発達障がいの人のなかには、服装選びで困難を抱える人もいでしょう。
就職面接では第一印象が重要ですから、服装や身だしなみを就職活動にふさわしいものに整えなくてはなりません。
このような困りごとを抱える発達障がいの人が就職面接の際に服を選びやすいよう、また、身だしなみを整えやすいよう、性別・部位別にポイントをまとめました。面接の当日に慌てないよう、前もってチェックしておきましょう。
発達障がいの人が服を選ぶときのポイントって?
発達障害の人の中には、他人から見た自分の見た目の印象や、場面に応じてふさわしいとされる服装や行動を想像することが難しく、服装選びに困ってしまう人がいます。
また、限定的・反復的な行動パターンがあると安心してしまうため、同じ服や、同じ色・系統の服を好んで着る人もいれば、さまざまなファッションを組み合わせたり、一部のパーツを変えてみたり、とコーディネートすることも苦手な人もいます。
そこで、以下のような対処がおすすめです。
- 季節や場面ごとに着る服を数パターン決めておく
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- パターン化しやすい思考を逆手に取り、あらかじめ単調にならないようなパターンを決めておく
- 自分なりの服装のルールやパターンの大枠を決めておくだけでも良い
- 買い物のとき、店員さんにコーディネートを相談する
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- 店員さんに「こういう場面で着る服を探しているのですが」「着回ししやすい服はどれですか」など、具体的に相談してみると、自分に合った服装を見つけやすい
- ファッション雑誌を参考に、体型や雰囲気の似たモデルさんのコーディネートをそっくり真似してみるのも一つの手
- 冠婚葬祭などの大事な場面では、信頼できる人にチェックしてもらう
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- 大事な用事のときは、必ず第三者から客観的なアドバイスをもらうと良い
用途別に服装や組み合わせを周囲の人に相談し、あらかじめ作ってスマホの写真などに撮影・保存しておくのも良いでしょう。大切なことは、一人で悩み続けても答えは出ないということです。周囲でセンスに信頼がおける友人や家族がいれば、コーディネートを頼んでみるのが最も良いでしょう。
今回のように就職面接ということであれば、もっともパターン化された服装の1つですから、重要なポイントさえおさえてしまえばそれほど服装選びに困ることはありません。次章以降でポイントをまとめてありますので、ぜひ参考にしてみてください。
発達障がいの男性が身だしなみでチェックするポイントは?
就職面接のときの服装や身だしなみは、ざっくり言えば「清潔感」と「フォーマル」がポイントです。このポイントを部位別に具体的に解説すると、以下のようにまとめられます。
- 頭
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- 頭髪は清潔にし、寝癖があればしっかり整える。帽子などはかぶらない
- 金髪や茶髪などの派手な髪は避け、短髪で黒髪、前髪も目にかからないようカットしておく
- どうしても事情で長髪のまま就職活動をしたい場合は、ゴムなどで止めて清潔感をアピール
- 顔
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- ひげはきれいに剃る。どうしても残したい場合、きれいに整える
- 特別な事情がない限り、サングラスなどの色つき眼鏡にはせず、フレームもシンプルなデザインにする
- 眼鏡のデザインが不安な場合、コンタクトレンズにすると良い
- 上半身
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- 原則としてスーツ+ワイシャツ。清潔感のあるシンプルなデザインで、グレー・紺色・黒や灰色や紺色のチェック柄
- 冬はコートを着用し、5月〜9月末ごろまでのクールビズの期間はスーツの上着なしでワイシャツのみ
- ワイシャツは原則として白色、オーソドックスな無地のものが良い
- ワイシャツにはアイロンをかけるか、クリーニングに出しておく
- 袖口付近の汚れは目立ちやすいので、汚れがないか確認しておく
- 腕時計は必須ではないが、つけるならスーツに合わせたシンプルなもの
- ネクタイはクールビズ以外の時期に、スーツに合わせたシンプルな柄のものを選ぶ
- ネクタイピンをつけておくと、位置が決まってきれいに見える
- 下半身
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- ズボンは真正面に「折り目」がない場合、アイロンをかけるかクリーニングに出して折り目をつけておく
- 当日は、ズボンのポケットに財布やスマートフォンなど、厚みのある大きなものを入れない
- 靴
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- スーツの色に合わせ、シンプルな革靴を選ぶ
- できる限り磨いてきっちり光るようにしておき、古い革靴なら剥げた部分に靴の色と同じインクを塗っておく
- 自分でできるか不安な場合は、靴のクリーニングに依頼するのが良い
- その他
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- 結婚指輪を除くネックレスやブレスレット・指輪などの装飾品は身につけない
スーツの選び方として、完全な黒無地のものは避けるというポイントもあります。これは、礼服と誤解されてしまう可能性があるためで、ネクタイも同じように白無地と黒無地は避け、ごくシンプルな柄のあるものが良いでしょう。もしわからなければ、ここでも売り場の店員さんに「就職活動で使いたいのですが」と相談してしまうのがおすすめです。
女性の身だしなみのポイントは男性とどう違うの?
女性の場合も、基本的な「清潔感」「フォーマル」がポイントとなるのは同じです。男性と同じように、部位別に詳しく見ていきましょう。
- 頭
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- 髪色は黒か、黒に近いこげ茶くらい。茶髪や金髪の場合は染める
- ショートヘアの場合はサイドの髪をピンで止め、ロングヘアの場合は頭の後ろで一つに束ねる
- 前髪は目にかからない程度にカットするか、長い場合はピンで止める
- 束ねるゴムやピンは、黒で装飾品がついていないものを選ぶ
- 顔
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- 清潔感があるナチュラルメイクを心がける
- アイメイク:アイシャドウは茶色ベースでラメは使わず、アイラインは細くまつ毛の間を埋める程度に。つけまつげやマツエクなども控える
- チーク:肌に馴染むピンクやオレンジ系をうっすらと頬に乗せる。濃い色や個性的な色はNG
- リップ:淡いピンク系やオレンジ系で、ラメやグロスは避ける。色持ちの良いものを選び、面接前にサッと直せるよう、取り出しやすい場所に入れておく
- 首元
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- ネックレスなどはつけず、スッキリとなにもない状態にしておく
- 服装
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- 黒・ネイビー・グレーのいずれかの無地のスーツで、ジャケットとスカートまたはジャケットとズボンの色が同じものを選ぶ
- スカートとズボンはどちらでも良いが、スカートの場合は膝丈のものを選ぶ
- スーツにしわや汚れがあれば、クリーニングに出してきれいにしておく
- シャツは白無地で、襟に派手な装飾のあるものや色つきは避ける
- 襟元に第一ボタンがあるものとないものはどちらでも良いが、公務員や金融業界など硬い印象の業界では第一ボタンがあるタイプのものの方が印象が良い
- 襟元や手首にシミや汚れがつきやすいため、こまめにクリーニングに出すか、手入れをしておく
- 足
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- パンプスは黒色で本革または合皮、足に合ったサイズのものを選ぶ
- ヒールは3〜5cmで、太さがあるものが歩きやすい
- 汚れないよう防水スプレーをしたり、磨いたりしてしっかりきれいにしておく。汚れや傷みがひどければ、靴の修理屋さんに出しておく
- ストッキングは季節に関わらず、スカートでもズボンでも必須。ズボンの場合は、膝丈のストッキングでもOK
- 腕時計・装飾品
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- 腕時計はシンプルなデザインで、ベルトは金属か皮のものが良い
- 結婚指輪や婚約指輪以外のアクセサリーはつけない
- 爪の手入れ
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- ネイルやつけ爪はNGだが、爪磨きシートでピカピカにしておくのはOKなので、前日や当日の朝に磨いておくと良い
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女性の場合は、男性よりもスーツや髪色などが多少幅広い反面、ナチュラルメイクをしていくのがマナーとされています。いずれも派手にならないよう、個性的な色は避け、リップやチークはごく薄く色をつけるようなイメージでつけましょう。
また、結婚指輪・婚約指輪以外のネックレスやブレスレット・ピアスなどは男性同様、つけません。ネイルもつけませんが、磨くのは構いませんので、爪をきれいに見せたい場合は爪磨きシートなどで磨くと良いでしょう。もし、ピアスホールが閉じるのが心配という場合は、クリアピアスをつけておくのがおすすめです。
おわりに:就職面接は「清潔感」と「フォーマル」がポイント
発達障がいの人は、場面に合わせてふさわしい服装を選んだり、服を組み合わせてさまざまなファッションを楽しんだりすることが苦手です。その点、就職面接の服装はパターン化されていますので、場面にふさわしいパターンを理解してしまえば良いだけです。
男女ともに「清潔感」と「フォーマル」が大切ですから、上記のポイントを押さえた上で、派手にならないよう気をつければ、大きく違和感のある服装になることはないでしょう。
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