多様な子どもたちへの柔軟な教育が求められるなかで、近年「ギフテッド教育」と「2E教育」の考え方が、注目を集めています。
今回はギフテッド教育、そして2E教育がどんなものか、子どもが2Eの条件に当てはまるかどうかをチェックする方法と合わせて、解説していきます。
ギフテッド教育って?
1つ、または複数の領域に対し抜きんでた才能を持つ人のことを「ギフテッド」と呼びます。
その定義は国によっても異なりますが、ギフテッドは以下のような特徴を持ち、知能検査や学校成績、質問紙、観察記録によって判定されます。
- ギフテッドに現れやすい特徴
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- 勉強の飲み込みの早さが他の子とは段違いで、学習能力が非常に高い
- 論理的に物事を考えるのが得意で、思考能力が高い
- さまざまな分野に対し、とにかく好奇心が旺盛
- 学習だけでなく、日常生活においても完璧主義が強い
そして、すべての能力を平均的に伸ばしていくのではなく、ギフテッドの突出した才能をつぶさないよう教育することを「ギフテッド教育」と言います。ギフテッド教育は1000年以上前から世界各国で行われてきましたが、20世紀に入ってから、教育方法としてアメリカで体系化されてきました。
日本では従来、すべての子どもに同じ教育を施し平均的に能力を上げる方法が推奨されてきましたが、近年では少しずつギフテッド教育の取り組みも始まっています。
2E教育って?
発達障がいと、特定分野への優れた才能を併せ持っている状態を「2E」と呼びます。
「Twice exceptional」の略である2Eは、発達障がいによる苦手・困りごとと、得意なこと・優れた才能の両方が顕著に表れている人を指す言葉です。
対して先述のギフテッドは、障がいや困りごとの有無には言及せず、才能の有無や大きさにのみ言及する言葉です。
国や書籍により混同して使われることもありますが、発達障がいと才能を「併せ持つかどうか」という部分で、区別して使うべきでしょう。
2Eの子どもたちに向けた「2E教育」は、1980年代のアメリカで始まり、現代では以下2パターンいずれかの方法で実施されています。
- 狭義の2E教育
- 知能・学力・創造性など優れた才能を持つ発達障がい児に対し、ギフテッドと同等の方法で選別をかけ、障がいと才能、両方への特別教育プログラムを提供
- 講義の2E教育
- 才能の有無や優劣に関係なく、すべての発達障がい児の得意・興味・才能を伸ばして活かし、障がいや困りごとを補えるよう学習の内容・方法を考える
2Eかどうか、どうやってチェックすればいい?
2Eかどうかは、アメリカの研究者等がネット上に公開しているリストで、ある程度チェックできます。
以下に、2Eチェックリストの一部を掲載しておきますので、当てはまる項目がどのくらいあるか確認してみてください。
該当項目が多いようなら、専門機関の受診や本格的なチェックも視野に入れましょう。
- あなたの子どもの発達領域には、他の子どもと比べてバラつきが大きいですか
- あなたの子どもの理解力、アウトプット能力に相違はありますか?
- テストの結果や学校の成績が占めるよりも、あなたの子どもの能力は高いと思いますか
- あなたの子どもは洗練された語彙力を持ち、会話の理解力も高いにも関わらず、読み書きに困難を抱えていますか
- あなたの子どもは、同世代の他の子どもたちと比べ宿題を終えるのにかなり時間がかかりますか
- あなたの子どもは数学的思考に優れているのに、正確な計算や、四則演算をパターンで覚えることが難しい傾向がありますか
- あなたの子どもは学業や社会的交流、整理整頓が苦手で、同世代の子どもたちに比べ大人のサポートを必要としますか など
おわりに:子どもにギフテッド、2Eの兆候があれば、ぜひチェックを
特定の分野に突出した才能を持つ子どもをギフテッド、突出した才能と発達障がいを併せ持つ子どもを2Eと呼びます。日本では、伝統的にすべての子どもに同じ教育を施し伸ばす方法がとられてきました。しかし近年では、より柔軟な教育が求められるようになり、ギフテッド教育や2E教育の取り入れも始まっています。あなたのお子さんにギフテッドや2Eの兆候があるなら、チェックのうえ、ぜひ然るべき教育を受けさせてあげてください。
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