生まれながらの脳の性質の違いから、幼少期からさまざまな特性が現れる発達障がい。
発達障がいかどうかの判断はによって下されますが、診断には至らない「グレーゾーン」という状態があることをご存知でしょうか。
今回は発達障がいグレーゾーンの子どもとの接し方について解説していきます。
グレーゾーンって発達障がいとは違うの?
定期発達と呼ばれる通常の発達と、発達障がいとの境界領域とされる特性・状態のことを、通称「発達障がいのグレーゾーン」と呼びます。
グレーゾーン以外の呼び方としては、同じ様な発達障がいの境界領域という意味合いで「パステルゾーン」「カラフル」「スペクトラム」などと呼ばれることもあるとされます。
定義は明確ではありませんが、以下の条件に当てはまる人を指す場合が多いです。
発達障がいのグレーゾーン、おおよその定義
- 医学的な発達障がいの診断基準をすべて満たさないが、一部には当てはまっている
- 発達障がいの基準と合わせ、定期発達とされる基準も一部当てはまっている
- 発達障がいの特性をいくつか持っていることで、日常生活に困難を抱えている
子どもの頃に発達障がいのグレーゾーンと診断された場合でも、成長していくとともに抱えている問題が顕在化して「発達障がいの確定診断」に至るケースも少なくありません。
しかし一方で、成長してもグレーゾーンのまま発達障がいの診断がつかないケースもあります。
これは確定診断された発達障がいの子どもに比べて症状が軽く、その現れ方が本人の体調や天候、環境などに左右されやすいなどが診断の決めてとなります。
グレーゾーンにはどんな困りごとが起こりやすい?
子どもの発達障がいグレーゾーンは、学校や家庭で症状の現れ方が異なる場合もあるため、周囲の大人が症状に気づくのが遅くなりがちです。
このため、本人も周囲も症状に適切に対処できないまま、少しずつ特性が強くなっていく傾向があるようです。
この状態が続くと、他の子どもと違う特性に対して理解を得られず必要以上に叱責されたり、非難を受けるなどの辛い経験が蓄積されたりすることが増えてしまい、以下のような二次障がいが生じることがあります。
- うつ病などの精神疾患
- 学校でいじめを受けることによる不登校、ひきこもり
- 家庭内暴力
- アルコールなどへの依存症
子どもの様子を見ていて思い当たる節があるようなら、発達障がいグレーゾーンによる二次障がいの可能性も考えられます。
気になるところがある場合は、一度専門機関に相談してみましょう。
グレーゾーンの子どもには、どう接すればいい?
発達障がいのグレーゾーンである子どもに、周囲の大人がしてあげられる対応としては、以下3つが挙げられます。
保護者から教師に、子どもの特性に関する事実を伝えておく
たくさんの子ども達を同時に見ている先生には、授業に集中できていなかったり、学習速度が遅くテストの点数の悪い子は、マイナスに移るかもしれません。
発達障がいグレーゾーンの子どもの場合、時間をかければ勉強ができるし、学習意欲のある子どもも多いです。
学習の意欲と能力のある子どもが、周囲の大人から「できない子」という扱いを受けないよう、以下のポイントをもとに保護者から先生に子どもの特性を伝えておきましょう。
- 子どもの特性や成長ペース、方法などについて医師から受けているアドバイス
- 保護者から見た、子どもの勉強や成長の速度や特性、性格についての情報
本人の強みで弱みを緩和できるよう、勉強方法を工夫してあげる
発達障がいグレーゾーンの子どもには、音の認識は得意でも文字の認識が苦手だったり(またはその逆だったり)、他の子に比べて内容の飲み込みに時間がかかることも少なくありません。
やりたいのにうまくいかない、できないという失敗体験は、子どもの勉強への興味ややる気を萎えさせてしまう可能性がありますよね。
そこで、宿題など周囲の大人が手助けできる場面では、その子の特性のうち強みを使って弱みを緩和し、勉強を進められるよう補助してあげると良いでしょう。
例)
- 音声を聞くのは得意だが、文字の認識が苦手で本読みできない場合
- ⇒文字を指やペンでなぞりながら、保護者が音読した後に音読させて一緒に進める
- 理解する能力はあるものの、興味を持てない計算問題が苦痛
- ⇒本人の好きなものを使い、計算問題を可視化することで興味を持たせる
他者と比べず、本人ができるようになった、頑張ったことをほめる
テストの点数や学校での勉強の結果として現れにくいところ、他の子どもと比べてできないことでも、本人にとっての努力や進歩はしっかりほめてあげましょう。
小さいうちから良いところを見つけ、きちんとほめてあげることで、自己肯定感と勉強への意欲を持った人に成長してくれると思いますよ。
おわりに:発達障がいグレーゾーンの子どもには、特性と成長速度に配慮した対応を
医学的な発達障がい診断の一部基準を満たしているものの、確定診断には至らない人を通称グレーゾーンと呼びます。症状に気づかれにくく、周囲が適切に対処できないまま特性が強くなっていくことも少なくありません。
子どもの場合、グレーゾーンの特性は人間関係や勉強・成績として現れがちです。発達障がいグレーゾーンの子どもには、本人の特性と成長速度に配慮した学習能力・意欲の伸ばし方が必要だと覚えておいてくださいね。
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