強迫性障がい、通称「OCD」による症状は、発達障がいの特性に似ているといわれていますが、強迫性障がいがどのような症状を発するのか、知っていますか?
今回はOCD・強迫性障がいにどのような特徴があるのかを、発達障がいとの類似点や症状改善のためにできることとあわせて解説していきます。
OCD(強迫性障がい)って?
OCDとは、特定の強迫観念に捉われ、強迫行為を繰り返してしまう病気です。
- 強迫観念(きょうはくかんねん)とは
- 「汚れているので洗わなければ」「きちんとカギをかけたかわからない」「誰かを傷つけてしまうのではないか」など、特定の事に強い不安や恐怖を抱くこと。
他者から見れば小さな事柄でも、執拗に特定の物事への恐怖や不安に捉われ、打ち消そうとしても心から離れさせることのできない意識のことをいいます。
- 強迫行為(きょうはくこうい)とは
- 「何度も繰り返し手を洗い続ける」「カギの施錠を繰り返し行い、確認する」「誰かを傷つける不安から、外出ができない」など、儀式的に特定の行為を繰り返してしまうこと。
いくらばかばかしい、無意味と本人が自覚していてもやめられず、その多くは強迫観念から起こると考えられています。
また上記以外にも、周囲に「これでいいよね?」「大丈夫かな?」など繰り返し保証を求める確認行為や、思う通りに行かないと怒るなども強迫行為に含まれます。
不安が浮かび強迫観念に捉われることで強迫行為に及びますが、不安が強迫行為で解消された経験から、また不安が浮かんだときに強迫行為を繰り返してしまう―
このように強迫観念・強迫行為を繰り返し、悪循環に入り本人を苦しめるのが「OCD」という病気なのです。
なおOCDは、他の精神障がいの症状の1つとして現れたり、うつ病と併発することの多い病気としても知られています。
OCDと発達障がいに似た特徴が現れる理由とは?
発達障がいによって現れる特性には個人差がありますが、一部には、以下のようなOCDに近しい特性を現す場合があります。
- OCDの特徴に近い、発達障がいの特性の例
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- 服や体が濡れること、汚れることに非常に敏感で、すぐに着替えたがる
- 自分の服や体が濡れたり、汚れることへの他者からの目線が異常に気になる
- ベタベタ、ドロドロという感触が非常に苦手で、粘度や泥、濡れた砂が嫌い
- 大きな音が苦手なため、大きな鳴き声を発する鳥や動物を嫌がる
- 授業中、黒板に書かれていることをノートに写すのに非常に時間がかかる
- 思い通りにならなかったり、集中を邪魔されてしまうと、カッとなって本人がコントロールできないほどの怒りが沸いてくる
発達障がいの場合、上記のような特性は子どもの頃から現れ、思春期にとくに強まるといわれています。
このため児童期・思春期の子供に症状が現れている場合、発達障がいによるものなのか、OCDによるものなのか、判断できないケースも少なくありません。
また発達障がいの子供は自身の特性から、幼い頃から周囲との違いや孤立、生きにくさを感じていることが多く、二次障がいとして強迫性障害を発症する場合があります。
もともと衝動的な特性を持つ発達障がいの子供が、強迫性障害を併発し、家庭や社会生活に重大なトラブルを抱えているケースも多いようです。
OCDを改善するためにできることは?
OCD改善には、まず自身が苦しんでいる強迫観念・強迫行為が、OCDという病気による症状だと自覚することが大切です。
そのうえで、以下を参考に自身の生活を変えるための工夫を始めてみましょう。
- 自分でできる、OCD改善のための工夫
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- 自分の強迫症状を分析し、不安・怖いと思うこと、強迫行為を洗い出す
- 不安が低い、怖くないものから、強迫行為をしない練習を始める
- 強迫観念から強迫行為をするときに、自分の中でおしまいにする回数を決めてみる
- 強迫行為以外、自分のほめてあげたいところに目を向けてみる
- 強迫性障がいの症状に捉われないよう意識して、生活を送ってみる
- 周りの人に確認行為や、強迫行為を強要しないようにする
- 周囲の家族やパートナー、友人に強迫障がいのことを伝えてみる
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上記と合わせ精神科や心療内科を受診すれば、向精神薬の処方やカウンセリング、認知行動療法で症状を改善するためのサポートを受けられます。
OCDを引き起こすストレスに心当たりがあるようなら、仕事や人間関係をリセットしたり、意図的にストレスから遠ざかるなどしてストレスを減らすのも良いでしょう。
OCDは、日本人のおよそ50~100人に1人が発症しているとされる病気です。
恥ずかしいものと思わず、医師や周囲の人のサポートを受けながら、少しずつ改善していけるよう努力しましょう。
おわりに:OCD(強迫性障がい)は、特定の不安と行為から抜け出せなくなる病気
汚れなどへの強い恐怖・不安などの強迫観念から、手を洗うなど特定の強迫行為を繰り返してしまう病気がOCD(強迫性障がい)です。汚れや特定の物事に異常に敏感にこだわるようになること、行動にも強いこだわりを生じ邪魔されると激怒することから、発達障がいに似た特徴を持つと言われます。
OCDは、日本人の50~100人に1人が発症するとされる病気です。医師や周囲のサポートを得て、少しずつ生活を変えていくことで改善が目指せるでしょう。
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