ADHDの人には、注意散漫・多動性・衝動性の特性が現れます。このうち注意散漫が強く出ている場合、それが忘れものトラブルとして現れることがあるのです。
今回はADHDの人の忘れものトラブルの原因や、忘れ物をしないようにするためにできる対策を、合わせてご紹介していきます。
忘れものするのは、ADHD特有の脳の働き方が原因?
発達障がいはいずれも、脳の働き方や機能が他の人と異なることで発症します。
ADHDの場合は、脳のうち前頭前野(ぜんとうぜんや)と側坐核(そくざかく)の問題により、脳内で神経伝達物質がうまく働かなくなることで起こると考えられています。
- 前頭前野とは
- 感情や思考、記憶に基づいた行動のプランニングなどを行う、脳の司令塔のような部位
- 側坐核とは
- 特に楽しみや面白みを感じなくても、必要な動作・作業を続けられるようにするための部位
前頭前野の働きがうまくいかないと、情報を整理して1つずつこなしたり、注意力が落ちて時間や目標に向けて動くことが難しくなり、遅刻や忘れ物が増えます。側坐核がうまく働かないと、興味のあること以外への集中が続かなくなり、次々に興味の対象が移り行動してしまう多動性・衝動性が見られるようになります。
このようなADHD特有の脳の働き方、いわば脳のクセの影響から、ADHDの人は忘れ物が多くなってしまうのです。
ADHDの忘れものクセをなくすための対策は?
ADHDの人が忘れものを減らすためにできる対策としては、以下が挙げられます。
- スマホや家の鍵など、頻繁に持ち歩くものの置き場所は固定しておく
- 持ち歩くものの数自体を減らすか、カバンの中でもものの置き場所を決めておく
- 必ず持って行かなければならないもののことは、見える場所にメモしておく
- 持ちものの準備はできるだけ前日までに、ゆっくり時間をかけ済ませておく
- 外出予定の15分ほど前に、忘れもの確認のためのアラームをセットしておく
- 玄関に持ちもの、忘れものチェック用の一覧表を用意しておき、確認する習慣をつける
- 周囲の人に、持ちものや忘れものの有無を前日までに確認してもらう
独特な脳の働き方をするADHDの人が、ひとりで忘れもののないよう完璧に準備するのは、難しいかもしれません。だからこそ、信頼できる周囲の人の力や便利はスマホのアプリ機能を頼って、忘れものそのものが起こりにくい生活習慣をつけてしまいましょう。
それだけで、忘れものと忘れものによる日常のトラブルは、かなり少なくなるはずです。
「忘れものをしなかった」という成功体験を積み上げていけば、ADHDによる特性も自分の個性やクセとして、対処しやすくなるでしょう。
おわりに:ADHDの忘れものトラブルは、外出の前段階から対策を習慣づけて
注意散漫・多動性・衝動性の特性を現すADHDは、脳の前頭前野と側坐核という部位が他の人とは違う独特な働き方をしています。このため、外出時の持ちもの準備や時間管理に問題を生じ、結果として特性が「頻繁な忘れもの」というかたちで現れることがあります。ADHDの脳のクセによる忘れものは、忘れものをしにくいよう生活の空間や習慣を変えることで、予防可能です。本記事を参考に、対策を取ってくださいね。
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