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出産と育児は女性にとって仕事との両立を考えさせられるライフイベント。発達障がいやグレーゾーンのお子さんの場合、療育や治療などで時間を作る必要もあり、退職や休職、転職を考えるママも少なくありません。
株式会社LITALICOは「LITALICO発達ナビ」上で、発達障がいのある子どもを持つ保護者を対象に「就労についての意識調査」を実施し、6月9日に調査結果を発表しました。
発達障がいのある子どもを持つ保護者750名を対象に、2019年12月16日~22日に行われた調査です。
発達障がいの子どもの育児、正規雇用で働いている割合は?
調査の結果、対象者の70.3%は就労していることがわかりました。そのうち約6割はパートタイム・アルバイト、派遣社員など非正規雇用です。
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回答として寄せられたリアルな声を一部紹介します。
- 二次障害で不登校になり、体調も崩していたので、心配もあり、短時間しか就労出来ず、本当はもう少し働きたい気持ちを抑えるのが、もどかしい感じでした。
- いつ呼び出しがあったり、検査が入ったりするか分からないので、正社員で働きたいが、勤務の融通がきくパートでしか働けない。
療育に通うため(保育園時代)正社員の仕事を退職しました。その後日数の少ない仕事に転職しましたが、小学校に入学後も突然登校を拒否したりと心労が絶えません。働くお母さんは、普通の子どもでも風邪を引いたりするリスクを考えていると思いますが、+αで余裕を持っておかないとすぐパンクしてしまいます。
お子さんの特性や状況を考えて働き方にどんな変化があった?
同じ職場で働き続け、同じ雇用形態を維持している割合が32%であるのに対し、下記の割合で働き方に変化が生じた人たちがいます。
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育児しながら働き続けることへの困難を感じた声としては、次のようなお悩みがあるようです。
- 療育、通院の予約日、曜日が不定期に入るため、雇用されて仕事をすることが難しい(現在は個人事業主)。給与や社会保障などの面で、可能なら雇用されたい。
- マネジメントなど重職についている同年代の人が多い一方、療育通いや発達フォローのため働く時間が制限される。子どもの発達のことや仕事のことを考えるだけで頭がいっぱい。
- 当たり前に働くということが難しいです。常に同僚や雇用主、責任者に理解を求め謝罪をし続けることは、精神的にとてもきついです。
- 職場の理解もあり、リモートも時短で試したが、責任を持って仕事を完遂出来ないことに苦しみ諦めた。
辞めずにすむなら辞めたくなかった切実な思い
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アンケートで寄せられた声のなかには、もっと働きたいという声があります。
- 仕事を休むと色々大変なので、思い切って辞めましたが、辞めずに済むなら辞めたくなかったというのが本音です。
- 働いていた時は何か所かデイサービスに通っていましたが、利用日に一緒に通っていた子達とうまくコミュニケーションが取れず(知的な問題)、子どもが通うことに難色を示したため、仕事を辞めてデイを退所させました。夫婦共に実家も遠いため、他に頼れるところがないため、働きたくても働かない状況です。
- 通級利用、不登校の子供二人を抱え、送迎等もあり時間がなかなか自由にならなくて働けずにいます。実際は支援していただくにはかかってくるお金も多く働くことが必要なのですが…。
- 子育てが困難な人ほど、子ども以外での生活が充実していることが理想だと思う。仕事があることによって程よい距離感で子どもと接していられると実感する。
働くことに難しさを感じる理由としては、育児に協力してくれる人がいない、時間の自由が少ない、仕事を休むことで負担が大きくなるなどの理由があるようでした。
地域の育児支援の活用や支援センターへの相談など、時間を確保する工夫をとるなどの対応がおすすめです。
80%以上が働きたいと感じている!どんな職場や支援が理想?
発達障がいの子どもの育児をしながら働くために、どんな職場環境や支援が必要かというアンケートに対しては、次のような回答が届きました。
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休暇がとりやすい職場(24%)
これは治療のための通院や急な呼び出しへの対応を考えた希望でしょう。
テレワーク(リモート勤務)が可能な仕事(13%)
コロナウイルス感染予防のため、在宅ワークが浸透してきています。出勤を必須としない働き方が広まることで、時間の使い方が柔軟になりますよね。出勤退勤時間を節約し、集中して自宅で仕事をできるのは、子育て中の保護者にとってうれしいメリットです。
短時間勤務が可能な職場(41%)
療育や通院、面談、登校しぶりなど、発達障がいのお子さんの子育てでは時間の確保が重要。時短勤務の相談がしやすい職場であれば、ママやパパのストレスも軽減されそうです。
勤務時間中子どもの預け先が確保できる(18%)
子どもをひとりにしておくのが不安なとき、安心して預けられる場所があると仕事に集中できます。発達障がいの子どもを受け入れ可能な学習教室などが身近にあるとうれしいですが、そういった施設が近くにないことも。
アンケートの回答として届いた声の一部を紹介します。
- 通院、療育等で休みを取得しやすいことが必須条件だと感じ、そのため仕事の選択肢が少ない。
- 役所、支援施設等の打合せが平日しか対応してもらえないため、毎月のように休まないといけないので仕事にならない。
おわりに:ママが働きやすい社会の実現へ。まずは現状を知ってもらうことが第一歩
子育てしながら仕事を続けることは、女性にとって共通の課題といえますよね。特に発達の気になる子のママはお子さんの特性や治療などのため、時間や自由に融通が利かなくなることも。こういった課題をより多くの人に知ってもらうことも重要ですよね。ママが働きやすい職場環境へと改善を進めるために、現状への理解を促していきましょう。
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