アスペルガーの人はストレスを感じやすく、弱い傾向にあるので、周囲の人が思っているよりもストレスにまつわるトラブルを抱えることが多いです。
今回はアスペルガーの人がストレスに弱い理由とストレスの発散方法を、周囲に求めたい配慮とあわせてご紹介します。
アスペルガーの人がストレスに弱い理由とは?
アスペルガーの人がストレスに弱い理由としては、以下3つが考えられます。
そもそも、受けるストレスの量が他の人より多い
感覚過敏や衝動性、こだわりの強さなどを特性とするアスペルガーの人は、ほかの人に比べて多くのことに「ストレス」を感じます。
たとえば、他の人が気にならない以下のようなことでも、ストレス源になり得るのです。
- 感覚過敏がある場合、日常生活で受ける音、光、におい、感触などの刺激そのもの
- 仕事や勉強を進める上で必要な、音や視覚情報などの情報の取捨選択
心身の疲れを自覚しにくく、ストレスに気づきにくい
アスペルガーの人は極度にまじめで使命感が強く、悪く言うと融通がきかない人がいます。
このような人は、仕事などを頼まれると使命感と頼られた喜びから断れず、自分の状況にかかわらず引き受けてしまいがちになる傾向が見られるのです。
このような状況で仕事に取り組むと、使命感から気分が高揚しているため心身の疲労になかなか気づけず、気がついたときにはストレスを溜めてしまっていることも少なくありません。
偏食から、栄養バランスが偏ってしまっている
アスペルガーの人には味覚過敏や特定のこだわりを持つことが多く、その影響からか偏食が多いといわれています。
偏食は栄養バランスが偏りにつながり、本人も気がつかない間に、疲労・ストレスを跳ね返せないほど心身が弱ってしまう可能性があります。
アスペルガーの人におすすめのストレス対処法とは?
アスペルガーの人がストレスを適度に発散し、対処するには、以下の方法が効果的です。
マインドフルネスで、心身を疲れさせないようにする
アスペルガーの人は、無意識に常時考え事をしてしまう性質があります。
必要なことを考えるのなら良いのですが、内容が「過去の嫌な思い出」や「自己肯定感の低下につながるもの」である場合、心に大きなストレスを与えます。
難しいことや、嫌なことをずっと考え反芻し続けていると、心身が疲れてしまいますね。
以下の方法でマインドフルネス、自分の気持ちを安定した状態に保ち、考え事をしなようクセづけてみましょう。
マインドフルネスの方法
まず椅子に深く、足と腰が垂直になるように座ります。胸を張り顎を引いたら、頭頂部を細い糸でつり上げられているようなイメージで、背筋を伸ばしてください。
この状態で約1分間、自分の呼吸だけに集中して意識を向け、考え事をやめてみましょう。
食事の内容・習慣を見直し、栄養バランスを改善してみる
栄養バランスが整えば心身の調子が整いやすくなり、結果、ストレスに強い体作りができるようになります。
嫌いだったものも、味つけを好みに合わせて調節すれば食べられるようになるかもしれません。
まずは自炊に挑戦し、料理と食事の楽しみを模索してみましょう。
もし自炊がストレスになってしまうようなら、いろいろなレストランやお総菜屋さん、スーパーを回ってみて、食べられるものが多いお店を探してみてくださいね。
周囲の人ができる気づかいは?
次に、アスペルガーの人が感じるストレスを軽減するために、周囲の理解者が行うべき対策・配慮の方法について解説します。
質問するときは、時間をかけて穏やかにする
アスペルガーの人は自分の感情を表現することや、周囲の人の意図・本心などを、相手の様子や言葉の調子から的確に理解することが苦手です。
このため、大きな声や立て続けに質問されてしまうと、自分が責められていると感じて癇癪を起したり、逃げ出したい衝動にかられてしまいます。
コミュニケーションがスムーズにいかないのは、ある程度は仕方ありません。
そこは割り切ったうえで、対人コミュニケーションに敏感であることを念頭に置いて、質問はゆっくり穏やかにしてあげましょう。
一度聞いたこと、話題にしたことがきちんと伝わっていないと思ったも、繰り返しゆっくり説明してあげてほしいのです。
こちらからの指示・メッセージは、可能な限り具体的に
雰囲気や暗黙の了解で察することが苦手なアスペルガーの人は、抽象的な指示や依頼が非常に苦手です。
「なるべく早く」「いつでもいいから」「どっちでもいい」「あっちへ行って」などの指示には、結局どうすればいいのかわからず混乱してしまいます。
混乱した結果、指示したことをやってもらえずにトラブルに発展することも多いです。
以下のポイントを意識して、こちらからアスペルガーの人への指示は簡潔、かつ、可能な限り具体的にするようにしてください。
- 指示は口頭だけでなく、何度も確認できるメモやメール、イラストなどで可視化する
- 指示した内容を「いつまでに」「誰と」「どのような手順で」実施してほしいか伝える
- スケジュールの見通しや頼んだことの優先順位を、スケジュール帳などで共有する
おわりに:本人の工夫と周囲の気遣いで、アスペルガーの人のストレスは軽減できる
他の人よりも感覚が過敏で、まじめで傷つきやすいアスペルガーの人は、他の人よりストレスを感じやすい傾向があります。一方で心身の疲労に気づきにくく、偏食で栄養バランスが乱れやすいことから、ストレスに弱く体調を崩しやすいともいわれます。
しかしアスペルガーの人のストレスへの弱さは、本人の工夫と周囲の理解・気遣いで軽減することが可能です。自己分析のうえ自分の習慣をコントロールし、周囲への助けも求めてみましょう。
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