カサンドラ症候群とは、主にアスペルガー症候群の人と親しい間柄にいることでコミュニケーションのトラブルを抱えた結果、心身の不調を招く状態です。男性のアスペルガー症候群に対して、妻がカサンドラ症候群に陥るケースがよく知られていますが、上司や部下、同僚によってカサンドラ症候群が発症することもあります。
カサンドラ症候群を引き起こすコミュニケーションの問題とは?
アスペルガー症候群の人は、特性からトラブルや困りごとを引き起こします。その影響は本人だけではなく、パートナーや家族、周囲の人にも及ぶことがあります。
「カサンドラ症候群」とは、主にアスペルガー症候群の人との情緒的な相互関係の問題を抱えることから心身にストレスがかかり、下記のような症状を招く二次障がいです。
- 抑うつ状態、うつ病
- 不安障がい
- パニック障がい
- 自律神経失調症
- 自己評価の低下
- 不眠
- 頭痛
- 孤立感
- 情緒不安定
- 体重の増減 など
情緒的な相互関係の問題には、意思疎通がうまくいかない、興味や愛情の共有が少ない、アスペルガー症候群の人の言葉の表現に傷つくなど、コミュニケーションのトラブルが挙げられます。また、カサンドラ症候群は親しい間柄だからこそ発症するため、悩みを誰かに相談しても理解されにくいという特徴を持ちます。
カサンドラ症候群は現在、アメリカ精神医学学会が定める診断基準のDSM-5には記載されていないため、正式な疾患名ではありません。
カサンドラ症候群は夫婦間の問題として知られるようになってきましたが、職場でもカサンドラ症候群を発症することがあります。
上司や部下、同僚と接しているうちにカサンドラ症候群に
職場にアスペルガー症候群の人がいることがわかっている場合、次のようなコミュニケーションのトラブルが起こる場合があるでしょう。
- 「おはようございます」など日常的な挨拶をしない
- 口頭での指示がうまく伝わらない
- 会議で一方的に話しだし、止まらない
- 細部へこだわり過ぎるなど、仕事の優先順位をつけるのが苦手
- 雑談が盛り上がらない
- 威圧的で、自分の意見を押し通そうとする(尊大型アスペルガー症候群)など
アスペルガー症候群は孤立型、受動型、積極奇異型、尊大型、大仰型に分類されますので、特性もさまざまです。そのため仕事に現れる特性の影響も上記の限りではありません。
仕事ではチームでプロジェクトを進めたり、ペアになって作業に取り組むことがありますよね。アスペルガー症候群の人と仕事をするチームメンバーやペアのパートナーは、上記のトラブルからカサンドラ症候群に陥ることがあり得ます。また、カサンドラ症候群は異性間だけではなく、男性同士、女性同士でも起こりうるでしょう。
アスペルガー症候群の人が職場にいたら?どんな対処が必要?
アスペルガー症候群の人が職場にいる場合のおすすめの対処法を紹介します。
- 仕事内容を視覚化する
- アスペルガー症候群の人は口頭での説明を理解するのが苦手であったり、聞いた内容をメモするのが苦手であったりする人がいます。そのため指示や仕事の説明はなるべく視覚的に表現しましょう。ホワイトボードに書き出す、メールなどメッセージで指示を送るなどがおすすめです。
- 仕事をマニュアル化する
- 仕事を細かく分けてパターン化、ルーティン化し、理解を促しましょう。予想外の出来事を想定し、指示を用意しておくことでパニックを予防します。
- 指示を明確に、シンプルにする
- 曖昧な指示はアスペルガー症候群の人にはうまく伝わりません。指示の内容は具体的にはっきりとさせ、複数の指示を一度に出さないようにしてください。
- その人ができること・できないことを把握し、仕事を割り振る
- アスペルガー症候群の人が同僚や部下である場合、何が得意で何が不得意かをお互いが理解しましょう。適切に仕事を割り振り、パフォーマンスを最大化します。
また、職場にアスペルガー症候群など発達障がいの人がいる場合、発生した困りごとやトラブルを上司や社内の相談窓口に共有しておくと安心です。
困りごとを改善するためには、本人に対する合理的配慮が効果的な場合もあります。
カサンドラ症候群の人が悩みをひとりで抱えてしまっては、ストレスが蓄積する一方です。「自分が悪いのかもしれない」「アスペルガー症候群なのだから仕方がない」と諦めず、まずは会社に相談してみてくださいね。
おわりに:カサンドラ症候群は職場でも、同性間でも起こりうるため注意!
アスペルガー症候群など特性によるコミュニケーションのトラブルを抱えがちな人は、周囲の人間に心身の不調をきたすおそれがあります。夫婦間のカサンドラ症候群の認識が広まっていますが、職場でも男性同士、女性同士でも起こります。カサンドラ症候群を予防するためにも、職場での適切な対応を心がけて実践していきましょう。
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