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発達障がいの子どもは癇癪が多く激しい?怒りを抑える方法はある?

人間関係改善のヒント

癇癪を起こす子どもは珍しくありません。欲しい玩具を買ってもらえない、遊びを中断された、などの理由で子どもが怒ることはあります。ただし発達障がいの子どもは、癇癪の頻度が多く激しい傾向があると言われています。これはなぜなのでしょうか?また、怒りをコントロールする有効な対策はあるのでしょうか?

今回は、発達障がいの子どもに癇癪が起りやすい原因と、その対処法についてご紹介します。

癇癪が起こるのはどんなとき?子どもの心理はどんな状態?

子どもの「癇癪(かんしゃく)」とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりする状態のことを指します。怒りや不安などの感情のコントロールができず、泣き叫んだり奇声を発するという方法で吹き出てくる状態と言えます。これらの感情そのものは誰にでも起こる自然な感情ですが、感情の出し方がよくわかっていない、コントロールができないことでこうした形で噴出してしまうのです。

癇癪を起こすと、「床にひっくり返って泣きわめく」「物を投げる、叩きつける」「周囲の人を叩いたり蹴ったりする」というような状態になることが多いです。それまで問題なく遊んでいた子が突発的に癇癪を起こして突然大声を上げたり床にひっくり返って暴れ出すこともあり、周囲の人が驚いてしまうことも少なくありません。

また、過度な場合では癇癪を起こしても自制できず、衝動的に自分を傷つける「自傷行為」に走ったり、物を壊したり周囲の人を殴る蹴るなどで傷つける「他害行為」を起こしたりすることがあります。自傷行為では髪を掻きむしる、壁にガンガンと額をぶつける、自分の顔や頬を叩く、などの行為が見られます。

こうした癇癪は、子どもにとっては「自分にとっての何らかの不都合なことを取り除く」という手段なのです。例えば、お気に入りの玩具を取り上げられて癇癪を起こしている場合、「玩具が手元からなくなった(不都合なこと)」→「癇癪(手段)」→「玩具が戻ってくる(不都合の排除)」というひとまとまりの行動の一部として癇癪を起こしていると考えられます。

そのため、子どもの癇癪はただ「泣き叫んでいる」「怒って騒いでいる」という単なる一つの行動だけを取り上げて見るのではなく、前後で何に不満・不都合を感じていて、何を取り除こうとしているのかを同時に考えていくことが必要です。例えば、「玩具が戻ってくる」という目的が達成されれば、癇癪はおさまります。

また、癇癪を起こしている子どもの方も、自分の怒りや不満の爆発を抑えられず困っている場合があるということも大切なポイントです。癇癪がひとたび始まってしまうと、泣き止みたい、癇癪を止めたいと思っても本人の意志では止められないため、周りの大人だけでなく、本人も困り果ててしまうことが少なくありません。

癇癪は一般的に赤ちゃんから幼児期に多く見られますが、児童期や思春期、大人になっても続くこともあります。しかしいずれの場合も、上記でお伝えしたように「何かの不都合がある」「始まると本人もコントロールできず困っている」という点は共通しています。そこで、これらのポイントを押さえた対処を行うことが大切です。

発達障がいの子どもが癇癪を起こしやすい理由とは?

発達障がいの子どもは、定型発達の子どもよりも癇癪を起こしやすいとされています。これは、発達障がいの子どもに見られる特性が癇癪を引き起こすきっかけと密接に関係していることが原因です。具体的には、以下のような特性が癇癪と結びつきやすいです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

気持ちをコントロールしにくい傾向と癇癪

発達障がいの子どもは、自分や他者を客観的に見て分析するのが苦手です。「客観的」に見るためには、社会生活の中で他者に興味を持ち、相互的な交流を行う「社会性」や、他者がどう感じ、何を考えているのかという「想像力」が必要です。発達障がいの子ども、特に自閉症スペクトラムの子どもではこれらのことが非常に苦手であるという特性があり、そのために自分や他者を客観的に判断したり分析したりしにくいのです。

すると、「自己調整」という心の働きができにくくなります。自己調整とは、自分のストレスを減らすために行う工夫のことで、定型発達の人では成長するにつれて自然と身につけていく方法です。具体的には、不快になりそうな状況を避ける、変えるよう働きかける、気晴らしをする、考え方を変える、「この不都合には何か意味があるのではないか」と自分が納得できるような理由づけを行う、などです。

発達障がいの子どもは、こうした自己調整を行うことが非常に苦手な傾向があります。例えば、想像力に欠けているため不快になりそうな状況を先読みして避けられない、考え方を変えることができない、などです。そのため、不快な状況をそのまま経験してしまい、大きなストレスを受けてしまいます。最終的に溜まりに溜まったストレスが爆発し、癇癪を起こしてしまうのです

考えや気持ちをすり合わせにくい傾向と癇癪

上の項目でもご紹介したように、発達障がいのある子どもは「想像力」に欠ける傾向があります。すると、他者の考えや感じ方を想像することもやはり苦手な傾向があります。他者と関わる上で、他者の考えや感じ方を想像することはとても大切です。これができないと、「今、相手がこうしたいと思っているから自分のしたいことを抑えて譲ろう」「相手がこうしたいと思っているだろうけど、自分もこうしたいから交渉しよう」ということができなくなります。

他者と気持ちをすり合わせ、譲ったり交渉したりするためには、「相手の考えや気持ちをある程度把握する」「自分はこれぐらいなら譲れる、または交渉する上で要求できる」という2つの過程が必要です。発達障がいの子どもは、まず最初の「相手の考えや気持ちをある程度把握する」というところでつまずきやすいのです。

さらに、強いこだわりから、他人のペースに合わせることが極端に苦手ということもあります。他者が何を考えているのか、感じているのかわからないまま、自分が行動しようとした時、相手から「それはダメ」と抑制されてしまうと、「邪魔をされた」という不満や不快感だけが残ってしまいます。

また、発達障がいの中でもADHD(注意欠陥・多動性障がい)と呼ばれる障がいの場合は、相手の気持ちを察することはできても、自分の「やりたい」という衝動を抑えるのが難しく、そのため「このくらいならいいかな」という程度を見極められず、結果として「やりたかったのにできなかった」というストレスを溜めやすくなってしまうのです。

ADHDの衝動性は、不満や不快感によるストレスが溜まった時に爆発を抑えられないことにもつながります。感情をコントロールする力が非常に弱いため、すぐに表面化してしまい、突発的にカッと怒ってしまうのです。

言語コミュニケーションが苦手な傾向と癇癪

発達障がいの子どもの持つ特性の一つに、言葉によるコミュニケーションが苦手というものがあります。これは、新生児期や乳幼児期には言葉の遅れとして出てくる特性で、一語文や二語文の発話がなかなか始まらなかったり、身振りや手振りなどの非言語コミュニケーションも苦手だったりする子どももいます。

何かが欲しい時に言葉で伝えられず、周りの大人の手を欲しいものの場所に持っていこうとする「クレーン現象」なども、言語発達の遅れの一つと考えられることがあります。言葉や身振り手振りで上手く伝えることができないと、伝わらないもどかしさや要求を通すための手段として癇癪を起こしやすくなります

発達障がいの子どもの癇癪を防ぐ方法ってある?

癇癪は、いったん始まってしまうと子ども自身にもコントロールができないため、鎮めるのが非常に難しくなります。そこで、まずは癇癪が起こらないよう普段から十分に配慮していくことが大切です。具体的には、以下のようなことを意識していきましょう。

  • 癇癪が起きにくいよう、環境を整える
  • 子どもの気持ちを伝えるツールを使う
  • 癇癪への対処法やルールを決める

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

環境を整える方法

癇癪を起こしやすい原因の一つに、「いきなり遊びを中断される」というものがあります。ご飯や買い物などのお出かけはもちろん、幼稚園に入るような年齢になると、「登園の時間」「降園の時間」など、自分の遊びを中断しなくてはならない場面がたくさん出てきます。すると、気持ちの切り替えが苦手な発達障がいの子どもは大きなストレスを溜めやすく、癇癪を起こしやすくなります。

そこで、まずはスムーズに次の行動に移れるよう、「遊びがここまでになったら、ご飯にしよう」「時計の針がここまで来たら、お出かけするよ」など、次に何をするのかを伝え、子どもに行動を切り替えるための心の準備をする時間をあげることが大切です。

その際、「終わり」を視覚的にわかりやすくすると、伝わりやすくなることもあります。次に何をするのか、1日を通してどんなスケジュールを立てているのかを絵や写真、文字などで視覚を通じて伝えると理解しやすい子もいます。スマートフォンやゲーム、テレビなどの時間を制限する時には、タイマーを使って「0になったらおしまい」と決めるのも良いでしょう。

感覚過敏の子どもの場合は、その子にとって苦手な環境(眩しい、音がうるさいなど)を避ける、こだわりが強く玩具の譲り合いなどが難しければ玩具の数を増やすなど、癇癪が起きにくい環境を整えることも重要です。

気持ちを伝えるツールの使い方は?

子どもにとって、自分の気持ちを言葉で伝えるのは難しいことです。これは発達障がいの子どもだけでなく、定型発達の子どもでもなかなか幼いうちは難しいのです。そこで、言葉がパッと出なくても気持ちを伝えることができるよう、絵で表したカードやコミュニケーション支援アプリなどを利用して、視覚的に自分の気持ちを表現し、さらにそれを相手に伝える方法を学ぶと良いでしょう。

自分の気持ちを相手に伝えることができて、相手がそれをわかってくれるだけでも、気持ちが楽になっていくことは多々あります。そこで、伝えやすいカードやアプリの使い方をまず教えておき、それを子どもの目に見える場所に置いておいて、気持ちが高ぶりそうな時はそのカードやアプリを使って気持ちを教えてもらいましょう。

また、そもそも困った時にどうしたらいいのか、自分の中に沸き起こるネガティブな感情をどう扱い、処理したらいいのかわかっていない子もいます。そこで、「どうしたらわからなくなったら「今、困っているの」って教えてね」など、具体的に人を頼る方法を教えてあげることも大切です。人に頼ってどうしたら良いのか教えてもらうことで、信頼感や安心感を育むこともできます。

対処法やルールを決めるには?

癇癪の真っ只中にいる時、子どもでも大人でも、自分の意志で冷静さを取り戻すのは非常に難しいです。そこで、癇癪を起こしていない普段の穏やかな状態の時に、「怒ってしまったらどうしたらいいか」と、子どもと一緒に話し合っておくと良いでしょう。具体的な例としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 子どもが好きな匂いをかぐ(ポプリなど)
  • つぶやくと落ち着く合言葉を決めておく
  • 新聞紙を破るなど、八つ当たりしてもいいものに怒りを転嫁する
  • 特定の落ち着く場所を決め、不安やイライラが発生したらそこに行くようにする
  • 布団や毛布にくるまり、落ち着くまでじっとする

このように、対処方法を何らかのルールとして決めてしまうのです。すると、怒りの感情が沸き起こった時でも、そこから抜け出すための「いつもの方法」があるという安心感につながり、癇癪が起こっても子ども自身が自分で冷静さを取り戻すことができるようになります。すると、子ども自身も「自分の感情を自分でコントロールできた」という自信を持つことができます

言葉をある程度話せる幼稚園高学年〜小学生に有効なのが、癇癪を起こしそうな状況になった時のルールを一緒に決めるという方法です。一番になれなかったら、玩具の取り合いになったら、など、ある程度癇癪を起こす場面が限られている場合に有効です。

おわりに:癇癪は何かの不都合を取り除く手段である

発達障害の子どもは、その特性上、定型発達の子供と比べて癇癪を起こしやすいです。しかしそもそも癇癪とは何かの不都合を感じた時、その不都合を取り除くための手段なのです。

そこで、まず不都合を感じないような環境を整えてあげること、不都合を取り除くために自分の気持ちを伝える方法、不都合が起こった時の気持ちのコントロールの仕方などを子どもと一緒に考え、ルール化してあげることが対処法として有効です。

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