生まれつきの脳の機能障害が原因で起こる発達障がいですが、なかには症状が見られても確定診断を受けるには至らない「グレーゾーン」と判断される人たちもいます。
今回は発達障がいのグレーゾーンとは何か、併発しやすい二次障がいや、グレーゾーンの人が受けられる支援制度の情報とあわせてご紹介します。
発達障がいのグレーゾーンってどういうこと?
発達障がいの特性・症状が見られ日常生活に困難を生じているものの、医学的な発達障がいの診断基準を満たさない状態の人を俗に「グレーゾーン」と呼びます。
一般的に、発達障がいグレーゾーンは以下のような状態を指すと理解されていますが、明確な医学的定義は存在しません。
- 発達障がいグレーゾーンという言葉が表す、状態のイメージ
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- 発達障がいの人に見られる症状や特性が、いくつか見られる
- 発達障がいの症状や特性が多少見られるものの、定型発達に近く診断基準を満たさない
- 発達障がいの症状や特性が見られるが、医療機関にかかっておらず診断を受けていない
このためグレーゾーン以外にも、「カラフル」「スペクトラム」「パステルゾーン」など、さまざまな俗称が用いられます。
グレーゾーンと判断される人は、発達障がいの確定診断を受ける人に比べ症状や特性の現れ方が変わりやすく、周囲に気づいてもらいにくいのが大きな特徴です。
例えば、家では顕著だった発達障がいに似た行動・症状が、学校など外に出ると極端に弱くなる人の場合は、周囲から生活上の困難を理解してもらいにくくなります。
グレーゾーンに多い「二次障害がい」ってどんなもの?
前述したように、グレーゾーンと判断される人は発達障がいの確定診断を受ける人に比べ、症状や特性が変化しやすく、周囲に気づいてもらいにくい傾向にあります。
このため、生活上の困難を生じているのに気づいてもらえず、周囲から適切なサポートや理解を得られないために二次障がいを発現してしまうことも多いです。
(ここで言う二次障がいとは、発達障がいやグレーゾーンによってもともと生じていた症状・特性以外に、二次的に生じた障がいのことです)
具体的には、以下のようなものがグレーゾーンの二次障がいとして挙げられるでしょう。
- 周囲からの特性への不理解によるいじめや不登校、引きこもり、就労困難
- 不安障害、気分障害、うつ病、アルコール依存症などの精神疾患
- 寝付けない、夜中に何度も目を覚ましまとまって眠れないなどの睡眠障がい
- 自己肯定感の低さや、周囲への不満・不安による家庭内暴力 など
グレーゾーンであるために生じている生活上の困難を、周囲から「努力不足」「注意散漫」「空気が読めない」などと誤解され、失敗経験が積み重なると自己肯定感が低くなります。
すると本人の自尊心も、物事へのやる気も失われてしまい、上記のような二次障がいを生じやすくなるのです。
二次障がいを防ぐには、まず親をはじめ周囲が本人の特性や抱えている生活上の困難に気付き、理解してあげる必要があります。
そして失敗経験を積み重ね、自己肯定感が著しく低くなり二次障がいが発現する前に、学校や医療機関などの協力の下、必要なサポートや対処法を考えてあげると良いでしょう。
グレーゾーンの人も支援は受けられるの?
症状・特性の現れ方や程度によっては、発達障がいの確定診断に至らないグレーゾーンの人でも、支援が受けられる場合があります。
発達障がいの診断・治療を行っている医療機関や、市区町村の障害保健福祉窓口や相談支援事業所の相談員に、受けられる支援がないか聞いてみると良いでしょう。
症状・特性のために就労が難しい場合にも、ハローワークで相談すれば、あなたの症状や特性にあった求人の紹介を受けられるかもしれません。
また、利用できる支援制度を探すとともに自分の症状・特性に合わせた対処法を試し、生活上の困難を緩和するのも二次障がいの予防に役立つことがあります。
以下のような対処法を試し、自身と周囲ができるだけ快適に日常生活を送れるよう工夫して、困難を乗り越えていってくださいね。
- 過集中の傾向があるなら、アラームをセットして作業時間を区切る
- スケジュールや段取りを忘れるなら、メモや図案で可視化する
- ストレスを溜めないよう、しっかり心身を休める方法を見つけておく など
おわりに:グレーゾーンは、発達障がいの確定診断に至らない人のこと
発達障がいによる症状や特性が複数見られるものの、医学的な診断基準を満たしていないために確定診断に至らない人のことを、俗にグレーゾーンと呼びます。
定型発達と発達障がいとの区別があいまいな状態を指しているため、発達障がいに似た症状・特性の現れ方が変わりやすく、周囲から気づかれにくいのが大きな特徴です。
グレーゾーンでも受けられる支援制度や特性への有効な対処法を知り、二次障がいの発現予防に努めましょう。
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