大人なると発達障がいの困りごとが仕事に影響を及ぼすことがあります。口頭の指示を理解できない、マルチタスクが苦手、気が散って集中できないなどの特徴がみられがちです。
一方で発達障がいであること職場の人に打ち明けることでメリットもあります。この記事では発達障がいの職場でのカミングアウトについて紹介します。
大人の発達障がいを職場でカミングアウトしたいけどできない人が多い?
障がい者の就労支援などを行う株式会社ゼネラルパートナーズは、「障害のカミングアウト」に関するアンケート調査を2018年に実施しました。調査対象は、発達障がいのある当事者92名です。
この調査結果によると、職場に自身が発達障がいであることを伝えている人は少数派であり、3割程にとどまっています。
一方で、約8割の人は障がいをカミングアウトすることを望んでいます。
カミングアウトを望むものの実際には伝えていない理由としては、「伝えても理解してくれないと思うから」が53%、「仕事を続けられなくなると思うから」が44%、「 仕事を任せてもらえなくなりそうだから」が26%という結果になりました。そのほか「 相手との関係が悪くなりそうだから」「 相手に心配をかけてしまうのが嫌だから」という理由も挙がっています。
発達障がいであることが、職場の人間関係にネガティブな変化をもたらすのではないかという懸念が大きいようです。
では、職場に発達障がいであることをカミングアウトすると、メリットはあるのでしょうか。
発達障がいの人の就労におけるオープン就労とクローズ就労の違い
障がいを持った人が就労する場合、障がいや特性について職場に伝えることを「オープン就労」と呼びます。対して、障がいや特性について伝えないことをクローズ就労といいます。
オープン就労の大きなメリットには、障がいや特性に応じた合理的配慮を受けやすくなることが挙げられます。
合理的配慮の例には、次のような実践例があります。
- 仕事の指示を出す人を決め、複数の人からバラバラに指示を出さないようにする
- 周囲の音が気になる人や聴覚過敏の人の耳栓着用を許可する
- 集中できる環境整備として、デスクにパーテーションを設ける など
ただし、発達障がいの特性は人によって個性があります。たとえば聴覚過敏の人がいる一方で、職場の照明がまぶしく感じる視覚過敏の人もいます。
カミングアウトするときは、自身の特性や困りごとが何かを詳しく伝えましょう。その上で、職場の人と必要な合理的配慮を選択していくのが理想的ですり
合理的配慮についてより詳しく知りたい場合、厚生労働省が発表している「発達障害のある方への職場における配慮事例のご紹介」を参考にするのがおすすめです。
また、オープン就労を本人が望む場合は障がい者雇用枠の求人もおすすめです。近年は障がい者雇用枠の紹介や就職支援サイトが複数ありますので、気になる方はサービスを利用してみましょう。
合理的配慮は法律で定められている?
平成28年4月1日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。この法律では、障がいのある人への不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めています。
合理的配慮の対象は幅広く、障害者手帳の持ち主だけではありません。身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、その他の心や体の働きに障がいがある人が対象となります。
合理的配慮を行うのは、継続的に活動を行う会社やお店などの事業者、国や地方自治体の役所などです。継続して活動を行うボランティア団体などのグループも当てはまります。(参考内閣府:「障害者差別解消法リーフレット」)
おわりに;カミングアウトする方もされる方も歩み寄りが大事
発達障がいは職場でカミングアウトすることにより、合理的配慮が受けやすくなるメリットがあります。しかし、その人個人の特性への理解がないと適切な対応は難しくなります。どんな特性を持っているか丁寧に伝え、カミングアウトされた側も合理的配慮に取り組んでいきましょう。
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