発達障がいにはいくつか種類があって、それぞれ特徴が違ってきます。
このコラムでは発達障がいの基礎知識として、それぞれの特徴をわかりやすく紹介していきます。
ちょっと気になっているという人も、専門家に相談するかどうかの目安に使ってみてくださいね。
発達障がいにはどんな種類があるの?
発達障がいとは、いくつかの障がいをまとめた呼び方です。
自閉症スペクトラム(ASD)、学習障がい(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)の3つが代表的ですが、ほかに、協調運動の障がい、チック障がい、吃音(きつおん)なども含まれることがあります。
また、発達障がいの定義はさまざまな捉え方があり、広い意味では知的障がいを含むこともあります。メディアで話題になる際には、特に自閉症スペクトラム(ASD)、学習障がい(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)の3つを指すことが多いようです。
発達障がいに含まれる障がいは、脳機能の偏りによって起こる点が共通しています。ひとつの障がいだけがある人もいますが、自閉症スペクトラムと注意欠陥多動性障がいを合併したり、てんかんや知的障がいなどを合併したりと複数の障がいがある人もいます。発達障がいといっても症状は人それぞれです。
自閉症スペクトラムの特徴をチェック してみよう
自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disoreder)は、かつては自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群と細かく分かれていました。2013年にアメリカの精神医学会が刊行した「精神疾患の分類と診断の手引き」第5版(DSM-5)で自閉症スペクトラムにまとめられました。
自閉症スペクトラムの特徴は、人への興味といった社会性の発達がゆっくりであることや、ことばやコミュニケーションの獲得がゆっくりであったり、凸凹があったりすること、興味や関心の狭さとこだわりが大きな特徴です。
また、聴覚や触覚、視覚などの感覚にも、過敏さや鈍感さを持っていることがあります。学習や日常生活では次のような場面が見られることがあります。
- いつも同じ道を通りたがる
- 抱きしめられたり、頭をなでられたりすることが苦手 あるいは極端に好き
- 水遊びが好き あるいは極端に嫌い
- ザワザワしたところで耳をふさいだり、その場から離れたがる。
- CMのフレーズや大人の口癖はすぐに覚えるが、「ほしい」「行きたい」など何かを伝えるといった言葉が増えない
- 質問をしても答えではなく、質問をくり返す
- 嫌なことに「いや」と言えず、かんしゃくを起こす。
- 思い通りにいかないと、誰かを叩く、床や壁に自分の頭をぶつけるなどしてしまう。
- 状況に合わない発言をする(一方的に話し続ける、人の容姿を指摘する、静かな場面でも話してしまう、など)
- 遊びがなかなか終われない など。
ADHDのチェックリスト
注意欠陥多動性障がい(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder)は、ひとつの物ごとに集中し続けることが難しい一方で、ひとつのものにはまってしまうと過度に集中してしまい、離れられなくなるという極端な面を持っています。
また、じっとしていられず、衝動的に動くといった点から、落ち着きがないと思われやすい点もあります。
ただし、多動性が目立たない人もおり、注意欠陥障がい(ADD)と区別されることもあります。ADHDの人は、豊かな発想力や行動力があるといわれる一方で、合わない環境ではトラブルにつながることがあります。日常生活では次のような場面が見られることがあります。
- 椅子からすぐに立ち上がったり、常にからだのどこかを動かしている
- 目に入ったものにすぐ触ってしまう。
- ケガが多い
- 順番が守れない
- 注意されても何度も同じことを繰り返す
- 遊びが転々とする
- 忘れ物や落とし物が多い
- 寝るまでに時間がかかる
- 話すことが止められない
- 相手の話を最後まできかず、うわの空になったり、動き出したりしてしまう
- 好きな相手を叩いたり、いきなり抱きついたりしてしまう など。
LDの子どもの特徴も理解しておこう
学習障がい(LD:Learning Disability)は基本的には知的機能に問題がありません。聞く、話す、読む、書く、計算する、ものごとを推測するといった力のうち、特定の部分が著しく難しい状態をいいます。
読めるのに書けないという場合もあれば、自分で書いたものが読めないということもあります。また、聞いたことはわからないけれど、写真や絵から理解することができるということもあります。
現在、もっとも多いのは、文字が読めない「読字障がい(ディスレクシア)」といわれます。特に、小学校に入って文字を使った学習が多くなることで気づかれやすくなります。
- 他の子が興味をもっている年代でも、文字に興味がない
- 一文字ずつ読む
- 文字や行をとばしたり、同じところを繰り返して読んでしまう
- 小さな「つ」や小さな「や・ゆ・よ」などが読めない
- 左右が反転した鏡文字を書く
- かたちが似た文字を読み間違う あるいは書き間違う
- 黒板の文字が写せない
- 書いた文字の大きさがバラバラ
- 聞き間違いが多い
- 指を使った計算から抜け出せない など。
おわりに:チェックも大事。でも、その子の個性をきちんと見てあげて
発達障がい者支援法で定義される発達障がいでは、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)と大きく3つが挙げられます。複数の障がいを合併することもあり、症状のあらわれ方は人それぞれです。障がい名だけで判断するのではなく、その子にどのような特徴があるのか、さまざまな側面から見ていくことが大切になるでしょう。
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