子どもの発達障がいでも大人の発達障がいでも、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)が重要だと考えられています。このSSTを実践する側であるトレーナーは、どんな人が行い、どんな施設で働いているのでしょう。
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)とは
社会の中で生きていく上で、人とコミュニケーションを円滑に行っていくために必要な対人スキルや日常生活を規則正しく行うスキルを、ソーシャルスキルと呼んでいます。
定型発達の人の場合は、個人差はありますが、年齢とともに必要とされるソーシャルスキルが身についていくことがほとんどです。しかし発達障がいの場合は、特性によってソーシャルスキルの習得が十分でないまま大人に成長していく人が少なくありません。
ソーシャルスキルは日々の生活で必要度が高い能力ですので、身についていないと人間関係のトラブルや日常生活に支障を来たすことがあります。しかし、ソーシャルスキルは大人になってからもトレーニングを通して習得することが可能です。
ソーシャルスキルを身につけるための訓練を、ソーシャルスキルトレーニングといいます。
- SSTの定義
“Social Skills Training”の略で、日本では「社会的スキル訓練」、「ソーシャルスキル・トレーニング」、あるいは頭文字を取って「エスエスティ」と呼ばれています。また、精神科領域では、「(社会)生活技能訓練」と呼ばれています。
現在では、精神科領域だけでなく、教育領域、就労支援関連領域、司法矯正領域、職場のメンタルヘルス(産業領域)など、さまざまな領域で実践されています。また、家庭や職場への訪問など、地域生活者の現場での支援も行われています。
SST は希望志向であり、精神障害をもつ人たちをはじめ、支援を必要とする方の希望に基づいた支援方法です。自己対処能力を高め(エンパワメント)、一人ひとりのリカバリーを目指して、SST が広く活用されることが期待されています。
引用:一般社団法人SST普及協会より
SSTのトレーナーになるには?
SSTは、主にSST専門のトレーナーかカウンセラーのような心理の専門家が行います。
SSTのトレーナーとして活動するためには、ソーシャルスキルトレーナーの専門的な勉強をし、資格を取得することが推奨されます。
例として、下記の団体がソーシャルスキルトレーナーの資格の認定をしています。
一般社団法人日本能力開発推進協会
合格者には「ソーシャルスキルトレーナー資格」の称号が付与されます。広汎性発達障がい、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障がい)の子どもに対して、SSTを実践するために必要な知識を習得したことを証明できます。
一般社団法人 SST普及協会
「SST初級研修」を受講することで、下記の習得を目指します。
- SSTの基本訓練モデルの流れ
- 適切な個人の練習目標の設定
- SSTのためのグループの形成と維持の方法を知ること
初級研修会を受講すると修了証を発行してもらえます。初級研修会修了は、「SST普及協会認定講師」の講習を受ける必要条件でもあります。
さらに、次の条件を満たした場合に、「SST認定講師」と認められます。
- SST普及協会正会員であり、SSTの実践として、90時間以上のリーダー経験がある。
- SST普及協会認定講師が指導した研修会にコリーダーとして参加し、SSTデモンストレーション及び参加者に実技指導を行ったことがある。
- 認定講師研修会受講後2年以内に認定講師審査を受けることが可能である。
SSTトレーナーはどんな場所で働く?
SSTトレーナーはSSTを実践している施設などで働くことになるでしょう。具体的には下記のような施設です。
- 精神科
- 就労・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
- 自立訓練事業所
- 地域活動支援センター
- 若者サポートステーション
病院だけではなく、就労支援や自立支援施設でトレーナーが求められることも多いです。発達障がいへの理解が深まるにつれ、SSTの実践の重要性も広まっていきますので、トレーナーの必要性も高まっていきそうです。
おわりに:発達障がいの生きづらさを軽くするSST。トレーナーのやりがいは大
発達障がいの人にとって、ソーシャルスキルを習得することは生きづらさやトラブルを軽減させる大切なポイントです。確かな知識のあるトレーナーと、SSTを実践することによって困難が和らぎますので、SSTのトレーナーは今後さらに求められる人材となりそうですね。
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