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エアーズが考案した感覚統合療法は発達性協調運動障がいの療育にも取り入れられている?

子育て・教育のヒント

発達性協調運動障がいは、日常の動作につまずきや困りごとがみられる障がいです。キャッチボールやジャンプなど運動のほか、靴ひもを結ぶ、よい姿勢を保つ、人の話を集中して聞くなど生活習慣、勉強などにも影響します。

発達性協調運動障がいの特徴は、感覚統合が未発達の場合にみられる特徴と似ている点がありますが、療育の方法にも共通点はあるのでしょうか。

発達性協調運動障がいとは?

体の動きが不器用であったりぎこちなかったりする場合、発達性協調運動障がい(DCD)の可能性があります。ただし、単に不器用であったり運動が苦手な人が発達性協調運動障がいに当てはまるとは限りません。日常の協調運動に不器用さがみられる場合に、発達性協調運動障がいが疑われます。特に、手と足、目と手など個別の動作を同時に行うことが苦手な傾向がみられます。

協調運動とは
見る、聞く、触るなどの感覚や体の姿勢、手足の動作などをコントロールし、運動を行うための脳機能です。日常の動作と深く結びつき、食事、着替え、手の作業、姿勢の保持などに必要です。

たとえば発達性協調運動障がいには次のような特徴がみられる傾向があります。

  • 着替えでボタンをはめられない
  • 靴ひもをうまく結べない
  • 自転車にうまく乗れない
  • 階段の昇り降りがぎこちない
  • キャッチボールが苦手
  • 姿勢が崩れやすい
  • 授業などでじっとしていられない など

発達性協調運動障がいでは、知的発達の遅れがみられません。筋肉や神経、視覚・聴覚などに麻痺など明らかな異常は認められません。自閉症やADHDの人のうち発達性協調運動障がいを併発している人もいます。

この発達性協調運動障がいと似ているものに「感覚統合」があります。

感覚統合と発達性協調運動障がいは似ている?

感覚統合とは、外部から入ってくるさまざまな感覚刺激を脳で処理し、適切な行動を行うための働きです。視覚や聴覚など五感、前庭感覚と固有受容覚から受けとった感覚をコントロールすることで、周囲の状況を適切に把握できます。その上で、受け取った感覚に応じた行動をできるようになるのです。この感覚統合は、子どものときから発達していきます。

この感覚統合に偏りや未発達がみられると、次のような特徴があらわれます。

  • 集中力が続かない
  • 特定の音や光が苦手
  • ボールを投げたり、ジャンプする運動が苦手
  • 紐を結んだり箸を使ったりする手先の細かい動きが苦手
  • 強い刺激を好む
  • 言葉が出なかったり言い間違いが多いなど言語コミュニケーションで気になる面がみられる など

感覚統合が未発達の場合と発達性協調運動障がいの場合では、特徴が共通しているものが少なくありません。発達性協調運動障がいの療育では、感覚統合療法というリハビリテーションが行われることがあります。

発達性協調運動障がいの療育とエアーズが考えた感覚統合療法

発達性協調運動障がいが認められる場合、療育で困りごとの改善を目指します。療育では本人の発達の段階や困りごとに合わせて、理学療法や作業療法、感覚統合療法などを組み合わせます。

感覚統合療法は、アメリカの作業療法士エアーズという人物が1950年代に考案しました。発達障がいの子どもへのリハビリテーションとして始まり、現在でも療育に取り入れられています。

感覚統合療法では、触る、揺れるなどさまざまな感覚と接しながら、感覚の受けとり方を調節したり工夫したりします。また食事や着替え、運動、手先の作業などの困りごとについて、作業療法士に相談することも可能です。

おわりに:感覚統合療法で日常生活や運動、勉強の困りごと改善を目指す

発達性協調運動障がいや感覚統合の偏りがみられる場合、感覚統合療法を行って困りごとの改善を目指します。運動が苦手であったり日常動作が不器用であったりしても、病院を受診するまででもないと思われる家族は多いでしょう。しかし感覚統合療法を受けることで、普段の生活がスムーズになるかもしれません。気になる人は病院や療育センターに相談してみてくださいね。

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