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大人のADHDの「浪費」「金銭管理の失敗」を防ぐ対処法

発達障がいの基礎

ADHDの人に多く見られる特性の一つが金銭管理の困難です。衝動性やワーキングメモリに関する特性が、お金の使い方に影響を及ぼすことがあります。
今回は、ADHDの人によく見られる借金など金銭の失敗とその原因について、トラブルを解決・回避するためにできることとあわせて、解説していきます。

ADHDの人はなぜ金銭管理が苦手なの

ADHDの人の多くが金銭管理が苦手なのは、ADHDの特性により衝動性が強く、さらに数字が苦手で、短期記憶力(ワーキングメモリ)が低いことが原因です。

大人のADHDは金銭管理のトラブルを引き起こすことが少なくありません。以下に、ADHD特性の衝動性・独特の数字への感覚・短期記憶力の低さがなぜ金銭管理のトラブルを引き起こすのか、それぞれ解説していきます。

ADHDの衝動性が、金銭のトラブルを引き起こす理由

ADHDの象徴的な特性として、多動性や衝動性が挙げられます。
このため、ADHDの人の行動はそうでない人に比べ自らの気持ちに非常に正直で、必要性が低いものでも「欲しい!」と思ったら衝動的に買ってしまう傾向があるのです。

ADHDによる数字への感覚が、金銭のトラブルを引き起こす理由

ADHDの人は、数字から量をイメージすることが苦手だとされます。
例えば「10000円」という金額を見た場合、一般的には自身の稼ぎと照らし合わせてこれが高額かどうか、購入によってどのくらい手持ちが減るかを考えますよね。

しかしADHDの人は、「10000円」という数字だけを見て高いかどうか、この金額を使ったときに自分の財政状態がどう変化するか、なかなかイメージできないのです。

このため買い物をしても、借金をしても、自分の財政状況がどう変化しているのか具体的にイメージ・理解することができないと言われています。
このように金銭の使用や財政の状況を数字・金額から実感できないことも、ADHDの人が金銭関係のトラブルを起こす、大きな要因になっているのでしょう。

ADHDによる短期記憶力の低さが、金銭のトラブルを引き起こす理由

自分がどのくらいお金を使ったか、今月はあといくらぐらいのお金を使えるのかを理解するには、常にお金に関する記憶を頭の片隅に置いておく必要があります。
しかし、ADHDの人の多くは生まれつき短期記憶をしておくための領域が小さく継続的に物事を記憶しておくことが苦手だとされています

また、記憶に沿って時系列的にお金の流れを追っていくのは、注意散漫の特性を持つADHDの人が苦手な集中力も要求される作業です。
お金に関する情報を覚えておけないこと、またこのことを追ったり、家計簿として管理するための集中力も不足しているために、ADHDの人は金銭トラブルに見舞われやすいのでしょう。

ADHDの人の借金や金銭管理のトラブルを対処する方法とは?

衝動買いや、数字から財政状況をイメージしにくいADHDの人がまず取るべき対策は、クレジットカードの使用をやめて現金主義になることです。

クレジットカードは、使用しても「お金を支払った」という実感が沸きにくいですよね。
さらにキャッシング機能がついているものも多いので、衝動買いをしたいときに、いつでも簡単に引き出しや借金ができてしまうのもADHDの人には良くありません。

以下の手順を参考に、使っても良いお金だけを手元に置いて、「使えるお金が限られていること」「使う度にお金が減っていくこと」を実感できるようにしましょう。

  1. まず給料のうち、自動引き落としの家賃や光熱費を引いた金額を口座から引き出す
  2. 引き出した金額を4で割り、1週間あたり使える金額を割り出し、お金を分ける
  3. 1週間に使えるお金を、食費・交際費などそれぞれの名目ごとに分け封筒に入れる

こうすることで、自分が使って良い金額のうちいくら使ったのか、あとどのくらい使っても良いのかを、封筒の重さや厚みで実感しやすくなります。
残金を覚えていられなくても買い物に行くときに封筒を持っていけば、都度確認して買いたいものの値段と比較し、高額な衝動買いを防ぐことができます。

1週間単位での金銭管理が難しいときは、1週間分の金額をさらに7で割って1日に使って良い金額を割り出し、1日単位から管理を始めてみましょう。
なおどうしても金銭管理に自信がない、またはうまくいかないという場合は、パートナーや家族に頼り管理してもらうのも有効な対処法です。

ADHDである本人にとってストレスになり過ぎない方法で、借金や浪費などの金銭トラブル回避のための対策をとってくださいね。

おわりに:お金の使い方を変えれば、ADHDの金銭管理の失敗へ対処できる

ADHDの人の多くは、数字が苦手で忘れっぽく、衝動的に行動しやすい特性を持ちます。このため自分が使った・使える金額がわからなくなったり、また財政状況を忘れてしまったり、欲しいという気持ちに抗えず衝動的に高価なものを買ってしまいやすいのです。

このようなADHDゆえの金銭に関するトラブルは、使えるお金を目の前に置き、財政状況を見える化することで回避できます。本記事で紹介した対処法を参考に、実践してみましょう。

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