発達障がいのうち、特に強いこだわりや対人関係の困難の症状が見られるものは、広汎性(こうはんせい)発達障がいに分類されています。
今回は、発達障がいのうち広汎性発達障がいについて、特徴的な症状や年齢ごとの変化などを解説していきます。
広汎性発達障がいとは!?
発達障がいのうち、以下のような障がいが「広汎性発達障がい」に分類されます。
- 広汎性発達障がいに分類される発達障がい
- 自閉症、アスペルガー症候群、レット障がい、小児期崩壊性障がいなど、特定不能だが広汎性発達障がいの症状が見られるもの
いずれも社会性の欠如による人間関係の困難、特定の物事・パターンに対する執着、感覚への過敏または鈍感などの症状を伴います。
広汎性発達障がいの人に良く見られる特徴的な言動・症状は、以下の通りです。
- コミュニケーション、とくに会話のキャッチボールが苦手
- 時と場合、相手に合った言動が難しく、うまく友人関係を築けない
- 特定の物事や方法に強くこだわり、マイルールを絶対に曲げられない
- 感覚が過敏になっていて、特定の音やニオイ、感触に耐えられない
- 一方で鈍感な器官もあり、ケガや食べ物の腐食に気づかないことも
広汎性発達障がいの子どもの特徴は、年齢ごとでどう変化していくの?
広汎性発達障がいは、生まれつきの脳の働き方の違いによって現れる特性です。
このため症状は子どもの頃から少しずつ現れ出し、年齢によって変化していきます。
ここからは幼児期・児童期・思春期の3つの年代に分けた広汎性発達障がいの子どもに現れる症状・特徴について解説していきます。
0歳~小学校就学までの幼児期
- 他の子どもに比べ、周囲の人や物にあまり興味を示さない
- オウム返し、一方的に話すなどばかりでなかなか会話が成立しない
- 集団での遊びにあまり興味を示さず、1人で遊びに没頭する傾向が強い
- 特定の物事に強い興味やこだわりを持ち、同じ質問を何度もする
- 自分で決めている手順や予定が狂うと、強い不快感やパニックを催す
まだ言語・認知・学習能力が十分に発達していない幼児期では、広汎性発達障がいの特徴的な症状には、気づきにくいとされています。
小学校就学~卒業までの児童期
- 周囲への配慮が苦手なため、年齢相応の友人関係をうまく築けない
- 基本的に1人でいることを好み、集団のなかになじむことが難しい
- 決められたルールの応用や、臨機応変な対応が求められる遊びを嫌う
- 言葉の意味を理解したり、覚えて会話のなかで使うことがなかなかできない
- 他人の気持ちを考えたり、自分の考えや気持ちを言葉にするのが苦手
児童期になると、学校での集団生活においてさまざまな違和感や困難が生じやすく、障がいが見つかりやすくなってきます。
小学校卒業後~の思春期
- 抑揚のない、不自然な話し方が目立つ
- 目的のない雑談をすることが苦手で、苦痛に感じてしまう
- 興味のあることにはとことん没頭するが、人の輪に入ることが苦手
会話能力が向上し、知人・友人の輪がどんどん大きくなっていく思春期には、他者と会話するうえでの困難が表面化することが多くなってきます。
広汎性発達障がいかもと思ったら・・・
前項を確認して、お子さんに広汎性発達障がいの疑いを感じた場合は、以下のような専門機関や医療機関に相談しましょう。
- 発達障がいの相談を受け付けている機関
- 地域の保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所、発達障害者支援センター など
- 発達障がいの検査・診断が受けられる医療機関
- 発達障がいの専門外来がある小児科、脳神経小児科、児童精神科 など
障がいを持っていると気づかないまま大人になると、成長するにつれて大きな困難に直面し、うつなどの二次障がいを発症する可能性が高くなるといわれています。
子どものうちから療育を受けて特性に応じた対処方法を学ぶことで、広汎性発達障がいによる将来的な人間関係の困難は、減らすことができるのです。
子どもに広汎性発達障がいの疑いを感じたら、早めに専門機関に相談してください。
おわりに:強いこだわりや対人関係の困難が、広汎性発達障がいの特徴
発達障がいは、その特徴ごとにいくつかの種類に分類されています。このうち広汎性発達障がいは、自閉症やアスペルガー症候群など、特に物事へのこだわりや対人関係の困難などの症状が現れる発達障がいの総称です。
その症状は子どもの頃から、年齢によってさまざまなかたちで現れてきます。広汎性発達障がいによる困難は、子どもの頃からの療育で軽減できます。疑いを感じたら、できるだけ早く専門機関・医療機関に相談しましょう。
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