自分は発達障がいだろうか、子どもに気になる行動がみられるなど、本人や家族が発達障がいかもしれないと思うこともあるでしょう。特別支援教育の対象となる発達障がいは、厚生労働省によって定義がされています。
今回は、厚生労働省が定める発達障がいの定義について解説。発達障がいの人に現れやすい特徴、必要とする支援についても紹介していきます。
発達障がい者支援法における発達障がいの定義とは?
厚生労働省は、すべての発達障がい者が精度の谷間に陥ることなく自立・社会参加をできるようにと、以下のように広く発達障がいを定義づけしています。
厚生労働省が発達障がい者支援法のもと発達障がいと定義づけするもの
- 広汎性発達障がい
- 自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群など。おおむね3歳までの低年齢児から特性が発現するもの。興味や関心の対象が狭く、言葉の発達に遅れが出ることが多い
- 学習障がい
- 全般的な知的発達に遅れがないにもかかわらず、聞く・読む・話す・書く・計算・推論のうち特定の分野の習得と仕様に著しい困難を生じるもの。おおむね低年齢児に発症する
- 注意欠陥多動性障がい(ADHD)
- 注意力や衝動性、多動性が、実年齢または他の発達状況に不釣り合いになるもの。おおむね7歳前後までの低年齢児に発現し、社会生活・日常生活に困難を生じさせる
これらの発達障がいを持つ人のことを「発達障がい者」、そのうち特に18歳未満の人のことを「発達障がい児」と呼びます。なお、上記3つの発達障がいに類する脳機能の障がいも発達障がいに含まれます。
発達障がいのタイプ別の特性・特徴は?
発達障がいには複数のタイプがあり、症状・特性の現れ方にも個人差が大きいです。
以下からは、厚生労働省の定義に含まれている発達障がいの特徴について、タイプ別に解説していきます。
- 自閉症の特徴
-
- 慣れている場所や環境でなら、誰よりも高い集中力で物事に取り組める
- 臨機応変な対応が苦手で、初めての場所や急な予定変更に強い不安を感じる
- 不安が大きくなると、大声を出してしまうことがある
- アスペルガー症候群の特徴
-
- 自分の興味のある、好きな分野への熱意や知識は誰にも負けない
- 暗黙の了解や空気を読むことが苦手で、周囲の状況にかかわらず話続けてしまう
- 相手の都合にかかわらず話し、行動するため、自分勝手な人と思われることが多い
- 学習障がいの特徴(読み書きが苦手なディスレクシアの場合)
-
- 苦手分野を克服するため、聞いて覚える、レコーダーを使うなど工夫ができる
- 言葉で言われると理解も記憶もできるが、メモを取ろうとするとできない
- メモを取ること、文章を読むことにとても時間がかかり、一生懸命書いても間違える
- 注意欠陥多動性障がい(ADHD)の特徴
-
- 気配りが上手で、困っている人の存在にいち早く気付き、手を差し伸べられる
- 大切な仕事の予定を忘れる、大切なものを置いてくるなど、とにかくうっかりが多い
- 出かけるまでの予定をうまく組めず、実行できず、頻繁に遅刻してしまう
発達障がいは発達が凸凹だけど、困りごとの改善は可能
発達障がいに対しては、以下のような誤解を抱かれがちです。
- よくある発達障がいへの誤解
-
- 先天的な障がいであり、その後は何をしようが改善も発達もしないものだ
- 生まれつき健常者に比べ能力が欠如し劣っているから、発達障がいなのだ
- 発達障がいは個性。だから、何の配慮も支援も必要ないだろう
上記は、いずれも正しい認識ではありません。発達障がいの人は、先天的な原因で発達の仕方に差が出やすいだけで、時間とともに確実に成長・発達していきます。
ただ、その成長・発達の過程において、私たちとは異なる方法での教育や支援、配慮が必要になるというだけなのです。
発達障がいの人には、その人の状態や性格に合った方法での支援が必要です。本人の様子や性格をよく観察したうえで、適切な方法で支援することが強く求められます。
おわりに:広汎性発達障害・学習障がい・注意欠陥多動性障がいの3つを、厚生労働省は発達障がいとして定義している
厚生労働省は、低年齢で発現する広汎性発達障がい・学習障がい・注意欠陥多動性障がいの3つとこれらに類する脳機能の障がいを発達障がいと定義しています。このような定義づけが行われたのは、発達障がい者支援法のもと、すべての発達障がい者が自立・社会参加するための支援を行き渡らせるため。発達障がいの特徴や、発達障がいの人に必要な支援内容と合わせ、厚生労働省による定義も理解しておきましょう。
コメント