発達障がいのなかには、感情のコントロールが難しくなる特性を持つ人もいます。
特にADHDの人は怒りっぽいと言われますが、なぜなのでしょうか。
今回はADHDの人が怒りっぽくなる理由を、怒りの感情を爆発させずにうまくコントロールするためのコツと一緒に、理解していきましょう。
ADHDの人がイライラしやすいのはなぜ?
発達障がいの人のうち「ADHD」に分類される人には、落ち着きなく衝動的に動き回ったり、注意力散漫であるという特性が見られます。
どの特性が強く現れるかには個人差がありますが、基本的に計画して発言・行動したり、感情や衝動を我慢するのが苦手な傾向があります。
このため、周囲との関わりで以下のような心情に陥りやすく、怒りを感じてしまうのです。
- 周囲のペースが遅すぎる
- 衝動的でせっかちな傾向が強いので、周囲のペースに「遅い」といらだちやすくなります。
- 当然の結果が得られず、理不尽だ
- 自分が想定している流れや結果にならないと「理不尽だ、おかしい」と怒りを感じます。
- 自分の感情の爆発で、また周囲を困らせてしまった
- 衝動的に怒りを爆発させ、周囲を怒らせたり困らせてしまった自分自身に対し、さらに激しく怒ってしまうことがあります。
ADHDの人が感情をコントロールするにはどうすればいい?
ADHDの人がイライラや怒りを感じたとき、その感情を爆発させずにうまくコントロールするには、以下の対策が効果的です。
- イライラ、怒りを感じたその瞬間には…
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- 一旦その場を離れて静かな場所に移動し、深呼吸して気持ちを落ち着かせる
- ひとりになるようにして、時間が経って心情が落ち着いてくるのを待つ
- これ以上気持ちが高ぶらないように、イヤーマフや耳栓で心身への刺激を減らす
- ストレスや疲労を溜めないよう、日常的に体を動かし良く寝るようにする
- 好きな音楽や香りなど、自分に効く方法でリラックスする
- イライラ、怒りの突沸や暴走を繰り返さないために…
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- 感情が落ち着いてから、イライラや怒りを感じた原因を紙に書きだして傾向を探る
大切なのは、一旦強い怒りの感情から離れる環境を作って、気持ちを落ち着かせることです。
時間が経って気持ちが落ち着いてくれば周囲への爆発は防げますし、熱量はなくなることで、怒りやイライラの原因を冷静に分析できるようになるでしょう。
アンガーマネジメントってどうやってやればいいの?
怒りのコントロールには、「アンガーマネジメント」という方法も非常に効果的です。
アンガーマネジメントとは、怒りを暴走させずコントロールできるようにしようという考え方で、具体的には「メモによる怒りの分析」と「6秒待つ」ことを行います。
メモ
日ごろから小さなメモとペンを持ち歩き、怒りを感じたら「その日時と場所」「怒りを感じた出来事・対象」「怒りの強さを10段階で」メモしましょう。
こうすることで、自分が何に対してどのくらい怒ってしまうかの傾向を知ることができ、怒りを感じてしまいそうな場面を避けることができるようになってきます。
6秒待つ
普段からメモを続けて自分の怒りの分析を続けていても、怒りやイライラを感じてしまった場合に役立つのが「6秒待つ」という行為です。
化学的な分析では、怒りやイライラを感じるのは最大でも6秒間のみと言われています。
つまり理論上、どんなに怒っていても最初の6秒さえ感情をやり過ごしてしまえば、怒りやイライラを爆発させる事態だけは防げるというわけです。
怒りを爆発させてしまいそうなときは、このアンガーマネジメントの考え方を思い出して、感情の矛先を周囲ではなく自分に向けてみてくださいね。
おわりに:ADHDの特性に負けず、怒りをコントロールする術を身に着けよう
発達障がいの人のうち、特にADHDに分類される人に怒りっぽい傾向があるのは事実です。しかし怒りの原因と傾向を知り、適切な対処法を身に着けることで、突沸のような怒りを爆発させて周囲を傷つけたり、自己嫌悪に陥ることは防げます。
怒りを感じたときは怒りの内容をメモしたり、その場を一旦離れるなどして冷静になるのがおすすめです。アンガーマネジメントの考え方を常に頭の片隅に置いて、怒りをコントロールしてくださいね。
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