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アスペルガーの人に現れやすい特徴と3つ組の障がいと特性とは?

発達障がいの基礎

アスペルガー症候群という名称は、かなり一般的に浸透してきています。しかし、その症状の詳しい理解となるとまだまだ浸透しておらず、「なんか変な人」といったイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではアスペルガー症候群の人に現れやすい3つの特徴と、その他の特性や生きづらさの正体について解説します。アスペルガー症候群についての理解にぜひ役立ててみてください。

アスペルガー症候群ってどんな発達障がい?

アスペルガー症候群は、いわゆる「自閉症」と呼ばれる発達障がいの中の1つのタイプです。
アスペルガー症候群では、認知の発達や言語の発達には問題がなく、むしろ特定の分野の知能に関しては高いことが多いです。しかし、相手の表情が読み取れない、人に関心を持って近寄ったとしても距離の取り方や話し方が不自然など、対人関係やコミュニケーションなどに何らかの障がいが見られます。

こうしたことから、厚生労働省はアスペルガー症候群を「広い意味での自閉症の一つ」と定義しています。また、アメリカ精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」では、DSM-5(2013年)からアスペルガー症候群の記載が削除され、自閉症を含む「広汎性発達障がい」のほぼ全てを含む概念である「自閉症スペクトラム障がい」という診断名に統一されています

これは、アスペルガー症候群や自閉症を含む広汎性発達障がいはどれも本質的に同じ特性であり、違うのはその症状の出方で、はっきりと切り分けることが難しいと判断されたためです。
ただ、世界保健機関(WHO)の診断基準である「国際疾病分類(ICD)」ではアスペルガー症候群という名称も使われているので、日本ではどちらの表現も用いられています。

アスペルガー症候群を含めた広汎性発達障がいを発症する原因は、先天的な脳の機能不全だといわれています。
つまり、生まれる前に既に起こっていたもので、育てられ方やしつけの問題ではないということです。しかし、脳のどの部分の機能に障がいが起こっているのかなど、詳しい原因についてはいまも研究中であり、よくわかっていません。

狭い意味でのアスペルガー症候群の発生頻度は、約4,000人に1人といわれています。
性別では男性に多いとされていますが、これは男性の方が行動に現れやすく、アスペルガー症候群の可能性を疑われて診断を受けやすかったためではないかとされており、最近では、以前は診断に至っていなかった「隠れアスペルガー症候群」の女性が受診に来る例も増えてきているようです。

アスペルガー症候群の特徴って?

アスペルガー症候群の人々は、以下のような特徴を持っています。

  • 表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特である
  • 親しい友人関係を築けない
  • 暗黙のルールなどがわからない
  • ジョークや暗喩・皮肉などがわからない
  • 興味の対象が独特で固執する傾向にある

子どもの頃には、以下のような特徴として現れます。

  • 一人遊びが好き
  • 人と一緒のごっこ遊びをあまりしない
  • 同じ遊びに固執して繰り返す
  • 同年代の子どもに関心がない
  • 行動がパターン化し、融通がきかない

アスペルガー症候群の人々は、言語や知能の発達に遅れがないため、これまで「単なるちょっと変わった人」と誤解され、見過ごされることが多かったのです。

しかし、近年になって精神医学の研究が進み、アスペルガー症候群の人々が集団生活の中で生きづらさを抱え、大きなストレスをためやすいことがわかってきました。

つまり、できるだけ子どものうちから、早期に特徴を理解し、その子に合った地域や専門家の支援を受けて適切な教育を受けることが大切ということ。

その子に合った教育を受けることで、生きづらさを軽減しながら社会生活に適応し、かつその子自身が本来持っている長所を社会の中で活かしていくことが、社会にとっても子ども自身にとっても大切になってきます。

アスペルガーの人が持つ3つ組の障がいと特性って何?

アスペルガー症候群の人々が持つ特徴的な症状として、「3つ組の障がい」というものが挙げられます。

それぞれ「社会性の障がい」「言語コミュニケーションの障がい」「想像力の障がい」と呼ばれ、これらの障がいがどの程度現れるかによって、アスペルガー症候群のタイプはさまざまです。また、年齢が進むとともに大きく現れている特徴が変化していくこともあります。

これら3つの障がいに共通しているのは、どれも行動にまつわる障がいであるというところです。
外見や知能には変わったところがなく、アクションを起こす際に始めて何らかの症状が現れるため、周囲からの評価が「変わった人」という誤解になってしまいやすいのです。

また、アスペルガー症候群の症状の出方はさまざまで、一人でいるのを好む人もいれば、積極的に人と関わるのが好きな人も、自分からアクションはしないものの他人から働きかけられれば受動的に関わる人もいて、対人関係の築き方もやはり人によって異なります。

さらに、「3つ組の障がい」以外にもアスペルガー症候群の人にはさまざまな特性があります。
以下で、3つ組の障がいと特性について詳しく見ていきましょう。

3つ組の障がいその1:社会性の障がい

社会性とは、その名の通り社会生活の中で必要な性質のことで、具体的には「暗黙のルール」「その場の空気」といったもののことを指します。アスペルガー症候群の人々は、こうした「明文化されていないけれども習慣的に成り立っている」といったものを感じにくい、理解しづらい傾向があります

また、自分の感情を上手に表現することや、自分の発言や行動が他人にどういった印象を与えるのかということ、それを受け取った人がどういった気持ちになるか、などを想像することが苦手な人も多く、そのため思ったことをそのまま発言してしまい、その場の空気や相手に与える印象を悪くしてしまうことがあるのです。

こうした症状の結果、「無神経な人」「常識のない人」という評価を受けやすいのが、アスペルガー症候群の人々の大きな特徴の1つです。しかし、本人に悪意は全くないため、どうして他人がこれらの評価を下すのかが本人にわからないこともよくあります。このように、感じ方や認知に偏りがあるため、孤独感や疎外感を感じる状況に陥りやすい傾向もあると言えます。

3つ組の障害その2:言語コミュニケーションの障がい

アスペルガー症候群の人は、知的能力や言語能力そのものには問題がないことが多いです。
しかし、言葉の使い方が独特で、本などで覚えた難しい言葉を日常会話で使ったり、年齢や状況に合わない「ズレた」使い方をしてしまうことが多く、他人との意思疎通がうまくいかないことがよくあります。

また、文脈を読む、言外に含まれている意図を読み取る、などのことも苦手で、ジョークや皮肉、お世辞なども理解できないことが多いです。

このようなことから、相手の発言を文字通りにそのまま受け取ってしまい、トラブルや誤解を生んでしまうことや、相手の声のトーンや表情、身振り手振りから真意を読み取れずにトラブルになってしまうケースもあります。

またアスペルガー症候群の人は、耳から入ってくる情報よりも「視覚的な情報」の方が理解しやすいという特性が現れることもあります。
つまり聞いたことよりも見たことの方がわかりやすく、説明を受けるときに言葉だけで説明されるよりも、画像や動画などを見たり、説明書を読んで自分で理解する方が早いということ。
この特性のため、声と言葉だけのコミュニケーションである会話についていけなくなってしまうこともしばしばあります。

3つ組の障がいその3:想像力の障がい

アスペルガー症候群の人は、決まったルーティンやスケジュールにこだわる傾向があります。
これは、想像力に障がいがあり、予想外の状況をあらかじめ想像しておくことが苦手であるという特徴に大きく関係していて、イレギュラーな事態に直面すると不安で仕方なくなったりパニックを起こしてしまうこともあります。

また、物事のごく一部に強いこだわりを見せるあまり、全体像を把握するのも苦手な傾向があります。これらのことから、「融通がきかない」「わがままな人」などという評価を受けてしまうことがあります。

興味の範囲が非常に狭い範囲に限られますが、そのぶん深く追求することが好きです。対人関係やコミュニケーションが上手くいきづらいこともあり、人付き合いを避けて自分の好きなことだけをとことん追求していく「研究者タイプ」になる人もいます。

アスペルガー症候群の特性って?

アスペルガー症候群の人は、上記の「3つ組の障がい」以外にも、以下のような特性を持っていることがあります。

  • 感覚の過敏または鈍麻
  • 体のバランスが悪い
  • 高い記憶力・集中力

アスペルガー症候群の人は、特定の感覚が人よりも敏感であったり、逆に鈍感であったりすることがよくあります。例えば、聴覚が敏感だと人の声以外にもさまざまな音を聞くことができ、中には動物にしか聞こえないような周波数の音まで聞こえるような人もいます。
しかし、そのために一般の人には気にならないノイズも多く拾ってしまい、例えば電話の呼出音、電車のアナウンスなどが大きなストレスになることもあるのです。

また、筋肉や関節の感覚が脳に伝わりにくいことから、運動が苦手だったり、手先が不器用になったりします。
姿勢が悪かったり、ものの持ち方や歩き方などの基本的な動作が悪かったりという人もいて、他人から見ると動作がぎこちなく見えてしまったり、乱雑な人だと思われてしまったりすることもあるのです。

反面、高い記憶力や集中力は大きな長所と言えます。興味があることには何時間でも集中して取り組むことができ、単調な作業も嫌がらずにこつこつ続けられるため、特定の分野でずば抜けた業績を残せる人もいます。
電車や車の種類をいくらでも覚えられたり、カレンダーの曜日を何年もさかのぼって覚えていたりして、周囲の大人を驚かせる子どももいます。

アスペルガー症候群の人の生きづらさって?

アスペルガー症候群の人は、子どもの頃は周囲に助けてくれる大人がいたり、学校生活ではテストや宿題などのノルマをこつこつこなせば良いことから、それほど問題にならずに卒業してしまう人もいます

しかし、その後就職や結婚に至ると、マニュアル化されていない臨機応変な対応が求められる場面が非常に多くなり、壁にぶつかることが多くなってきます。

なかでも、恋愛や結婚生活では、自分の気持ちを上手に伝えることや、言外のコミュニケーションや相手の気持ちを想像して臨機応変にどんどん対応していくといった高度なコミュニケーションが求められます。また、カサンドラ症候群というパートナーの身心への影響にも注意が必要です。
そのため、これらのことが苦手なアスペルガー症候群の人にとっては特に生きづらさを感じやすい場面であるといえるでしょう。

おわりに:アスペルガー症候群は「3つ組の障がい」から理解しよう

アスペルガー症候群はいわゆる社会生活や対人関係に困難を感じることが多いため、「わがまま」「変な人」といった誤解を受けやすい傾向にあります。しかし、その特性には長所となりうるところも多いのです。

アスペルガー症候群で現れる症状の大きな特徴として「3つ組の障がい」があります。これらの特徴をまず理解することが、アスペルガー症候群を理解するための大きな一歩です。

拝啓、アスペルガー先生 増補文庫版

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