もやはり対人関係の一つですから、コミュニケーションや想像力が必要とされることが多く、このような「アスペルガー症候群の人々が苦手とする分野」でのトラブルが起こりやすいのです。
では、仕事でトラブルを起こさないために、実際にどのような対策を行っていったら良いのでしょうか?それぞれの具体例を交えながら対策をご紹介していきますね。

アスペルガーの人に起こりやすい仕事のトラブルって?

アスペルガー症候群の人には「3つ組の障害」と呼ばれる特徴的な症状があります。「社会性の障害」「言語コミュニケーションの障害」「想像力の障害」の3つで、これらは対人関係だけでなく、仕事の場面でもトラブルにつながることがあります。

また、その他にもアスペルガー症候群の人には「感覚の過敏」という特徴が現れることが多く、これもまた仕事をするうえでの壁になりやすいのです。

言語コミュニケーションの障害によるトラブル
上司の指示が理解できない、自分の使う言葉が難しく会話が成り立たないなど
想像力の障害によるトラブル
予定外の仕事が入ったり、イレギュラーに対する対応ができなかったりする
感覚の過敏によるトラブル
電話やBGMなどが耳障りで仕事に集中できない、蛍光灯やLEDライトを不快に感じるなど

アスペルガー症候群の人々は、知能や言語能力そのものに問題があるわけではありませんが、言葉の使い方が独特なことが多いです。

例えば、本で覚えた難解な表現を日常会話でもよく使うことがありますが、これは状況にそぐわないだけでなく、同僚や上司との意志の疎通の邪魔になってしまうことがあります。
言外の意図を汲み取ることや耳から入ってくる情報を処理するのが苦手なため、上司の指示が理解できず業務に差し支えることもあります。

そして、アスペルガー症候群の人々はイレギュラーな事態に対応することが非常に苦手です。
決められた手順や予定されたスケジュールにこだわるあまり、仕事が予定通りに進まなかったり、予定外の仕事が急に入ったりすると混乱したり大きなストレスを感じたりします
アスペルガー症候群特有の「自分のルールで仕事を進めたがる性質」が原因で、周囲の人とトラブルになることも少なくないでしょう。

また、アスペルガー症候群の人の中には、特定の感覚が非常に敏感な人がいます。
例えば、聴覚が優れていると電話やBGMを不快に感じて仕事に集中できなくなってしまいます。視覚が過敏なタイプの人だと、光がチカチカと不安定になりやすい蛍光灯やLEDライトなどの光を鬱陶しく感じてしまい、仕事に集中できなくなることもあります。

トラブルの具体例にはどんなものがある?

アスペルガー症候群の人が仕事で直面しやすいトラブルには、以下のようなものがあります。

自分のルールにこだわる
  • 身だしなみに無頓着で周囲を驚かせる
  • 先輩社員に助言されても受け入れられない
  • 清潔にこだわるあまり、オフィスの掃除や整理に没頭してしまい仕事が進まない
想像力がなく、言外のコミュニケーションが苦手
  • 一方的に自分の好きなことばかり喋り続けてしまう
  • ジョークや皮肉が通じない
  • 相手の気持ちを考えられず、思ったことはそのまま口にしてしまう
社会的な暗黙のルールを守れない
  • 上司や取引先の相手に敬語を使うという概念がない
  • ミスをしても自分が悪いことがわからないと、謝らない
  • 遅刻や無断欠勤が多い

アスペルガーの人は、自分のルールにはこだわりますが、暗黙のルールや常識とされていることを理解しづらい傾向があり、「非常識な人だ」と思われてしまいがちです。
例えば、同じような洋服をずっと着回し続けたり、先輩社員に助言を受けても自分の手順に固執してしまうなどは、自分のルールにこだわることの典型例です。

また、想像力がなく、言語コミュニケーションが独特であるのも誤解を受けやすい、トラブルになりやすい一端です。
想像力とは相手の気持ちを考えることはもちろん、先々のことを考えて「納期は5日後だから今日から毎日の予定を立てよう」などと、未来の予定を立てることも含まれます。
こうした作業がアスペルガー症候群の人々にとっては非常に苦手なことなのです。

言語コミュニケーションが外に向かうと、一生懸命に喋りすぎてしまうことがよくあります。しかし、相手がいつもたっぷり時間があるとは限りません。
さらに、相手が困ったそぶりをしていても気づかないため、延々と話し続けてしまい「あの人は空気が読めない」という評価になってしまうこともあるのです。

仕事のトラブルを解決するために自分でできることとは?

こうした仕事のトラブルを避けるために、アスペルガー症候群の人が自分で行える対策を以下にまとめました。

言語コミュニケーションの障害
  • 上司の指示は復唱したり、メモに取る
  • メールなどの文字による連絡方法をメインにしてもらう
  • 会話の量は自分と相手が同じくらいになるよう気をつける
想像力の障害
  • 普段からゆとりを持って仕事を進めておく
  • やることのリストを作り、作業を視覚的に整理する
  • リストを利用して作業に優先順位をつけ、混乱しないようにする
感覚の過敏
  • 電話やBGMが苦手な場合、上司や同僚に理解を得た上でヘッドホンやイヤーマフなどをつける
  • 蛍光灯やLEDの光が苦手な場合、カラーフィルターレンズのメガネをつける
  • 自然光が入る窓際の席にしてもらい、人工の光をできるだけカットする

また、身だしなみや敬語に関しては、職場のルールであると割り切って考え、シチュエーションごとにパターンで丸暗記してしまう方法が有効です。身だしなみについては家族や親しい友人など、周囲の人にアドバイスをもらうようにすると良いでしょう。

自分ルールを長所にする!マニュアルを作ってみよう

アスペルガー症候群の人々は、自分の決めたルールにこだわる傾向があります。ルールにこだわることは、悪く言えば固執となり、周囲の人とのトラブルを生むこともありますが、逆に長所ととらえれば、自分で決めたことをしっかり守れるということになります。

これを逆手に取り、仕事を進める上で必要なことを全てマニュアル化してしまうというのも非常に有効な方法です。

この場合のマニュアルは、単なる業務マニュアルではなく、対人関係や暗黙のルールなども含め、職場で過ごす時間の全てをマニュアル化してしまうということです。
休み時間の過ごし方、会話の仕方までマニュアル化することで、「これを守っていれば仕事でミスをしたり、人間関係でつまずくことは少なくなる」という自信にもつながり、安心して仕事ができます。

自分独自のマニュアルを作ることは、自分にわかりやすい表現で仕事内容を自分に落とし込んでいく作業でもあります。
他の人が作ったマニュアルが理解しにくくても、一度自分の言葉に落とし込むことで、業務の手順をより深く理解できます。自分のこだわりをさりげなく反映させやすいため、業務を進める上でのストレスも減らせます。

また、デジタルやルーズリーフなどを使って、マニュアル外の事態が起こったときにすぐに更新できるように作ることをおすすめします。失敗したときだけでなく、気がついたことや改善した方がいいことはどんどん反映していけば、世界に一つだけの自分用のマニュアルができますよ。

どうせなら、仕事を好きになるための工夫をしよう

大人は、仕事ができる人が大きな評価を得られます。つまり、少しぐらい変わっていても、人付き合いが苦手でも、仕事ができる人だと許してもらえることが多いのです。
やはりこれを逆手に取り、仕事を好きになるための工夫をし、仕事に没頭できるようになる方が良いでしょう。

アスペルガー症候群の特徴である「こだわり」「記憶力」「集中力」などは、何かに没頭するための能力と言っても過言ではありません。その没頭する能力は、ぜひ仕事の成果につなげていきましょう。
アスペルガー症候群の人のこだわりや集中力が最大限に発揮されれば、定型発達の人からは想像もつかないような業績を挙げられることもあるはずです。

成果が出ないうちは非難もあるかもしれませんが、気にせず仕事に集中してください。周囲も驚くほどの業績を上げることができれば、賞賛とともに、周囲にはたくさんの人が集まってきてくれることでしょう。

おわりに:アスペルガー症候群の人は「マニュアル化」がおすすめ

アスペルガー症候群の人の大きな特徴に、「自分ルールにこだわる」というものがあります。この特性を利用し、「仕事に関わる全てのことをマニュアル化する」というのは、業務とそれに関わる対人関係をスムーズにするために非常に有効な方法です。

また、その集中力やこだわりを活かすことができれば、仕事に没頭できるようになり業績を上げることもできるかもしれません。
仕事ができる人は多少のことは大目に見てもらえますし、成果が出せれば自信にもつながります。周りの人に助けてもらいながら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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