生まれつきの脳の仕組みや働き方の違いで、さまざまな症状や特性が現れる発達障がい。
その特徴の1つに「体調を崩しやすい」ことがあるのをご存知でしょうか。
今回は発達障がいの人が体調を崩しやすい理由について、体調不良を防ぐための対処法とあわせて解説していきます。
発達障がい人に起こりがちな体調不良の原因とは?
脳に生まれつきの機能障害を持っている発達障がいの人は、以下のような理由から、発達障がいでない人に比べて体調を崩しやすいと言われています。
加齢や季節の変化などによる、体の変化に適応しにくい
発達障がいの人は、人よりも感覚が過敏、または鈍麻になることが多いです。
季節の変化や加齢による体の変化を適切に感知できなかったり、ついていけなくなってしまうことも増えてきます。
心と体に負荷がたまりやすくなるのですから、体調を崩しやすくなっても不思議はないでしょう。
「過集中」が疲労をため込んでしまう
発達障がいの特性として、特定の物事に強い興味や執着を持ち、何時間も調べものや作業に没頭する「過集中」が現れることがあります。
過集中している間は、寝るのも食べるのも忘れて数時間・十数時間休みなく没頭してしまうことも少なくありません。
本人が気づかないうちに疲労が限界までたまってしまい、体が弱って体調不良につながってしまうことがあるのです。
感情や自律神経がアンバランスになりやすい
脳は身体機能だけでなく感情や、精神状態に影響を及ぼす自律神経の働きもコントロールしています。
発達障がいの人は感情の起伏が激しかったり、反対に感情の変化が乏しかったりして、心も自律神経も不安定になりやすいです。
心や感情のアンバランスからくる自律神経のアンバランスは、体調不良を招いてしまう原因になります。
発達障がいの体調不良はどう対処すればいい?
以下に、発達障がいの人が体調不良を起こさないようにするための対処法を「基本的な対処法」「過集中への対処法」「症状に合わせた対処法」の3つに分けて解説します。
基本的な対処法
- 自分の体調を常に気遣い、体調不良に早く気付けるようにする
- 意識的に自分の体調に気を配るように心がけ、少しでも調子が悪いと感じたらまずは一旦休みましょう。
- タイマーなどを使い、生活リズムを規則正しいものにする
- 頑張るときと休むとき、寝る時間などをルール化してタイマーをかけ、生活時間を規則正しいものにしてください。
睡眠をしっかりとれば、免疫力も自然と高まっていきます。 - 睡眠と体力づくりのため、運動習慣を取り入れる
- 免疫力を高め、寝つきを良くするには適度な運動習慣をつけるのが効果的です。
散歩や体操、ジョギングなど、好みや体力にあわせて継続的な運動習慣をつけましょう。 - 糖分や炭水化物と控えた食生活を意識する
- 発達障がいの人は、炭水化物や甘い飲み物・お菓子に依存しやすい傾向があります。
肉や魚、豆腐などタンパク質を摂取する量を増やして、少しずつ無理のない範囲で低糖質な食生活になるよう意識しましょう。 - リラックスできる場所や時間を作り、ストレスを減らす
- 発達障がいの人はそうでない人に比べ、ストレスの発散や処理が苦手です。意識的にリラックスできる場所や時間を作って、ストレスを減らすと体調も落ち着きやすくなります。
過集中による体調不良への対処法
- 30分、または1時間置きにアラームで休むようにする
- 過集中状態のときは、夢中になっていて疲れや時間を忘れてしまいますよね。
このような時間と体力の使い方は体調不良の原因となりますので、好きなことに取り組む前に30分~1時間単位でアラームをセットし、無理やりにでも休むようにしてください。 - 1週間に1日以上は、何もせず体を休める日をつくる
- 過集中になると、何日も続けて集中状態が続くこともあります。
長期間にわたり体に負担と疲労が蓄積しないように、予定として「何もせず休む日」を1週間に1日以上設定して、体を休めると良いでしょう。 - ストレッチや運動、深呼吸、仮眠などで意識的に気分転換する
- 過集中は、体も心も非常に張り詰めた状態になります。
休憩するときは深呼吸と体操で体を、運動や仮眠などで心をリフレッシュさせるようにして、意識的にこまめに気分転換してくださいね。
その他、症状に合わせた対処法
- 過集中や疲れのために、リラックスや睡眠が難しい場合
- リラックス効果や眠気を誘発する作用のあるハーブティーや、漢方薬、体に合った睡眠薬や治療薬などを医師に相談のうえで試してみましょう。
またゆっくりお風呂に入る時間を設けたり、夜間にスマホやブルーライトの使用を控えるだけでも、自律神経が整いリラックス効果が期待できますよ。 - 感覚過敏のために、生活音でストレスを溜めてしまう場合
- 耳栓やノイズキャンセラーを使い、気になる雑音をシャットアウトしてしまいましょう。
嫌な音を耳に入れないようにしてストレスを軽減し、体調の改善につなげてください。
個人個人の体質や特性により、対処法による体調不良予防の効果は変わってきます。
ご自身の体調不良の原因に合わせ、一番合いそうなものを選んで実践してみましょう。
おわりに:発達障がいの人は心身がアンバランスになりやすく、体調も崩しやすい
先天性の脳の機能異常で発症する発達障がいの人は、そうでない人に比べ、心身のコントロールや感知が難しくなります。このため、知らない間に疲労を蓄積していたり、精神のバランスが崩れやすく、体調不良も起こしやすいと言われているのです。
発達障がいの人の体調不良を防ぐには、普段から自身の体調や疲労の度合いに気を配り、意識的によく休んで、適度な運動で体力を付けるのが効果的です。自分に合う方法を探し、実践してみましょう。
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