読み書きや計算などの学習一部に、著しい困難を生じることを「学習障がい」と言います。
今回は学習障がいのうち算数障がい、別名ディスカリキュリアと呼ばれる障がいについて、その特徴や症状、適切な対処法をまとめて解説していきます。
算数障がい(ディスカリキュリア)って?
学習障がいのうち、計算や図形の理解、文章問題から考えて答えを導き出す推論を非常に困難と感じる状態のことを算数障がい、またはディスカリキュリアと呼びます。
本格的に数字の読み方や計算を習う小学校入学後に発覚するケースが多いですが、はじめは周囲から「少し計算や数字が苦手な子ども」と程度に認識されます。
しかし学年が上がり、繰り上げや繰り下げ、通分や複数の公式が要求されるなど算数の内容が難しくなるにつれて、ディスカリキュリアの症状は顕著になっていくのです。
以下からは、算数障がい・ディスカリキュリアの子どもに見られる症状や特徴について、具体的に理解していきましょう。
ディスカリキュリアの症状の特徴は?
ディスカリキュリアによる困難は、学校で教えられる計算問題に繰り上げ・繰り下げが現れ、高度な算数の勉強が始まる9歳ごろから特に大きくなるとされます。
小学校・中学校の頃に現れるディスカリキュリアの特徴的な症状は、以下の通りです。
- 小学校の頃に現れやすいディスカリキュリアの症状
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- 1から50までの数字を数えられない、飛ばして言ってしまう
- 数字を数えていると途中でわからなくなり、考え込んでしまう
- 「+」「-」の記号を見ても計算式を理解できず、簡単な足し算・引き算ができない
- 簡単な内容でも、すべての計算式に同じ答えを書いていく
- 単位の計算が苦手で、「m」と「㎝」、「時間」と「分」などを混同して計算する
- 算数の授業についていけないことを理由に、授業への参加や登校を嫌がる
- 中学校の頃に現れやすいディスカリキュリアの症状
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- 小学校の頃はできていたのに、中学校の数学になったらわからなくなった
- 中学校の数学で求められる、文章問題から推論して答えを出す問題が苦手
- 段階的に推論の方法や公式のヒントを与えないと、文章問題を進められない
- 小学校の頃から上記のような傾向が見られたり、中学校に上がって明らかに数学のみについていけていないようなら、お子さんはディスカリキュリアかもしれません。
ディスカリキュリアの子どもへの対応方法は?
算数・数学の問題がどうしても解けない、また授業参加や登校拒否があって子どもにディスカリキュリアの疑いを感じる場合は、専門機関への相談を検討してください。
相談先としては、学習障がいも扱う発達障がい専門医の外来に行くのが適切ですが、まずは以下のような相談窓口を利用するのが良いでしょう。
- ディスカリキュリアの相談ができる窓口
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- 子育て支援センター、保健センター、児童発達支援事業所 など
上記の機関に相談をすれば、算数障がい・ディスカリキュリア診断ができる専門の医療機関への紹介も受けられます。
また並行して、家庭では以下のポイントに留意して子どもと接するようにしてくださいね。
- ディスカリキュリアの子どもと接するときのポイント
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- 本人の自信をなくさないよう、できることの方に注目して褒める
- ディスカリキュリアについて正しい知識を持ち、子どもに必要な支援を考える
- 子どもの個性、学習度合いにあわせた方法で根気よく教え、ともに学んでいく
- 専用の教材、パソコンの学習ソフトなどを利用して勉強法を工夫する
- 同じような症状のある子どもの親と情報交換をする など
おわりに:ディスカリキュリアは、計算や図形の理解、推論に困難を生じる学習障がいの一種
学習障がいのうち、数字・図形の理解や計算、推論が必要な文章問題を解くことに困難を生じるものを算数障がい・ディスカリキュリアと言います。症状は就学後、計算が複雑になる9歳頃から現れるとされ、算数や数学の授業についていけないために、授業への参加や登校を拒否するケースも見られます。ディスカリキュリアの子どもには、本人の能力と個性に合った方法での学習が必要です。専門の支援機関を頼り、環境を整えてあげましょう。
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