発達障がいの一種である自閉症は、先天的な脳の機能異常で起こる疾患です。
今回は、自閉症かどうかを計るセルフチェックに役立つ項目リストを紹介するとともに、自閉症の人がストレスに感じやすい状況について、確認していきましょう。
自閉症スペクトラム(ASD)のセルフチェックのポイントは?
自閉症かどうかを判断するには、専門知識を持った医師の診断が必要です。
しかし普段の自分の言動を顧みることで、自身に自閉症の特性・傾向があるかどうか、チェックすることはできます。
以下に、自分が大人の自閉症かどうかをセルフチェックするための項目リストを作成しましたので、どのくらい当てはまる項目があるか確認してみましょう。
- 大人の自閉症スペクトラム(ASD)のセルフチェック項目リスト
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- 人と関わりを持つことが苦手であり、クラスや職場内で孤立してしまいがち
- 一方的に話す、的外れな発言などをしがちで、人との会話がうまくいかない
- 普通に接しているつもりだったのに、周囲の人を怒らせてしまうことが多い
- 「あれ」「これ」「それ」など、漠然とした話し方や指示ではよく理解できない
- 言われた通りに動くことはできるが、臨機応変な対応・行動は取れない
- みんながなんとなく理解している暗黙のルールが、自分にはよくわからない
- 冗談で言われたことやお世辞を本気で受け止め、周囲に驚かれてしまう
- 客観的に自分を見ることが苦手で、適切な自己評価をできていないように感じる
- ストレスに弱く、出張や出向、転職などによる環境の変化で体調を崩すことがある
上記のうち当てはまる項目が多ければ多いほど、そしてこのような困難に悩んでいる期間が長ければ長いほど、自閉症である可能性は高いと考えられます。
自閉症の人はどのようなことにストレスを感じやすい?
障がいの程度にかかわらず、自閉症の人は非常にストレスを感じやすく、ちょっとしたストレスからパニックや体調不良に陥りやすい傾向があります。
自閉症の人が、大人になってから強いストレスを感じやすい具体的な職場のシチュエーション例としては、以下が挙げられます。
上司からの仕事上の叱責
仕事上ミスをした場合などに、上司から注意や叱責を受けることは誰にでもあります。
しかし自閉症の人は、上司からの仕事上の叱責を「過剰に激怒・圧迫されている」と強くストレスに感じて、日々の業務に影響が出るほどに落ち込んでしまうのです。
悪意のない、愛のある冗談への激怒
自閉症の人は、総じてコミュニケーションが苦手な傾向があります。このため声のトーンや表情、雰囲気などを総合して相手の意図をうまくくみ取れません。
言葉通りの意味にのみ受け取ってしまうため、冗談やからかいで言った「バカ」などの言葉を真に受け、「いじめだ」「嫌われた」と強くストレスに感じることもあります。
こだわりの強さからくる、環境変化への不適応
自閉症の人は、物事の段取りや数字などに、強いこだわりを持つ傾向があります。このため、正確さや作業効率などが重視される部署から臨機応変な対応などが求められる部署に配置換えされると、ストレスから適応不全に陥るケースも見られます。
異性間でミスコミュニケーション
コミュニケーションが苦手な自閉症の人は、職場の異性とのコミュニケーションにも困難を生じがちです。
業務上、異性から丁寧な対応をされただけでも「この人は自分のことが好きなんだ」と思い込み、嫌がられる理由を理解できずに多大なストレスを感じることがあります。
おわりに:セルフチェックで自閉症傾向が見られたら、専門の医療機関を受診して
個人差はあれど、自閉症の人にはコミュニケーションが苦手でストレスに弱く、クラスや職場での集団生活で困難を生じやすい傾向があります。このため、普段の自分の行動や考え方が自閉症の特性・傾向に当てはめることで、自閉症かどうかをセルフチェックすることは可能です。
しかし自閉症の診断を確定させるには、医療機関で専門的な知識を持つ医師から診断を受けなければありません。セルフチェックの後は専門の医療機関に相談しましょう。
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